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めでたしと転校生 1/1

LOOP:NEXT

Round/A New Day



パチリと目を開く。

ベッドから起きてカーテンを引くと、窓の外は今日もいい天気だ!


文化祭が終わってそろそろ一週間経つ。

学園内は段々とお祭り気分も抜けて、いつもの日常に戻り始めている。


だが! 俺はずっと毎日が楽しくて仕方ない!

何故なら!

理央と!

恋人同士になったからだああああああああッッッ!!!


今の俺は無敵だ、怖いものなど何もない。

今日も元気に洗面所へ行って顔を洗い、身支度を整え、キッチンでテキパキと朝食を作る。

食い終わって片付けをしていると、来賓を告げるチャイムが弾むように鳴った!


「はぁーいッ!」


濡れた手を拭いて玄関へ急ぎ、ドアを開ける。

うっ、眩しい!


「やあ、おはよう、健太郎」


理央!

今朝もなんて可愛いんだ、ああっ、俺の女神!


「おはよう理央! 今日も美人だな!」


クスッと笑う姿はまさに煌めく星! いや太陽!

ああ神よ、この世に理央という存在をもたらしてくれたことを今日も感謝します。


「どうも、有難う」

「あっ、あのさ! すぐ行くから、車で待っていてくれよ!」

「うん」


理央が車に乗り込むまで見送り、すぐ通学用のリュックを取りに部屋へ急ぐ!

待たせるわけにはいかないからな。

理央、文化祭から毎朝こうして迎えに来てくれるんだ。

朝からずーっと理央と一緒、車で送り迎えしてくれる運転手さんも有難うございます。


俺は文化祭のジンクスに賭けて理央に告白し、理央も俺に秘密を打ち明けてくれた。

―――実は女の子だった理央。

男でも構わないと腹を括っていたが、元よりそんな必要はなかったんだ。

自分の本能的直観が怖い。

薫も昔からあんなに可愛いけれど、恋愛対象としては見られなかったからな。

やっぱり俺は、男を好きにはならない。

でも、だからって理央を性別で好きになったわけじゃないと思いたい。

そこに関しては俺も断言できない、真実は闇の中だ。

だけど一つだけ確かなことは、この想いは本物だという事実、それだけは紛れもない。


もしかすると俺みたいに、理央に何かしらを感じ取っている奴はいるのかもしれないな。

だけど本人に『君って本当は女の子?』なんて訊けるはずもない。

そもそも理央はファンクラブまである高根の花だ、最近は前より話しやすくなったなんて言われているみたいだが、それでも周囲からは変わらず若干距離を置かれている。


理央も、別に今のままで構わなくて、成人するまで性別を偽る気でいるらしい。

まだ女の子に囲まれている方がマシだそうだ。

それは俺も同感、理央が女の子だと知られたら、男どもはこぞって手の平を返すだろう。

だって可愛いからな。

でも理央は、もう俺だけの理央だ。

誰にも譲らないし渡さない、この命を賭けてでも守る、俺を何度もループさせてくれた暫定魔女だってきっと応援してくれる。


急いで家を出て、家の前に停まっている車へ向かう。

後部座席のドアから車内へ乗り込むと、奥に座っている理央がクスクス笑った。


「慌てなくてもいいと、いつも言っているのに」

「だってさ、理央に早く会いたくて、あっ、天馬さん、おはようございます!」


天馬さんは理央が乗る車をいつも運転している専属の運転手だ。

運転席から軽く振り返って「はい、おはようございます」と微笑み返してくれる。

この人も美人なんだよなあ、それに立派なお胸をしていらっしゃる。


「健太郎」

「ん?」

「今、天馬のどこを見ていた」

「みっ、見てない!」


いててッ! つねるなって、前はうっかり見ても怒らなかったじゃないか!

天馬さんはクスクス笑って車を発進させる。

こんなやり取りも幸せなんだよなあ。


「今の君には僕がいるというのに、その悪癖は依然改まる様子がないね?」

「ごめん、俺は美人が好きで」

「ほう?」

「おっ怒らないでくれよ! 愛しているのは理央だけだから、勘弁してくれ」

「ふむ、聞きたまえ、健太郎」

「はい」

「僕はね、浮気者は八つ裂きにすると決めている、君はもう僕のものなのだから、そのことを努々忘れないように」

「は~い」

「何を笑っているんだ、もっと罰が欲しいのか」

「い、要りません、ごめんなさい、気をつけます」


だって理央が俺を『僕のもの』なんて、嬉しいに決まってる。

叱られた手前、神妙に振舞いたいところだが、どうしても顔がニヤけてしまう。

まあ美人やデカい胸や尻をつい目で追ってしまうのは俺のスケベ心だから、そこは呆れられても仕方ない。

だけど浮気は絶対しないぞ?

そこは確実だ、なにせ俺は理央一筋だからな。

パーツに気を取られたところで意味なんかない、俺にとっての特別はいつだって理央だけだ。


「でも、やっぱり理央が一番魅力的だよ」

「調子のいいことを」

「アハハ、だって、お前が男でも構わないって思ってたんだぜ?」

「そうだね、男の僕が好きなのかと少々勘ぐっていた」

「うーん、性別は問わないっていう方が正解かな、俺は天ヶ瀬 理央に惚れた、だから男でも女でも理央なら好きだ」


偽りのない俺の本心、でも女の子でいてくれて嬉しい。

誰かに取られる心配は一応ないもんな、あとは俺の努力次第だ。


「そうか」

「おう! だから今日もお前が大好きだよ!」


理央はちょっと赤くなって「うん」と頷く。

可愛いなあ。

俺の理央はまさしくこの世の宝だ。


学園の校門が見えた辺りで車は停車する。

ここからはいつも歩いて登校だ。

前は校門前に着けた車から理央が降りると、ファンクラブの子達が殺到して大騒ぎだったが、今は誰も寄ってこない。

ただ、通りすがりに「ごきげんよう、理央さま」「ごきげんよう、大磯さん」と俺にも声を掛けてくれる。


ファンクラブ自体は今も存在しているんだが、どうやら運営方針が変わったらしい。

最近はそれらしき子達が遠巻きに理央を眺めて満足そうにしている。

もしかすると、俺に理央を任せてくれたのかもな。

しかしファンクラブの人数自体は前の倍以上に膨れ上がっているそうで、それってやっぱり文化祭での執事姿が直接の原因だろうか?


まだ理央に執事の格好をして貰ってないんだよな。

だって男ならともかく、女の子の理央に無茶は言えない。

俺の下心を満たすためなんてもっての外だ、機会を伺っているんだが、これがなかなか難しい。

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