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アラサー中年冒険者ランクEのオレに、自称ランクBの少女が突然に妻となり、困り申した  作者: えん@雑記
二章

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029 妻に武器を買ってもらう

 改めての話し合いの場となった。

 先ほどとは違い、テーブルの上には、茶と大量の茶菓子が山積みになっていた。

 事務的だった老ギルド員、いやロウ爺も表情を崩し話はじめる。


「すまんかった。

 あまり、内情を知られたく無かったのじゃ」

「最初から素直に話してくれればいいんですっ!」

「素直に話して受けるともかぎらんじゃろ?」

「そうですけど……。

 今だって、聞くとは限りませんよ?」


 ロウ爺はにやりとする。


「席に戻ったという事は多少の無理難題なら聞くという事じゃ。

 その点は心配あるまい」

「別に、断る事もありますしー」


 不満な声をだすラーミであるが、席を立とうとしない。

 立とうとしないのは受け入れる準備があるからだろう。


「その、話はなんなんだろうか?。

 俺達みたいな流れの冒険者に頼むよりは、所属の冒険者もいるのでは?」

「問題はそこじゃっ!」


 なにやらギルドマスターロウ爺の演説が始まった。

(どこの町でもギルドマスターというのは、なぜこう、押しが強いのだろうか?)


「いいか、お若いの。

 冒険者ギルドといえど、国と友好関係はあるが国のためにあるわけではないのじゃ!

 おぬし等が捕らえた賊。

 既に、釈放されているだろう」


 思いかげない言葉にラーミが直ぐに文句を言う。


「な、なんでですかっ!

 人を殺そうとした奴ですよっ。

 私は撃退出来ますけど、その刃にかかった者だって」

「いるだろうのう。

 あやつらは、なぜか国から守られておる、門兵が賊を保護した。あとはあいつ等は、出来心で初めてやったんです! と言えば釈放される。

 つまりはそういう事よ」


 そういう事というのは、賊と国が繋がっている。

 すなわち、貴族の一部が賊と手を組み金や命をもてあそんでいるのである。

 マルクは疑問に思った事を訪ねた。


「では、そのベテラン冒険者はどうだろう?

 ムツナイにだって家を持っている冒険者はいるはずだ、オレ達みたいな流れ者に頼まなくても」

「いるにはいる、しかし、そういう者に頼むと、今後この街で生活するのに大変になるだろうな。

 どれぐらいの者が関わっているのか謎なのだ、もちろんギルド内だって全員がワシの考えに賛同してるわけじゃないだろう」

「なるほど……」


 冒険者はあくまで、冒険者だ。

 金のために動く人間もいる。

 マルクが納得すると、横のラーミが口を出す。


「あの、よくわからないですけど、変に逆らうと街にいる貴族などからイジメを受けるって事であってます?」

「ああ、あってるのう。

 物分りがいい、じょうちゃんじゃ」

「そこでだ。

 困っていた所に現れた、綺麗で可愛くて、博識でその上に強い冒険者がやってきた。

 流れの者ならば、直ぐに街をでていくだろうし、アジトが崩壊すれば暫くは大人しくもなる。

 頼みたいと思う気持ちは、わかるじゃろ……」


 持ち上げて、持ち上げて最後にしおれて話すのは、交渉術だ。

 ラーミは満更でもない顔をしている。


「そ、そこまで言うなら。

 急ぐ旅ですけど、ちょっとぐらいの寄り道はいいと思います。ねー、マルクさんっ」

「ロウギルドマスター。その、危険はないのか?」

「ロウ爺と呼べ。

 無いわけがあるまい、無かったら、じょうちゃんが吹き飛ばした、ニイケルに行かせる。奴だって冒険者ランクにすればCはある」


 ニイケルと呼ばれた銀髪天然パーマの男性が小さくお辞儀をする。

 マルクの半分程度の年齢にしかみえないのにランクはC、かなり出来る冒険者に違いない。


「お主は怖いのか?」

「怖いとかではなく、ラーミが怪我をしたら、いや……。

 怪我で済めばいいが――」

「大丈夫です!

