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最強召喚のはずがレベル1の俺でした~でも課金スクロールでボスを倒したら追い返された件~  作者: あおおに


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7/16

見抜く目、誤魔化す口

 夕方。

 宿に戻って寛いでいると、リナが少し困った顔をしてやって来た。

「リョウマさん、お客さんです」

「俺に?」

「……ミラさんって方が」

(来たか)


 予想はしていた。

 むしろ、遅いくらいだ。

「どこにいる?」

「宿の裏庭で待ってます」

「分かった」

 軽く息を吐く。


 逃げる選択肢はない。

 宿の裏庭。

 扉を開ける。

 ミラが一人、粗末な椅子に腰かけて待っていた。

「遅い」

「呼ばれたばっかだ」


 向かいに座る。

 距離が近い。

 視線が、逃げ場をくれない。

「……で、何の用だ」

「雑談よ」

 即答。


 でも、目が笑ってない。

「今日の戦い、どう思った?」

「どうって……危なかったな」

「そうね」

 頷く。

「変異種があの位置にいるのもおかしいし、連携も甘かった」

 分析が的確だ。

 ただの脳筋戦士じゃない。


「でも、一番おかしいのは――」

 そこで言葉を切る。

 視線が、俺に固定される。

「あなたよ」

 来た。

「何が?」

 できるだけ平静に返す。


「詠唱なしで魔法を撃った」

「だからスクロールだって――」

「嘘ね」

 即断。

 迷いゼロ。

(速いな)


「どうしてそう思う?」

「距離とタイミング」

 指を一本立てる。

「スクロールを使うなら、“準備動作”があるはず。でもあなたはそれがなかった」

 的確。

 見られている。見られているよな。


「それに――」

 もう一本、指が立つ。

「魔力の発動が安定してた。使い切りにしては不自然」

「そういうものか?よく分からないけど」

 魔力なんか、俺には見えないし、感じられない。


「私は少しは魔力が感じられる。スクロールの魔力の発動は、もっと揺らぎが大きい」

 言葉が詰まる。そこまで頭が働くタイプだったのか。予想外である。

 でも、黙ったら負けだ。

「……たまたまだろ」

「へぇ」


 ミラが少しだけ笑う。

「じゃあ聞くけど」

 身を乗り出す。

「あなた、魔法の訓練受けたことある?」

「……ない」

「なのに、狙って当てられたの?」

「……」

 痛いところを突く。実際に使った時には当てられたけど、あれは相手がデカかったしなー。

 確かに、狼程度の大きさだと当てるのも難しいかも知れない。

 完全に“経験者の視点”だな。


「……じゃあ逆に聞くけど」

 俺から口を開く。

 ミラの動きが一瞬止まる。

「なんでそこまで気にする?」

「当然でしょ」

 即答。

「正体の分からない奴と組むのは危険よ」

 合理的。

 正しい。


「俺は助けただけだ」

「ええ、そこは感謝してる」

 あっさり認める。

「だからこうして、ここで話してる」

 ギルドじゃなく、宿の裏庭。

 つまり――


「……表に出す気はない?」

「今のところはね」

 視線が鋭くなる。

「でも、納得できなければ別」

 はっきりしている。

「……分かったよ」

 ため息をつく。


「全部は話せない」

 これは本音。

「でも、危険なことをする気はない」

 嘘じゃない。

「パーティーも、裏切らない」

 これも本当。

 ミラが黙る。


 数秒。

 長い沈黙。

「……半分だけ、信じる」

 ようやく口を開いた。

「半分だけかよ」

「残り半分は、監視」

 きっぱり。

「次におかしなことをしたら、その時は容赦しない」


「怖いな」

「当然でしょ」

 少しだけ、口元が緩む。

 完全な敵ではない。

「あと一つ」

 ミラが言う。


「スクロールって設定、続けるなら徹底しなさい」

「……は?」

「扱いが雑すぎる」

 ため息。

「使うなら“使ったように見せる”。それくらいはやりなさい」


「……手厳しいな」

「常識よ」

 あっさり。

「バレたくないなら、完璧にやりなさい」

 それは――

 忠告だった。

「……ありがとよ」

 素直に言う。


「別に」

 ミラが立ち上がる。

「これはパーティーのため」

 ドアに向かう。

 そこで一度、止まる。

「でも」

 振り返る。


「助けたのは、本当でしょ?」

「……ああ」

「なら、それは評価する」

 短く言って、裏庭を出ていった。

 一人になる。

 息を吐く。


「……疲れるな、これ」

 戦闘より神経を使う。

 でも――

(完全バレは回避)

 ギリギリ。

 本当にギリギリだ。

 そして、もう一つ。


(あいつ、使えるな)

 敵に回すと厄介。

 味方なら頼もしい。

 そんなタイプだ。

「……やりにくい仲間だな」

 苦笑する。

 でも――

 最低ではない。救いはある。


 その夜。

 部屋で一人、天井を見上げる。

「……もっと上手くやらないと」

 嘘も、戦い方も。

 全部。

 中途半端じゃ通用しない。

 この世界は、思ってるよりずっと――

「シビアだな」

 呟く。


 そして目を閉じる。

 明日も、生き残るために。

読んでいただいて、ありがとうございます。

こんなお話でも面白いと思って下さったら、『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にしてポイントを入れてもらえたら嬉しいです。

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