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アラサー中年冒険者ランクEのオレに、自称ランクBの少女が突然に妻となり、困り申した  作者: えん@雑記
二章

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032 妻は王都入り口で保護される

 マルクとラーミは、賊から奪った馬車に乗り、夜道を進んでいる。

 賊のアジトがあった場所に、冒険者ギルドが押し寄せたからである。

 

「今頃いそがしいでしょうね」

「だろうな」


 何が忙しいかというと、犯人達確保の事だ。

 ラーミは賊がどさくさに紛れ逃亡する恐れもあるので、穴を掘った。

 それはもうかなり深く。


 両手を縛ったまま賊をそこに放り込んできたのだ。

 仮に手が使えても短期間では登って来れない深さ。

 森を抜ける直前に、暗闇にチカチカと光が現れた。

 マルクは馬車の速度を落とすと、光のほうへとゆっくりと誘導させる。


(あれが目的の場所か……)


 その光を目指して馬車を走らせると、ムズナイの冒険者ギルドマスターのロウ爺が待っていた。

 マルク達が使っていた馬車に乗って隠れていたのだ。

 その近くまでいき馬車を止める。


「ふぉっふぉっふぉ、さすが見込んだ二人じゃわい。

 こうも旨くやってくれるとはっ」

「その割には、私達を捕まえたり、じんもんしたり、脅迫したりしてましたよね、よねっ?」

「はて……?」


 わざと恍けたフリをして、ラーミの質問をはぐらかす。

 ラーミは、わざとに、むかつきますっ! と、喋っている。

 話が進まなさそうなので、マルクが、小さく咳をして話を進めた。


「回収した金貨などは馬車の中。他に人質が十人いたので、十袋渡した、回収されないように衣服の中へと隠してもらった」

「わかっておる、アッチにはニイケルとマキサスが行っておる、人質から回収する事もないだろう、他には何かあったかのぅ?」


(恍けているふりをしているが、これは何を見たか聞き出そうとしているのか?)

「何かの実験部屋と、人が魔物になった、これがその装置らしい、変化する所は見てないが、戻る所を見た」

「ほう、そりゃおどろきじゃい、では、預かろう」


 全然驚いていないロウ爺に、マルクはスイッチ付きの箱を受け渡す。

(全ては知っていたか?)


「さて、そろそろ閉めようかのう。

 お主らが使っていた馬車はワシが持ってきた。

 というか、お主ら本当に王都に何しに向かうんじゃ?

 馬車の中は酒とツマミになるようなのしか無かったぞ……」


 ラーミは元気よく答える。


「秘密でーす、しいていえば、悪を滅ぼしに?」

「そのなんだ、誤解を解きに」

(相手は、貴族だし、滅ぼしたらだめだろう……)


 納得したのかしないのか、まぁええわいと、ロウ爺が歩き出す。

 ちょっとまってろと、言うと、マルク達が奪ってきた馬車へと乗り込み、直ぐに出てきた。

 手には金貨が入った袋が二つ握られている。


「謝礼として、金貨百枚ほどかの。

 よくやってくれた、使ってくれ」

「ええ、こんなにいいの?」

「その代わり、暫く街には入れないからのう、当然といえば当然じゃろ」

「ありがとう、ロウ爺ちゃん!」

「なんのなんのっ、ではまた、縁があれば会おうマルクにラーミだったな」


 ロウ爺は二人に握手を求め、二人もそれに応じた。

 マルク達が街道へと戻り暫くすると、その横を何台もの馬車が行ったり来たりとすれ違った。

 そのうちの一台に、往復しているのだろうニイケルが乗っていた。

 気付くか気付かないか、そのすれ違い様に小さく敬礼をして別れる。


「あっ、マルクさん今の見ました? ニイケルさんですよね」

「ああ……。全ては旨くいったそういう合図なのか、律儀な青年だ」

「ああいう人が、もてるんでしょうねぇ……。

 あっ! でも私はマルクさんのほうがいいと思ってますよ?」

「それは、嬉しいな」


(そういえば、地下でみたクリスタル。アレと同じのがニイケルの胸で光ってたような……、だめだな年を取ると余計な事まで詮索しようとする)


