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アラサー中年冒険者ランクEのオレに、自称ランクBの少女が突然に妻となり、困り申した  作者: えん@雑記
一章

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019 妻は名案を出す

 集落の中心部には井戸があり、少し離れた場所に鉄で出来た檻があった。

 その中には冒険者ランクCからFの女性冒険者が、皆おもいおもいの表情で顔を伏せていたりした。


 終始無言なのは、剣士タイプのミイナである。

 パーティーのサブリーダー的な存在で爪を噛んで悔しさをにじませていた。

 

 このパーティーは、トットマ以外は女性で構成されていた。

 剣や槍を使う者、守りが上手い者、魔法を使う者や回復魔法を使う者などが集まったパーティーだった。

 特徴的なのは、全員がトットマを愛していたし、トットマもそれに応えた。


 トットマをBランクに上げたいと思い、全員がそれに賛同した。

 ギルドランクを上げるには功績がいる。


 先にもあったようにお互いの縄張りに入るなという決まりがある。

 あるにはあるが、オークも人間もその命令に従う者ばかりではない。


 オークのほうも、秘密裏に集落を出ては人を襲ったりもする。

 人間のほうも、実力ためしとしてオークの縄張りに入ったりもするし、縄張りから出たオークを狩ったりもした。


 勘違いした冒険者が入らないようにと、ギルドマスターは集落へいく道を大きく封じた。

 

 トットマ達は、そこを壊滅すれば功績があると勘違いしたのだ。

 全員の意見が一致すると、行動は早かった。


 大岩をどけ、その先にいる、畑仕事をしていた、のん気なオークを倒す。

 前衛三人。盾二人。そして魔法使いと回復魔法が使える子が合わせて三人。

 全てが順調だった、アイツが現れるまでは……。


 爪を噛むミイナがみるのは一つの小屋、そこにハイオークが居るはずだ。


 それまで統制の取れていなかったオーク達は、青白い肌のハイオークが現れたとたんに無駄の無い動きをしてきた。

 ハイオークは最初に盾を吹き飛ばし、回復魔法を使う仲間を狙った。

 その隙に一気に形勢が逆転された。



 それでも、トットマを茂みに隠せたのは大きい。

 彼さえ生きていればと思う、全員が同じ思いだった。

 物思いにふけっていたミイナは後頭部に痛みが走り檻の中で悶絶した。


 うずくまり頭を押さえながら足をパタパタとしはじめた。

 ミイナの足元には手のひらサイズの石が落ちている。

 一緒に檻に入った仲間が、ミイナの後頭部をさすり回復魔法をとなえはじめた。


「ミイナ?」

「ミィ、オークに何かされた!?」

「お姉さまっ大丈夫ですか!? 直ぐに痛みは飛ばしますから」


 同じ牢に居た仲間達に心配をされる。

 少し遠くに見張りに付いているオークは、多少人間達が騒いでも気にしないようだ。

 ミイナは石が飛んできた方向をみると、小さな女の子が茂みから手を振っている。

 もちろんラーミであった。

 ラーミはいま体にロープを巻きつけ、オークの集落へと降りている。


 思わず口を閉じた。

 そうしないと叫びそうになるからだ。

 

 ラーミは自分に気づいてくれたミイナを確認すると、第二球目を投げた。

 その物体を、音を立ててキャッチするのは同じ牢に入っている守りが得意なアケミである。

 音に気づき、見張りのオークが牢の中を見る。

 アケミはわざと牢の中で暴れた。


 見張りのオークが、奇声を発して牢へ近寄り蹴る。

 おそらくは静かにしろ、という合図だろう。

 静かにすると見張りのオークは遠ざかる、近くにいて魔法が飛んできたら困るからだ。

 今度の石は布が巻かれていて、文字が書いてある。


 布にはラーミ発案の作戦が書かれていた。


 私達は冒険者ランクBの者です。

 助けに来ました、ロープを使い……。


 ミイナが布にかかれた手紙を読むとアケミへとこっそり手渡す。


「ミイナ……」

「そう、崖の上にいる男性がBランクの冒険者でしょうね。

 あんな小さい子を使って手紙をよこすとかゲスで最低な男ね、トットマを見習って欲しいわ、あの子はランクFぐらいかしら? でも、案外いい案」

「チャンスは少ないぞ」

「黙って食われるか陵辱されるぐらいなら乗るわ、でも、危険も大きい。

 読み終わったら隣へまわして全員の意見が合えば……」


 わざわざランクを書いたのは、自分達は高ランク冒険者だから安心してくださいとした意味を込めて、書いた物であるがマルクの株はだだ下がりになってしまう。

 

 四人はその内容を読み、隣の牢へと静かに渡す。

 隣の牢にいる三人もその内容を確認した。

 そして、書かれている事が大丈夫なら両手を上げてくれと書かれていたので、全員が順番に不自然に両手を上げていく。


 崖の上からその様子をみていたマルクは、ロープを引っ張りラーミを回収しはじめた。

 引き上げている最中に見つかったら元も子もないので必死に上げる。

 すぐにラーミが崖の上へと戻ってきた。


「戻りました、マルクさんって……。

 あの、大丈夫ですか? 息上がってますけど」

「だ、大丈夫だ。それよりも」

(やはり担ぐと引っ張り上げるのでは使う力が違うな。少し力をつけたほうがいいかもしれない……)


 肩で息をするマルクに笑顔のラーミ。


「はい、確認とれました。

 おぺれーしょんめてお作戦です!」


 ラーミは腕を前にだしピースサインを出す。

(名前はともかく、成功するのだろうか……。いや、今は信じよう)



 ◇◇◇



 ラーミの出した作戦。

 簡単かつ明確である。

 二つの牢にロープを着け、上から引っ張る。


 当然、マルクじゃ引っ張れないし、ラーミなら引っ張れるかもしれないが、行ったり来たりと時間がかかる。

 そこで崖の上で大岩にロープをつけ、その大岩を反対側へと落とす。

 落とすのはテコの原理もあり、マルク一人でもどうにかなる程度だ。

 で、その反動で牢は飛び、崖の上の木々に引っかかる。


 色々問題はあるが、彼女達が大丈夫といえば大丈夫だろうとラーミの返事である。

 あれだけのパーティーだ、檻の中で怪我をしても回復魔法ぐらいは自分達で出きるとマルクも思っている。


 最後に残ったラーミはマルクが回収し、撤退して作戦終了の予定だ。

 ラーミは早速ロープを大岩に縛り付け戻ってきた。


「マルクさん、こっちは準備完了しました」

「わかった」

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