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監査令嬢~仕事を減らしたいだけなのに、王国が勝手に改革されていきます~  作者: 涙目
第十章 教育機関創設編

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幕間 お仕事ですわね

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 監査局。


 平和だった。

 少なくとも表面上は。


 局員達は書類を整理していた。


 そんな中。

 一人の局員がふと呟く。


「局長」


「何でしょう」


 アメリアは書類から目を離さない。


「少し疑問がありまして」


「どうぞ」


「今回の教育機関設立ですが」


「はい」


 局員は少し困った顔をする。


「むしろ仕事が増えていませんか?」


 沈黙。

 周囲の局員達も手を止めた。


 確かに気になっていた。


 教育機関。

 選抜試験。

 教師募集。

 制度設計。

 監査制度。

 運営規則。


 どう考えても仕事は増えている。


 すると。

 アメリアは素直に頷いた。


「そうですね」


 局員達が顔を見合わせる。


 認めた。

 珍しく即座に認めた。


「ですが」


 アメリアは資料を一枚取り出した。


「放置していた場合はこちらになります」


 どさっ。


 書類が置かれる。


 局員が覗き込む。


 人材不足予測。

 欠員率推移。

 業務停滞予測。

 未処理案件予測。

 行政機能低下予測。


 数字が並んでいた。


「……」


 局員の顔色が変わる。


「三年後です」

「はい」


「五年後です」

「はい」


「十年後です」

「はい」


 どれも酷かった。

 絶望的と言ってもいい。


 アメリアは淡々と言う。


「放置していれば現在以上に仕事が増えておりました」


「なるほど!」


 局員は思わず頷いた。


 確かにその通りだった。


 今少し増やして。

 将来大量に減らす。


 それがアメリアのやり方である。


「でしたら今回は成功ですね」


「はい」


 アメリアは頷く。


 そして。


「ですので」


 どさっ。


「こちらを」


 どさっ。


「ついでにこちらも」


 どさっ。


 三冊の資料が机へ積まれた。

 局員の顔色が真っ青になる。


「……これは」


「改善案です」


 第一冊。

 『教育機関監査基準改訂案』


 第二冊。

 『第二期生募集計画』


 第三冊。

 『王国人材育成二十年計画』


「……」


 局員は静かに天井を見上げた。


 理解した。


 今。

 仕事が増えた理由を。


 そして。

 これからさらに増えることも。


「局長」


「何でしょう」


「お仕事ですわね」


 アメリアは満足そうに頷いた。


「はい」


 監査局は今日も平和だった。


 たぶん。

お読み頂き、ありがとうございます。

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