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アラサー中年冒険者ランクEのオレに、自称ランクBの少女が突然に妻となり、困り申した  作者: えん@雑記
二章

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038 妻は宣戦布告をする

 宿の主人に謝り多額の金を渡し、ニイケルを部屋に招き入れた。

 なお、騒動には世の中金次第な所はあり、泊まっている客には翌日に大量のお土産を渡す事、宿の主人にも、多額の迷惑料を払う事で解決した。

 宿の主人にいたっては、何日でも騒いでくれという始末である。


 元々二人部屋であった部屋には今は五人いる。

 最後に入ったニイケルが、まず口を開いた。


「やっぱりラーミさん達でしたか……」


 ラーミは不思議な顔で聞く。

「あの、ニイケルさんは、何でここに?」

「ムツナイの冒険者ギルドにマルクさんが指名手配されまして。

 こっちのギルドマスターのロウが確認のために様子を見て来いと。

 さらに中央ギルドに行くと、既に特級依頼が発動されてますし。

 情報を集めていたら、体格の似た駆け出し冒険者が泊まっていると聞いて、確認しにきたんですよ。

 まさか襲われるとは思ってませんでしたけど」

「それはどうもすみません」


 ラーミが謝ると、大丈夫ですよと、さわやかな笑顔を見せ付ける。

 

「所で、こちらの方は?」


 気になっているのだろう、トットマとミイナを見るニイケル。

 トットマが代表して喋った。


「二人に助けられた。俺はトットマと、こちらはミイナ」

「なるほど、俺もそうですし仲間という事で大丈夫ですか?」


 話を振られたマルクは、考えてから頷く。

「こちらが困っていると助けてくれているパーティーだ。オレ達の事だけであれば大体の事情は知っている。

 他にも一緒に行動している五人がいるが、それは別の宿にいる」


 ニイケルは丁重に礼をいい、自身の事をムツナイのギルドマスターから様子を見に来た魔法を使う冒険者と、紹介した。

 トットマもそれに習い、マグナのギルドマスターから様子を見に来た冒険者と挨拶する。


 自己紹介すると、五人は一度落ち着いた。

 これまでの状況を軽く説明し、いっその事国外へ逃げたほうがいいかなと、マルク達は話した。


「人脈というか凄いですね、二つの街のギルドマスターが眼に掛ける冒険者、中々いませんよ」


(そういわれると凄いな……、数ヶ月前じゃ考えられない)

「ありがたいな」


 マルクが素直な礼を言うと、ニイケルは笑みを浮かべ話し出す。

 トットマが力強い青年であるなら、ニイケルはさわやかな青年であった。


「『相手が正義を盾に取るならこちらも正義を盾にすればいいんじゃ』とギルドマスターなら言うと思います。

 こういうのはどうでしょうか?」


 四人はニイケルの案を黙って聞く。

 一通り説明を受けた後にマルクが口を開いた。


「オレに出来るのか……?」

「面白そうですっ!」

「面白そうね、私達に出来る事はあるかしら」

「それでしたら――」


 不安な事をいうのはマルクだけであり、ほかの四人はやる気満々だ。

 作戦会議は結局朝まで続いた。

 まず、ニイケル、マルク、ラーミはギルドへ行く、昨夜の特級が発動された事によりギルド内は混んでいた。

 

 先頭はニイケルであり、マルクとラーミは今日は変装していない。

 もちろん顔は隠すようにフードを目一杯出している。

 ニイケルは、顔が油まみれで、頬にぶつぶつが付いて、尚且つ、けだるそうで、憎たらしい顔のナルの前まで歩いた。


「あの、用事があるのですが」

「ああん? 忙しい、後にしろ」

「そうですか、仕方がありません、ラーミさん、マルクさん別な所へ行きましょう」


 わざと大きな声を上げるニイケル。

 口が大きく開き、固まると直ぐにニイケルを呼び止める。


「まて、その名前はっ!」

「忙しいのでしたら構いませんので、いやぁ。

 特級が出たので本人を連れてきたら後にしろだもんなぁ」

「まっ! おい止まれっ!」


 周りの冒険者が騒ぎ差出す。

 二階からギルドマスターのスライクが降りてくる、他の者が直ぐによんだのだろう。


「待て! ギルドマスターのスライク様だ。

 帰る事は許さん、本当に手配中の者なのか?」


 ニイケルが頷くと、マルクとラーミはフードを外した。

 中年のマルクと幼顔のラーミが周りの冒険者を見る。


 あれ、昨日ギルドにきた男の子じゃないか?