 でも、心配してくれた事に嬉しさが爆発しそうです」

「まーアレだけの賊を、苦も無く捕まえるんだ大丈夫じゃろ」


 マルク達は一時的に解放された。

 本番は夜になってかららしい。

 監視はつけないが、何か大事な物を預からせて欲しいと、言われマルクは冒険者カードを手渡した。


 夜に合流した時に返してくれる手はずになっている。

 ラーミは冒険者がよく行く通りだと、紹介された道でキョロキョロとしていた。


(少し落ち着きがないかな? 珍しい事もあるもんだ)

「ラーミ、何か珍しい物でもあったのか?」

「無いから探しているんです」

「す、すまない……」


 マルクが直ぐに謝ると、ラーミのほうが慌てる。

 周りから見ると微笑ましい親子だ。


「マルクさんっ、ち、ちがいますからっ。

 怒ったのではなくて、マルクさんが使う武器を探していたんです」

「武器? オレに?」

「ええ、だって現在は小さな短剣しかないですよね」

「そういえばそうだな……」

(以前使っていた剣は、使わないから売ってしまったからな)


 マルクは自分の装備を確認した、布の服に、丈夫な革で出来た軽鎧と短剣。

 ラーミのほうは見た目はもっと酷く、耐火耐斬に優れた丈夫な服のみである。

 その見た目は小さな女の子そのものだ。


「何かいいでしょうねぇ。

 マルクさんなら剣より斧って感じはしますけど」

「斧かぁ、確かに樹なども切れるし、いいかも知れないな」

「あの武器として……」

「逆にラーミは武器はいらないのか?」

「私ですか?」


 腕を組みながら悩み始める。


「そうですねぇ……。

 これでも、自己分析は出来るほうなんですけど、体術も剣術もからっきりで、それなら殴るほうが早いかなって思ってます、逆にマルクさんに教えてもらいたいぐらいですし」

「はっはっは、オレも自己流でなぁ、それにオレとラーミじゃ赤子の手をひねるような物だろうし勝負にならないだろうな」

「笑い事じゃないですけど、そうだ!。

 今度手合わせしませんか?」

「いいのか?」

「はい、二人でSS目指しましょう。でもその前に装備を整えましょう、とりあえずあそこの店にでも入りましょうか」


(SSか……。冗談ではなかったのだな、ラーミ一人なら可能性はあるだろうが、オレになれるのか?)

 

 考え事をしているとラーミが武器の店を見つけた。

 手を引っ張られ二人は店先に剣が置いてある店へと入る。

 ラーミより小さい男性が、二人を見て挨拶してきた。

 その身長の低さに、ラーミが一瞬ビクっとすると、店員が笑った。


「なんだ、娘さん。ドワーフは始めてかい?」

「ご、ごめんなさいっ!」

「いいって事よ、はじめて見る人間は大概そうなる。

 父親のほうは、驚かないんだな」

「あの、父親じゃなくて旦那さんですっ!」

「は? いやすまねえ、って事は、君もドワーフか?」

「人間ですけど?」


 二人の間に微妙なすれ違いが起きた。

 妻であるラーミが子供過ぎてドワーフと間違えた店員と、それに気づかないラーミ。

 直ぐにドワーフの店員は表情を笑顔に戻す、さすが客商売である。


「おれっちの所は武器店だ、何か気に入った物があれば声をかけてくれ」


 二人は店内を見回る。

 剣だけでも大剣、中剣、小剣、装飾があったりなかったり、さらに値段も銀貨二枚から金貨三十枚と幅広かった。


「今度の依頼は相手が多数だ、できれば弓などが欲しいが……。

 撃ったことは無い」

「じゃぁだめですね」

「こっちのクロスボウはどうでしょう?」

「うーん……。

 連射がききそうにないし、矢も思ったよりかさばりそうだ。

 ラーミはどれを使うんだ?」

「どうしましょうねぇ……」


 二人は悩んだ末に、マルクの武器だけを買った。

 収縮機能が付いた鉄根である。


 マルクの性格に全てが嵌っていた。

 相手を切ることを優先しなく、戦力を奪う事を目的とした武器であり。

 さらにっ、小さくまとまる事で荷物にもならない。


(これは便利だ、数年ぶりに武器を買ったが、これなら武器以外にも洗濯物を干したりもできるな)


「マルクさん、嬉しそうですね」

「ああ、少しでも足手まといにはなりたくないからな。

 本当にオレが付いていっても……」


 今回の依頼は、賊のアジトの壊滅である。

 戦力で言えばEのマルクは、お荷物であるがラーミが一緒にと、希望したために付いていく。



「もう、一人で行ってもつまらないですし、一緒に行きましょうって言ったじゃないですか。

 では、もう少しブラブラした後に門を出ましょうか」

「そうだな、もう少し回ろうか」


 二人は日没まで、ムツナイの街を回る事にした。

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