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アラサー中年冒険者ランクEのオレに、自称ランクBの少女が突然に妻となり、困り申した  作者: えん@雑記
一章

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018 妻にばれる

 マルクは一人になった後、直ぐに近くの店へ行き準備を整えた。

 買った物は、長く丈夫なロープと小さな瓶に入った水である。


 全ての準備を終えると北門へと向かった。

 門の周りは静かであり、普段とかわりはない。

 西にある森林地帯に行くのに北門に来たのは、西門前には冒険者が集まるからである。


 門を抜け暫くは北へと続いている街道を歩く。門兵からこちらの姿が見えなくなった所で一気に道を外れる事にした。


(何、用を問われたら小便といえばいい。それよりも、オークは、さらった人間を食べるか、子を作らせると聞いた。俺であれば抜け道も知っている……)



 問題の森は、マルクがよく薬草を採りに行っていた場所でもある。

 さらにいうと、マルクはギルドマスターが言う立ち入り禁止地区も当然知っていたし、実は禁止地区での採取もしている。

 もちろん、オークと会わないようにしているし、細心の注意もしていた。

 道ではない所に生えている野草とキノコをいくつか切り取ると、先ほど買った小さな布袋へとつめて歩く。


 小さな袋がパンパンになる頃には、大きな崖の前に立っていた。

 最後にマルクはその崖を人目につかない様に登っていく。


 この崖の反対側には、オークの集落がある。

 森林地帯の中心から離れた場所、問題の集落は、上空からみると盆地になっていた。

 山全体が大きな窪みの形でなっておりその奥が集落になっていた。

 既に、その集落を見渡せる位置へと岩を登りきったマルクは、見つからないように腹ばいになる。

 粗末な屋根がある大きな家が数十個。

 主食になる何かを作っている謎な畑に、中央には井戸も見えた。


 オーク別に知能が無いわけじゃない。

 ただ、本能のほうが強いのだ。


 極々まれに、人間の言葉を喋り、人間以上の知能を持つ友好的なオークも居るらしいし、他国では普通に暮らすオークさえもいると言われている。


 マルクは見た事もなく、そういうオークがいるからこそ、お互いの縄張りに入る事を禁じた条約があるとギルドで教わった。



 ◇◇◇



 上空から見渡す中央右の井戸、その近くに鉄製の牢が二つほどあった。

 それぞれ人間の女性が三人組と四人組で捕まえられてる。

 表情までは読み取れないが、足を押さえている者や、膝を抱えている者などが確認できた。

 

(あれが捕まった冒険者か……。よかった、全員が怪我をしているわけではない。

 もしかしたらヒーラーが居るのかもな、あれなら混乱に生じれば怪我した人間を庇いながら逃げれるだろう)



 マルクは真っ直ぐに井戸を見る。 


(あいつらは、人間を捕まえると祭りをしてから動くと聞いたことがある、あの井戸にこの薬を投げ込めば……)


 マルクの手には来る途中で採取した草とキノコがあった。

 実は毒草と毒キノコである。


 普段薬草しかギルドには納品しないだけで、当然毒草の知識も知っていた。

 採って来たのは食べたり焼いた時にでる煙で痺れを起こす物、強力な下剤、睡眠させる物などなど。


 もちろん、魔物だけじゃなく、人に使われると大きな犯罪に繋がる事があるためにギルドでは上位の物は取り扱い禁止である、市販品もあるが効果を薄めた物であまり効きはよくない。


 オークが痺れている間に、ロープで崖を下り、けが人を背負って脱出する。

 簡単な作戦である。


(あとは、助けた冒険者が北口から何とか逃げ出したと言って街へ帰ればいい。ふー……。夕飯までには帰れそうにも無いか……)


 マルクは先ほど約束したのを思い出し、息をはく。

 気を抜いた瞬間、聞きなれた声が聞こえた。


「で、どのオークが孤児院の人なんでしょうか?」


 思わず叫びそうになったのを抑えたのは、なんだかんだで経験の差だろう。


 小さな声で声の主へと返事をする。

「ラ……、ラーミッ」


 振り返ると、いつの間にか隣にラーミが居た。

 もちろん、ラーミも小声で話す。


「で、どれなんですか? あの豚みたいのですか? それとも、あっちの牛みたいのです? 孤児の子供って、あの畑の周りで踊ってるオークの事ですか?」


(これは……。怒っているのか? 怒っているな……)

「す、すまない……」

「いいんですよ。どうせ私は信頼されてませんし。

 ただ一言欲しかったんですけどねー。

 あ、信頼されてないって事は愛情も無いんですかね……。

 うわー、全部私の思い込みだったんですかねー」


 ラーミの愚痴が止まらない。

 どうにかしないと、マルクが懸命に言い訳をする。


「ち、違う。黙って来たのは、謝る。

 だが、オレはラーミが怪我でもしたらと思うと心配したんだ」

「怪我って……。

 私……Bランクですよ、自己強化中は回復も上がるんですけど」


 マルクがラーミを心配していたと言葉を聞いて、その愚痴が止まり、ちょっとだけ頬を赤くする。


「ラーミがBランクなのはわかっている。Bには見えない強さも少しは見た。

 それでも、オレにとっては妻であり女性だっ」

(子供といったらさらに怒るだろうな……)


「それはそうですけど……」

「そもそも、なんでラーミはここに」


 素朴な疑問を言うと、口を尖らせて説明してくれる。


「遅くなるなら孤児院泊まるんですか? って聞こうと思って戻ったんですよ。

 それなのに、全然関係ないような雑貨屋に入ったらさすがの私でも疑いますし、北門を抜けた所で確信に変りました」

「そ、そうか……」

「で、どういう風に助けるんですか?」


 言いたい事を言ったので少しは落ちついたのか、作戦を聞いてくる。

 マルクは、小瓶に入った水と毒草を混ぜ合わせ、先ほどの案を説明した。


「問題はどうやって井戸にいれるかですよね」

「ああ……」

「あの、もっと簡単にいけそうな作戦あるんですけどっ!」


 作戦を喋り始めるラーミに、直ぐに目を見開く。

 常人では無理でラーミが居てこその作戦だった。


(出来るのか? いやでも、考えてみろラーミの強さは確かにみたが……早く終わるだろうし、毒薬を井戸に投げ込む事も考えなくていい)


「それに、その祭りでしたっけ。

 それが無かったら、あの人達あぶないですよね」

「確かに、祭りをすると聞いただけで絶対とは限らない……」

「あの女性達がバラバラに小屋に連れ込まれると、もう私でも難しいんですけど」


 そこまで言われると、マルクも頷くしかなかった。


「わかった。

 でも、もし彼女達がダメと判断するなら、直ぐにこの小瓶をこっそりと井戸に投げて欲しい」

「任せてください」


 ラーミは体にロープを巻きつける。

 その間にマルクは簡単な作戦を書いた布を用意し始めた。

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