「マルクさん、考え事です?」

「いや、そういうわけでもない。

 さて、夕方まで一気に進もう」


 二人はそれから馬車を走らせる。

 何度か休憩を入れつつだ。

 暗くなり手ごろな場所で止めると、夜営の始まりだ。

 火をつけ、酒を飲み、ツマミを食べる。


 今朝まで三つのタルに入っていた酒は既に一つは空になっていた。

 ラーミはぶどう酒を飲むとマルクへと寄り添う。


「勝利の美酒って奴ですね」

「そうだな」

「にしても、二日で百枚ちょっとの稼ぎですか」

「そうだな……。それだけ危険な依頼だった、ラーミじゃなければ無理だったろう」

「もう、すーぐマルクさんは、自分を下に見るんですから。

 思ったんですけど、マルクさんそんなに弱くないかと」


 ラーミの言葉にマルクは驚く。

 万年Eの自分に、本当にランクB、実際はもっと上なんじゃないかというラーミは、マルクはそこまで弱くないと言うからだ。


 なので、今度訓練しましょうねーと、ラーミは嬉しそうだ。

 マルクもそうだなと、返事をしてぶどう酒を追加で飲みだした。


 残りは王都までは後は順調だった。

 大きな街にはいかないで、途中にある小さな村などで食料だけ買い込むと直ぐに出発をする。

 それの繰り返しであった。

 

 明日には王都に着くだろうと、最後の夜営だ。

 酒タルは全て空になっており、今は水を飲んでいる。


「にしても、思ったよりも金貨は減りませんね」

「高級な物を買ったわけじゃない、毎回酒を補充していたが、普通な酒だったらそこまで高い物じゃないからな」

「そうなんですよね、お酒でもいいですけど、そう何度も何度も高いのを飲みたいとは思いませんし。

 六十日ぐらいは遊んで暮らせますけど、何か大きな、そう家を買うなどには足りませんし、王都のギルド着いたらとりあえず預けちゃいましょうか」

「そうするか」


 とりあえず、貯金という事で落ち着く。

 ラーミは欠伸をしはじめた。


 マグナを出てから早くも十二日ほどがたった。

 寄り道をした分遅くなったが、そのほかは順調どおりである。

 とはいえ、さすがに疲れも溜まったのだろう。

 本来なら街から街で一泊していくような旅が理想であるが、ほぼノンストップで来た分の疲れが、マルクにもあった。


「さて、明日は忙しくなるだろう、早いが睡眠にしよう」

「ですね。どういう事かしっかりと説明して貰わなくてはっ」

 

 翌朝に残った始末をして馬車を走り出した。


 王都カーベランス。

 中央に城があり、それを守るように配置された人口の川に、街を囲む高い城壁が特徴的だった。

 

 二人は身分証を見せ、入国しようとする。

 若い門兵が、マルク達、旅人に決まった挨拶をする。

 二人の冒険者カードを確認するのに小部屋へといった。

 戻ってきた若い門兵、さらには別な門兵も増えている。


 若い門兵がラーミへと真面目な顔で話しかけた。


「ラーミ・ランフ・ヴァミューさんで間違いないですね?」

「え、はい。そうですけど? で、こちらの渋い男性が夫のマルクさんです!」


(何もそこまで持ち上げなくても……)

 持ち上げられて、どうしていいかわからず少し照れる。


「わかりました。

 では、ラーミさんはこちらの部屋で手続きがありますので」


 ラーミが一人別部屋へと行く。

 変わりに屈強な門兵が入れ替わりに入ってきた。


(なんだ?)


 四方八方からマルクに対して、鉄棒で身動きを取れなくするように突いた。

 丈夫なローブで、その両腕を縛り上げる。


「うぐっ、な、なにをっ」

「冒険者ギルド所属マルク。

 サンフラ・マリュ・クロの婚約者、ラーミ・ランフ・ヴァミューを誘拐した罪で逮捕するっ!」


 マルクの周りには他にも、入国を待つ人間が沢山おり、マルクはその視線に晒されながら捕縛された。 

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