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白い百合  作者: 森本有介
第三章再会
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第三章再会 第六節「白い百合」

白い百合は、どれほど長い冬を越えても、再び静かに花を咲かせる。

この日、僕たちの心にも、小さな幸せが咲き始めた。

「そうね」


アナスタシアが、微かに微笑んだ。


その笑顔は、二十八年前のままだった。



自分の部屋にいた、アンナが戻ってきた。


目は真っ赤に腫れていた。


泣き腫らしたその顔は、子どものように弱々しかった。


「アンナ、こっちにおいで」


僕が手を伸ばすと、アンナはゆっくりと僕の隣に座った。


そして、何も言わずに僕の胸に顔を埋めた。


「アンナも随分、辛かったんだね。これからは、僕がいるから大丈夫だよ」


僕は、娘のようにアンナを抱き寄せた。


アンナの体が震えていた。


そして……アナスタシアもまた、静かに僕の肩に寄り添った。


三人の涙が混ざり合い、ひとつになった。


二十八年分の痛みが、静かに溶けていく。


誰のせいでもない。


ただ、運命が、僕たちを少し遠回りさせただけなのだ。




ああ、やっと……。


僕たちは、家族になれたのだ。




白い百合は、長い夏の終わりにも、静かに咲き続ける。

僕たちの幸せもまた、この日、小さく花開いた。

再会は、一つの物語の終わりではなかった。

それは、「新しい家族」という物語の、静かな始まりだった。

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― 新着の感想 ―
お互いに結婚や死別、離婚、子育てを経ての二十八年振りの再会。ただ独身のままでの再会よりも、それぞれの人生に重みがある分、再会の価値もひとしおですよね。ラノベにはない深みのある作品で引き込まれました。
ここでタイトルの意味が明かされるのがニクいですね。まるで二人の中の時間がこれまで止まっていて再び動き出したかのように感じられて良かったです。
第三章の終わりまで拝読させていただきました。 純文学をあまり読んだことがないのですが、時を超えた恋愛小説か、ヒューマンドラマのような雰囲気だなと思いました。 28年振りの再開で熱い抱擁、キスを交わすく…
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