第十五章 『六日目の帰港』
船長達の航海は、ようやく六日目にして目的の海賊を見つけたのだった。
「船長、南南西の方角に船を二隻確認しました!」遠眼鏡を片手にジミーが言った。
「どれ貸してみろ!」ジミーから遠眼鏡を奪い取ると、船長は右目に当て中を覗き込んだ。
「よーし! 面舵いっぱいッ! 右舷方向に舵を取れッ!」
船長達が目指す先を私は真実の泉に映し出してもらった。そこには、民間船に横付けする海賊船が、今にも民間船に移乗攻撃を仕掛け制圧しようとしていた。
再び泉に船長達を映してもらった。
「ビッグママ、悪いが速度を上げたい」
「任せておきな!」
水面に浮上していたビッグママは素早く海中に潜った。まもなくして船が少しガタン! と揺れた後、船の速度があり得ないスピードに変わった。どうやらビッグママは船底を押し泳いでいるようだ。
「さすがビッグママだ!」
「そうですね船長。このスピードの御かげで我々は、数々の難を切り抜けてこられたのですものね!」
「そうだな、我々三十人そこらの弱小海賊団が生き残れて来れたのは、他でもない彼女の御かげだ。ジミーそろそろ着くぞ、支度を整えろ!」
男達はそれぞれ与えられた役割を息のあった動きでこなし、戦闘の準備を整えた。
「いいか貴様ら、今日は紅鯨団の初仕事だ! 心して掛かれよ!」
船長の激に男達は、剣を片手に「オォーッ!」と気合を入れた。
「狙いは民間船を襲う海賊のみ! 手筈はこうだ! まず民間船に船を横付けし、民間船に乗り込んでいる海賊どもを鎮圧する。その間ビッグママは海賊船に体当たりして、海賊船の中にいる奴らを撹乱させる。そして俺達は鎮圧が終わりしだい敵の海賊船に乗り込み、残りの海賊どもを一網打尽にする。わかったな貴様ら、ぬかるんじゃねえぞォ~ッ!」
また男達は剣を片手に気合を入れた。
民間船にライフパルス号を横付けしたのはまもなくしての事だった。船長達はブランクを感じさせない身のこなしで民間船に乗り込んだ。船長達がなだれ込んで来た時、民間人も含め、敵の海賊達も戸惑っていた。だが民間人は自分達を襲う海賊達に立ち向かって行く船長達を見て、自分達を助けに来てくれたのだと安堵した。
敵の海賊達は予測しなかった事態に後退を始めたが、自分達の乗って来た船を見て愕然となった。見えない敵に船を攻撃されているので後退も出来ず、とうとう民間船の船首に追い詰められた敵海賊達は、剣を捨て、縄で括られ、それらを赤鼻のじいさんと数人が監視した。次に船長がビッグママに合図を送ると、敵海賊船への激しい衝撃と揺れは収まり、そこに船長達が素早く乗り込んだ。後の仕事は時間の掛かるものではなかった。乗り込んだ海賊船の船員達はフラフラになっていたからだ。
船長ら紅鯨団の男達は息の合った連係プレイと、裏方のビッグママの攻撃とで素早く勝利を収めた。
敵海賊兵達は、民間船の甲板上で縛り上げられたまま港に着くと、そのまま政府に引き渡された。言うまでもなく紅鯨団の功績は瞬く間に街に広がった。
海賊船から引き上げられた物資やお宝は思った以上に豊富にあった。敵の海賊船はそのまま民間船の乗組員数名に操縦させて政府に引き渡したが、後になって船長は「しまったぁ~っ、あれも金に換えとくんだったぁ~っ!」と後悔した。
男達は「これでミーシアに会いに帰れるぞ!」と喜びの声を上げ、互いに今回の功績を歓喜し合った。
海賊姫ミーシアとは別に、コメディータッチの自伝、
レッツ ゴー トゥ ザ NY ウィズ 岸和田㊙物語シリーズ1『武士はピンク好き 編』
も同時連載しておりますので、よければ閲覧してくださいね!
作者 山本武より!




