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アラサー中年冒険者ランクEのオレに、自称ランクBの少女が突然に妻となり、困り申した  作者: えん@雑記
二章

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028 妻は尋問を受ける

 襲ってきた賊を捕まえたというと驚く門兵。

 規定にのっとって全員を引き渡した。


 門兵の中でも中隊長らしき人物が、賊の顔を確認し奥へと連れていく。


「ご苦労だった少ないが報奨金を出そう」


 中隊長は報酬を二人に渡す。


「うわ、本当にすくな――――」

「さぁ、ラーミ! もういこうか」

「あ、マルクさん待ってくださいー」


 中隊長が不機嫌な顔をすると、マルクはラーミと一緒に町へと入った。

 予想外の収入。


 町の中で二人で話す。どう使うかだ。


 マグナとの街の距離もそこまでは離れていないし、何か観光目的もあるわけじゃない。

 二人の買うものは、馬車に積み込む食事と酒ぐらいな物である。

 

「思うんですけど……私達ってお酒を飲む以外にも、趣味を見つけたほうが良いと思うんですよね」

「そうだな」


 そう言いつつも、二人は既に飲んでいた。

 一口に酒といっても多種多様であり、今飲んでいるのは梨から作った果実酒だ。

 さっぱりとした甘みがあり、女性や子供でも飲みやすい。

 二人は特にこだわらなく飲む。


 ぶどう酒であったり、麦酒であったり、リンゴ酒やウイスキーすらも飲む。

 そんな飲んで大丈夫なのかと言われると、二人とも割りと大丈夫なので辞めようとはしない。


 二人とも、気が抜けてぼーっと座っていた。

 焼いた鳥を食べながら空を見上げる。


「こう、のんびり飲んでいると、王都とかどうでも良くなりそうで怖いです」

「確かに」


 二人の背後に老人が立つ。

 ベンチでだらけている二人に声をかけた。


「もし、あなた方が賊を捕らえた二人ですかな?」

「ええ、そうだな。

 もっとも、オレではなく、ラーミが捕縛した」


 自分よりもラーミの活躍を伝えた事により、老人が驚いた。


「ええっと、どなたでしょう? マルクさんの知り合いでもないし、私の知り合いでもないですよね?」

「これは申し遅れました。ムツナイ冒険者ギルドの者です。

 お二人にはギルドに召集がかかってます。規約により来て頂きます」


 有無を言わせない口調であり、犯罪者にいうような口調であった。

 ギルド規約と言われると、行かなければならない。

 

 老ギルド員に連れられてムツナイ冒険者ギルドへと向かった。

 室内はマグナの街の冒険者ギルドとさほど変わらない作りだった。


 老ギルド員と、中年になったマルク、そして子供のラーミ、異質な三人の組み合わせにざわつく。

 老ギルド員はそのまま二人を奥の部屋へと通した。


 室内は鉄が張られており、扉さえも内側は鉄だった。

 他にも若いギルド員が二人待機をしていて、一人は内扉前に立っている。


 ラーミが室内を見て呟く。

「なにか牢みたいなんですけど……」


 答えずに老ギルド員は二人を椅子に座らせると、自らも座った。


「仔細は、門兵から聞いています。

 ギルドカードを確認させてもらいますかな?」


 二人は顔を見合わせて、それぞれのカードをテーブルの上へと置いた。

 名前とランクが書かれており、老ギルド員はそれを特殊なレンズで確認しはじめる。


「確かに、本物です。

 最初は門兵が間違えていると思ったのですが、マルクさんがEで、ラーミさんがBですな」

「そうなる」


 マルクが短く返事をした。

 二人とも確認が終わったギルドカードを大事にしまうと、老ギルド員が、眼光鋭く喋る。


「所で賊のアジトは破壊しなかったのですか?」

「しなかったのですか? と言われても、場所がわからない」

「何故無傷で捕らえた賊に、質問しなかったのですかな?」

「そういわれてもな……」

(何を言いたいのか……)


 老ギルド員はさらに話を続ける。

「では、アジトを見つける気が無かった。そういうわけですな」

「無いも何も、旅の途中だ。

 すまない、何を言いたいのか、よくわからない。

 オレ達にどうしろと……」

「では言いましょう。

 賊を一網打尽に出来るのにしなかった、賊を街に入れる事により報復の危険を増やした。

 その他もろもろで、あなた方には賊のアジトを壊滅させる義務があります」


 思わず、マルクでさえも言葉を失う。

 無茶苦茶すぎるからだ。

 冒険者にそんな義務は無い、少なくともマグナの街では聞いた事がなかった。

 それまで黙っていたラーミが口を開いた。


「マルクさん、行きましょう」

「逃げるのか? こっちはギルドの冒険者資格を取り消してもいいんだぞ?」


 暫くの沈黙の後、ラーミはマルクの手を引っ張る。


「それは脅迫か?」

「脅迫に聞こえましたかな?」

「だったら、俺の資格を取り消して貰おう」

「なななななに言うんですか!」

「いや、どの道王都へ着いても冒険者を続けれる保障はない」

「だったら国を捨てましょう、あっそうだ。

 最初からそうすれば良かったんです、国を捨てれば変な制約もないですしそうしましょう!

 と、いう事なので私のカードもここに置いていきますね。

 行きましょうマルクさん!」


 ぽかーんと口を開ける老ギルド員。

 マルクのほうも自身のカードを置くと席を立った。

 

 慌てた若いギルド員がとりあえず扉の前でガードをすると、ラーミは無造作に跳ね除けた。

 狭い室内で若いギルド員は壁に打ち付けられて苦悶の表情を浮かべた。


「これって反逆罪もつきますかね?」

「…………つくだろうな」

「あれ、マルクさん少し笑ってます?」

「そうでもない」



 アルコールが少し残っているのと、マルク自身もどこかで腹がたっている分、ラーミがこうして自分の為に動いてくれるのが少し嬉しく思っている。


 ラーミの手は既に扉を半分開けていた。

 その背後から老ギルド員の言葉が重なる。


「ま、まってくれ。ワシが、ワシがギルドマスターのロウだ。どうか助けてくれ……」


 ラーミの手が止まり、開いた扉を閉めて後ろを向いた。

 先ほどまで事務的に話していた老ギルド員は、困った顔になり砕け始めた。

 こっちが素なのだろう。


「あの、もう一度お願いします」

「悪かった。

 ワシがムツナイ冒険者ギルドマスターのロウじゃ。

 ロウ爺とでも気軽に呼んでくれ、話す。

 全て話すからもう一度聞いてもらえぬか。

 茶と茶菓子も出す、なんだったら酒も出す。おい、二人で手配しろ」


 酒と聞いて二人が部屋から出る気は半分ほど無くなった。

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