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アラサー中年冒険者ランクEのオレに、自称ランクBの少女が突然に妻となり、困り申した  作者: えん@雑記
二章

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033 妻と逃亡者

 王都カーベランス。

 その一つの門で、マルクは両腕を縛られ地面に転がされている。

 マルクの周りには門兵が六人ほど、全員が長い棒を持っておりマルクの全身を押さえつけていた。

 背中すら踏まれ身動きが取れない。


 全身が痛いが、叫ぶほどの痛みではなく、必死で考えていた。

(何かどうなっている……、まずは……)

「は、話をっ」


 若い門兵がマルクの顔を足で蹴った。

「喋るなっ、犯罪者が」


 マルクは顔を蹴られた拍子に、門兵達の足元が見えた。

 全員が兵士の靴をはいているのに、小さい女の子靴が見えたのだ。

(あれは……)

 

 若い兵士が、マルクを縛り上げているローブを無理やり引っ張る。

 その背後にいる少女にいまだ気付いていない。

「立てっ。このまま牢へ連れて行く」


 若い門兵に引っ張られ体が持ちがった。

 そして、強制的に上げられた体が直ぐに地面へと落とされる。

 若い門兵がマルクと同じく地面へと崩れ落ちたのだ。


「どんな、理由か知りませんがっ!

 私のマルクさんを捕らえ、集団で暴行する。

 死ぬ覚悟はあるんですよねっ!」


 若い門兵と、マルクの間にラーミが割り込んできた。

 先ほどラーミが連れて行かれた部屋のほうへマルクは顔を動かす。

 扉は開け放たれて、中の門兵達が地面に転がっていた。


(何時から、オレはラーミの物になったんだろうか……)

 苦笑し場違いな考えをしながらも、ラーミの暴挙を止めようと声を出す。


「ラーミ、ダメだっ。

 暴れないほうがいい」


 怒った顔のラーミが振り向きざまに喋る。

「マルクさんっ!」

 言葉を切ると、門兵の一人がパンチで吹っ飛ぶ。

「馬鹿ですかっ!」

 次の門兵へと蹴りをいれた。

 ガードをしていたのだろうが、そのガードごと吹き飛ばし、蹴られた門兵は壁へと激突する。


 怒りに燃えているラーミに、マルクは情けない声をだす。

「すまない、どうもお人好しらしい、一先ずはっ撤退しよう」

「はー……。わかりましたです」


 両腕を縛られているマルクを掴むと、無造作に持ち上げる。

 周りの兵士や見物人も、その異様さに一歩、二歩と下がった。


 乗ってきた馬車へと、マルクをほうり投げた。

 見事馬車の中へと収まると、ラーミ自身も馬車にのり全力で元来た道を走り出していた。


 マルクはゆれる馬車の中で転がり落ちないように、体を丸めていた。

 そして馬車の速度が落ちてきた事を体で確認すると、ラーミへと確認し始める。

 馬車が完全に止まったのが確認できた。

 

 馬車の中へラーミが入ってきた。

 先ずは状況確認とおもい、マルクが声をだす。


「ラーミ……、ここは?」

「『ここは?』 じゃありませんっ!

 なんで、抵抗しなかったんですかっ! おそらく抵抗できましたよね?」

「いや、彼らも何かしら理由が……」

「あったとしても、やりすぎですっ!

 こちらを犯罪者扱いして、いきなり叩く。

 酷いですし、訳がわかりませんっ!

 全員を倒そうと思ったら、マルクさんは止めるしっ!」

 

 ラーミは思い出したのか、怒りで震えている。

 そんな様子をみれて、マルクはほっとしたのか全身の痛みが襲ってきた。


「っぐ」

「い、痛みますよね。傷、治しましょう」

「すまない」

「いーえっ! まず縄解きますね。

 うわー……。取り難い完全に鎮圧用の奴ですね」


 細く頑丈な長い紐、その両方にオモリが付いており遠心力を使ってまき付ける。

 簡単な作りであるが、とうてき武器にもなるし活用は幅広い。

 

「取れましたっ! 次は……。

 口の中も切っちゃって、あっでも幸い歯はありますね」

「それは助かる、この歳で入れ歯には成りたくない」

「痛いでしょうから、黙っていたほうがいいです」


 場を和ませようと冗談を言うが、余り受けなかったようだ。

 ラーミは、マルクの頬に両手を当てる。

 目をつぶると精神を集中しているのだろう、両手が光り、マルクの口の中を癒していく。


(なんど受けても、なれない物だな……、しかし暖かい)


