歌音~歌の近づくオト~
「っ・・・・」
目を開けると、そこは自分の部屋。
そう、見慣れた天井しか見えない。
「ちっ。」
あと少し---
あと少しの時間があれば、あいつの意識をつなぎとめられたのに・・・。
そう思ったとき、部屋の扉が勢いよく開いた。
「聞いて、聞いてぇ~!!」
「・・・うっせぇ。」
入ってきた“猫”は、俺の部屋で飛び跳ねる。
意識を繋ぐためとはいえ、寝起きにこのうるささは、癪にさわる。
「俺の歌ね、いつもより“うまく”唄えたんだ。俺って天才じゃない!?」
どうやら、歌がいつも以上にうまくいって喜んでいるらしい。
こいつの歌は、“あいつ”の意識を俺の意識と繋ぐための媒体となっている。
俺が眠る際に、こいつがあの歌を唄うことによって、“あいつ”と俺の夢が一体化される。
もちろん、俺が一方的に『魅かれる』だけだが・・・。
「なぁ、聞いてる?」
「どけ、うざい。」
「ニャーニィー!?」
“猫”をはたくと、俺はベッドから立ち上がりクローゼットを開けた。
俺は、数々の服の中から三つ---白のカッターに肩付き黒マント、黒のズボンを取り出した。
それを見ると、“猫”は「おでかけぇ~!」と叫びながら階段を駆け下りた。
俺は、服をベッドの上に置くと、月を見上げた。
あぁ あの月のように熟れた果実よ
手に入れたくて、喰らい尽くしたくて---狂いそうで---
「月血世」
今から俺が会いに行く。
お前の主となる、この俺が---




