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最強召喚のはずがレベル1の俺でした~でも課金スクロールでボスを倒したら追い返された件~  作者: あおおに


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評価と、次の火種

 ギルドに入った瞬間、空気が少し変わった。

「戻ったぞ」

 ミラがカウンターに声をかける。

 受付が顔を上げ――目を見開いた。

「え……あのダンジョン、もう戻られたんですか?」

 まだ昼前だ。不審にも思うだろう。

「変異種が出た。撤退した」

「っ……!」


 周囲がざわつく。

「変異種だって?」

「浅層で?」

「マジかよ……」

 視線が集まる。

 前とは違う種類の目。

 “嘲笑”じゃない。

 “警戒”と“興味”。

 報告はすぐに通った。


 ミラから話を聞いたギルド職員が、真顔になる。

「……それは重要情報です」

 紙に何かを書き込みながら言う。

「今回の判断は適切でした。全滅していてもおかしくない」

 あっさりと、評価された。

(……意外だな)

 そんなにすぐに重要視してもらえるとは、考えていなかった。


「報酬ですが」

 小袋が差し出される。

「アイテムの売却料に加え、緊急情報提供の分も上乗せします」

 ずしっと重い。

「……おお」

 思わず声が出る。

 リナの宿、しばらく泊まれるな。


 振り返ると、周囲の視線がまだ残っている。

「あのパーティー、生きて帰ったのか」

「運がいいな……いや、実力か?」

「あのガキ、例のレベル1だろ?」

 ひそひそ声。

 具体的な名前は出ていない。

 でも。

(広まるな、これ)

 時間の問題だ。


「……悪くないでしょ」

 隣でミラが言う。

「撤退でも評価はされる」

「評価の仕方が優れてるな」

「当然よ。自分たちの生き死にに関わって来る話なんだから」

 軽く肩をすくめる。


 でもその視線は――

 まだ、少しだけ鋭い。

「あとで、時間ある?」

 ミラが言う。

「話、まだ終わってないから」

「だろうな」

 苦笑する。


 完全に逃げ切れたわけじゃない。

 ギルドを出る。

 外の空気が、少し軽い。

「よぉ、レベル1」

 壁にもたれていたノノが手を上げる。

「少しは、評判が良くなったじゃねぇか。上手くやったな」

「お前も当事者だろうが」

「まぁな」

 にやりと笑う。


「で、約束の情報だ」

 声のトーンが少し落ちる。

「例の“召喚士”の件」

 心臓が、少しだけ跳ねた。

「……分かったのか」

「全部じゃねぇけどな」

 指を立てる。


「最近、この街に来た“外の魔術師”がいる」

「外?」

「この辺じゃ見ない系統の術を使う奴だ」

 思考が繋がる。

(……それだ)

「場所は?」

「簡単には教えねぇよ」

 ニヤリ。

「次の依頼、付き合え」

「……はぁ。またかよ」

 ため息。


 でも。

(進んでる)

 確実に。

「あと一つ」

 ノノが付け加える。

「その魔術師、妙な噂がある」

「どんな」

「“召喚をやり直してる”って話だ」

 ――止まった。

 思考が。


「……やり直し?」

「ああ」

 軽く言う。

「一度呼んだものを、もう一回呼び直すってさ」

 ありえない。

 でも――

(セルティなら)

 脳裏に浮かぶ。

 あの少女。

 あの言葉。

『リョウマ……私、あなたをもう一度呼ぶ』


「……行く」

 即答だった。

「いい顔だな」

 ノノが笑う。

「決まりだ」

 空を見上げる。

 同じ空。

 でも、少しだけ近くなった気がする。


「……待ってろよ」

 小さく呟く。

 今度は、届く距離まで。

 まだレベルは2。

 無能扱い。

 でも――

 確実に、前に進んでいる。


 そして。

 次の一歩は、もう決まっていた。

読んでいただいて、ありがとうございます。

こんなお話でも面白いと思って下さったら、『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にしてポイントを入れてもらえたら嬉しいです。

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