 これでラーミの治療を受けるのは二度目である。

 触られた所が温かくなり、体内の内側から火を当てられているような感触だ。


「はい、口の中は大丈夫そうです。

 次は、全身で痛い所ってありますか?」

「軽く痛いが、不自由な所はない」

「わかりました。

 私の治癒って再生がメインらしく、他人の打撲にはあんまり効かないんですよね……」

「いや、助かった、しかし……」


 困ったな。その言葉が中々でない。

 ラーミが、変な物でも見るような眼でマルクを見ていたからだ。


「どうした? オレの顔に何か付いているか?」

「いえ、マルクさんが、少し笑っていたので珍しく」

「オレが……?」


 マルクは自分の顔に手をあてた。

 伸び始めた髭に、子供達からからかわれる眉間に刻まれたシワなどを触った。


(なるほど、笑っていたか)

「そうかもしれない。

 ラーミと居ると何か刺激があり楽しいんだろうな」

「無いよりはあったほうが楽しいとおもいます。

 でも、元を正せば、今回マルクさんが犯罪者扱いうけたのって私のせいですよね……」


 ラーミは元の原因を突き止め、しょんぼりしだす。


「気にする事は無い。

 それに、ここで謝られると、もしオレが原因でラーミに迷惑をかけた時に困る」

「わ、わかりましたっ! そうですよね、今の事を考えましょう」


 二人は馬車に残った物を調べる。

 金貨百枚弱、に数日分の食料に水。

 現在の位置は来た道を引き返し、幾つも枝分かれした道を適当に走って入った山の中。

 追っては来るかはわからないが、一冒険者に山狩りもしないだろうと、二人は考える。

 冒険者カードはお互いに、門兵から返してもらってないので持っていない。


「こんな扱い受けるなら、お酒もっと買っておけばよかったですね」

「まったくだ。

 とはいえ、買いに行こうにも」

 

 王都で手配されていた以上、他の町でも手配されている可能性が高い。

 ここ数日は大きな街ではなく、村や集落であったので問題はなかったが、マグナのような冒険者ギルドがあるような大きな街に入るのは、中々面倒になるだろう。


 冒険者ギルドへ偽名を使って入る、そのパターンであるが、ギルド登録の時に特別な魔法具を使う。

 水晶に手を乗せると、様々な色が出る水晶体だ。

 登録者の色のパターンを記憶し、記憶されたパターンは中央冒険者ギルドに送られる。

 そこで二重登録などが無いように確認し、そこでやっと冒険者カードが発行される。


(偽名を使い、ギルドには入れない。さらに、マグナの街には戻れそうに無い)


 ラーミはマルクの考えをよそに、ぽつりと提案をする。

「国外にでも行きますか?」

「どうするべきか……」


 二人が悩んでいると、馬車の音が聞こえてきた。

 マルクとラーミは顔を見合わせる。


「追っ手ですかね……?」

「音からして馬車は複数に聞こえる、もしかしたら旅馬車で素通りするかもしれない」


 マルクの考えとは裏腹に複数台の馬車は、マルク達の馬車の近くで止まった。

 多数の男女の声が聞こえ、俺が見てくるよと、一際大きな声が聞こえた。


 馬車に付いている木の部分を軽く叩いた音がし、二人に外から声が掛かった。


「こちらは旅の者です、何かお困りでしょうか?」


 マルクとラーミは顔を見あせて無言になる。

 反応するかしないべきか、とりあえず門兵でない事は確認できた。

 返事が遅れると、外の声が大きくなって人数が増えていく。

 

「トット……。反応が無いという事は山賊かもしれない」

「アケミ。ミイナを起こしてくれないか?」


 三人目の声が追加された。

「もう、起きてるし、横にいます……。馬車の中に人が居ますよね。

 私達は旅の冒険者です、何かお困り事があれば、話を聞くぐらいは出来ます、喋れないようでしたら、様子を見ますので中を拝見させて頂きます。なお、万が一の場合を考えて私達は武器を構えていますので、申し訳ありません」


 ミイナが馬車の中を覗く。

 マルクとラーミを見て、驚く顔になった。

 もちろん、マルクとラーミも無言で驚く。

 心配したトットマが、ミイナの横から馬車の中を覗き込んだ。


「あれ……。ええっと……、どうも」


 何とも間の抜けた挨拶をトットマはした。


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