ミラとの会話とソロ狩り
今度は、ギルドの裏庭でミラと話す事になった。
さすがに、本気で放ったアイスボルトの件は、見過ごしてくれないらしい。
「リョウマ、あなたが街に入る時にはレベル1で何のスキルも持ってなかった話は、有名な話よ。でも、実際のあなたはアイスボルトが使える。どういう事?」
「だから、スクロールだって話は……」
「もう無理よ」
「だよね」
ミラの鋭い視線は、本気で俺を警戒している様だ。中途半端な嘘は、通用しそうにない。
「分かった。話すよ」
俺は肩をすくめた。
「実は、俺はここに来るまで、師匠から魔法を習っていたんだ」
「じゃあ、なぜスキルなしなの?」
「多分、レベルが足りなかったからだ。実際、俺はこの街に着いた時は、魔法が使えなかった。それが、モンスターを倒してレベル2になったら、アイスボルトが使える様になったんだよ」
「あなた、今はレベル2なの?」
「ああ。一人でスライムを倒したら、レベル2になった」
その後、狼も倒しているが、俺が倒したモンスターはそれだけだ。ミラたちと組んでからは、モンスターを倒していない。
「レベルが上がったら魔法が使える様になるなんて、まるで魔族じゃない」
「ちゃんと習ったって言ったろ?魔力か何かが足りなくて、その時には使えなかっただけさ」
「学院に通っていたの?」
「……いや、家庭教師が付いてた」
「貴族なの?」
「一般庶民だよ。でも、そこのところは、あまり突っ込まないでほしいかな」
ワケありを装う。
「……まあ、いいわ。じゃあ、魔族ではないのね?」
「違う。って言うか、魔族って、何か特徴はないのか?」
「私だって会った事はないから詳しくないけど、肌が青白くて、ツノや牙があるとか……」
「さすがに、俺ってそんなんじゃないだろ?」
「化けてるかも知れないじゃない」
「あー、なるほど」
「……信じるわよ?」
「ん?」
「今の話」
「ああ、信じてくれ」
ミラはしばらく俺を睨みつけてから去って行った。
信じると言いながらも、まだ半信半疑なのだろう。でも、今までよりは、やりやすくなったかな。
これで、ノノとミラの前では魔法が使えるという訳だ。今の設定を使えば、後の二人にバレても平気かも知れない。
なら、レベル上げに行こうかな。どうもこの世界では、トドメを刺さないと経験値が入らないみたいだし。
そう言えば、みんなはレベルいくつぐらいなんだろう?今度、聞いてみよう。
ギルドで昼飯を済ませると、俺は林に向かった。スライムや狼を倒した場所だ。
無造作に奥に進んで行くが、マップのおかげで迷う心配はない。
ゲームのシステムとして当たり前に使っているマップ、それにインベントリだが、これもスキルと言えばスキルだ。スキル表示もされないのに、こんな能力が使えると知ったら、ミラはまた大騒ぎする事だろう。
メニューを見れば、まだショップなんてものもあるんだよなぁ。課金して様々なアイテムが買える機能だが、恐ろしい事に日本円だけでなく金貨や銀貨も使える様になっていた。
つまり、この世界で稼げば、また強力なスクロールが買えるのだ。それもお値打ち価格で。この世界の価値観で考えれば、きっと金貨が何万枚も必要になるに違いない。
それを思うと、俺ってチートの塊だ。
問題は、まだ弱々な事と、その能力を知られる訳にはいかないって事。
やっぱり、ソロでやっていくしかないのだろう。ミラやノノたちと一緒にやるのも、実は嫌いじゃないんだけどね。
まあ、今は弱々から抜け出す為に頑張ろう。
ガサリと音を立てて現れたのは、やたら牙の数が多い猪のモンスター。
体長も一メートルを超えている。
俺は、迷いなくアイスボルトを連射した。
三発撃ったところで、猪が光となって消えていく。
「あ!」
その瞬間、レベルが3になったのが分かった。しかも、ブレイドという魔剣技も覚えた様だ。
「これも、既に習ってた、で通用するのか?」
俺は続いて現れた狼モンスターに向き直ると、ブレイドを使ってみる。
すると、小剣の刃から、もう二回りぐらい大きな魔力の刃が広がった。
足に噛みついて来ようとした狼をかわして小剣を振ると、あっさりとその首が宙を飛んだ。
「うほっ!」
思わず、変な声が出る。それだけの攻撃力だ。
やっぱり、みんなの前では使えそうにない。効果が大き過ぎる。
が、悩んでいてもしょうがない。
今は、強くなる事だけを考えよう。
強くなれば、魔法や魔剣技を使わなくても、モンスターを倒せる様になる筈だ。
俺はドンドン林の奥に進み、狼や猪のモンスターを狩り続け、レベルを5まで上げた。
アイテムのドロップも皮や肉等があり、猪の肉1ブロックだけを残してギルドで売り払い、まあまあの収入になった。猪の肉は、宿に差し入れした。けっこう、喜んでもらえた。
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