 じゃあ、隣のは筋肉が美しい女性。男性だったのか……。

 馬鹿、最初から男全開だったじゃねえか。

 男でも付き合いたい。

 などなど、会話が飛び交う。


「冒険者マルクだ」

「同じく、つ……。

 ええっと、ラーミです」


 妻と言おうとしてラーミは止めた。

 ニイケルが周りに見えるように一枚の紙を見せ付ける。


「この二人は、ムツナイのギルドマスターの客人です。

 手を掛けると、ムツナイギルドとの全面戦争となります。

 これが委任状です」


 周りの冒険者が立ち止まる。

 冒険者は冒険者だ、儲かる話が好きであり面倒事は嫌いな人間が多い。

 

「ど、どうせ偽者だっ」

「では、全面戦争という事で」

「ま、まて……、何もギルド同士で戦争したいと言っているわけじゃない」


 あっさりと、全面戦争しましょうと、いう言葉に、けしかけたスライクは慌てる。


「そうですね。

 使いの者がサンフラ騎士部隊長を呼びに行っていますので、待ちましょうか」


 言葉が終わると共に、トットマ、ミイナと、噂をしていたサンフラがギルド内へ入ってきた。


「こ、これはサンフラ様。

 おはようございます」


 スライクはこびた顔で挨拶をするが、サンフラは一切無視してラーミ達を見る。

 一瞬見せたその目は、優しさなど一欠けらもなく憎悪に満ちていた。

 直ぐに笑顔に切り替わる。


「おお、我親友の娘よ。会いたかった……」

 ラーミは小さくどの口がいうんですか……っと呟き、大きな声へ切り替えた。


「申し訳ありません、余り記憶に……」

「当然だろう、そなたは小さかった。

 しかし、そなたの父の遺言を守り迎えにまいった」


 過去はどうあれ、現在は義を守り紳士に行くと見せ付けたいのだ。

(なるほど、ニイケルの言うとおりだな。これなら……)


「でも、私には母の遺言もあるのです」

「それは聞いている。

 だが、古い物のほうが優先される」

「ええ、ですから私は困ってしまい、ムツナイのギルドマスターロウ爺さんに、相談しました」


 言葉を終わると、ラーミは突然後ろを向く。

 ポケットにいれたカンペを取り出して確認し、前へと振り返った。


「で、でしたら。戦ってみればいいと」

「ほう……」


 元が騎士だからだろう、戦いというと眼を細めラーミの話の続きを待っている。


「私は強い人が好きです、そこで父の遺言相手であるサンフラ様と、母の遺言相手であるマルクさん。強いほうについて行こうかと」


 ニイケルが、ラーミさん、もっと感情込めてっ! と、小さい声で言っているがラーミは棒読みである。

 それでも、サンフラは話に乗ってきた。


「騎士団部隊長の俺とか?。

 まさか知恵比べなどいうつもりじゃないだろうな」

「ええ、力比べです、騎士としての練習試合です」

「勝ったほうに付く、間違いはないか?」

「力なき乙女ですが、約束は守ります。

 あっ、それとマルクさんの手配を取り消しておいてください」

「よかろう、日時は任せよう」


 にやりとすると、サンフラはギルドを出て行った。

 ニイケルは手を叩くと場を仕切る。


「というわけで、マルクさんの逮捕状は即刻停止してください。

 会場は、北東の野外フロアを使いましょう、日時は五日後、では失礼します」


 言いたい事だけをいうと、ニイケルはマルクとラーミを連れて外へでた。

(5月10日、18時

5月11日の更新は、体調不良のためお休みです

(5月12日、20時追記

5月13日AM7時分を投稿しました


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