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アラサー中年冒険者ランクEのオレに、自称ランクBの少女が突然に妻となり、困り申した  作者: えん@雑記
一章

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017 妻をまく

 ギルド員ミーアからギルドマスターのフィへ担当がバトンタッチされる事となった。

 直ぐに二階へある部屋へと通され、座らされた二人は家が欲しい事と再度、前の家が燃えた事を説明する。

 

 流石にギルドマスターには、ラーミの不手際で燃えた事も伝えた。

 話し終わるとフィは笑い出す。


「肉を焼こうとして家を燃やすかっ豪快だな、よし撤去費用に金貨十枚はいるがそれはこっちで持とう、先日の素材でギルドも儲けがあるし新婚祝いだ。

 それと、家の希望はあるか?」


 ラーミは首を振って希望が無い事をしめす。


「マルクさんと一緒なら、どこでも大丈夫です」

 

 一方マルクは希望を伝えていく。

(オレはともかく二人で住むには、そういうわけにもいかないだろう)


「部屋数は多いほうがいいとおもう、あと厨房は燃えないように石作りのほうがいいだろう。

 井戸は欲しい、出来れば近隣は静かなほうがいいが、俺達は冒険者だこれ以上は高望みだろう」


 全部要望を言った後に、フィは真面目に頷く。


「確かに、冒険者が近くに住むとなると回りに嫌がる人間がいるからな。

 部下に探させよう。それよりも……ラーミ」



 家の話が終わったフィはラーミの左手を見るる。


「なんでしょう?」

「指輪、買ってもらったんだな」


 直ぐに上機嫌になるラーミ。


「そうなんですよっ! 綺麗だと思いませんか?

 この赤い宝石など私の色に合うというか――」


 ラーミが熱弁をふるう中、フィはちらちらとマルクをみてニマニマと笑う。

 その顔は、お前にも女心がわかってきたんだな? とうったえかけており。

 おかげでマルクは何故か居心地が悪く、そわそわとし始めた。



 ◇◇◇


 ラーミの熱弁が終わり、ギルドマスターから解放されたマルク達は一階へと降りてくる。

 

 既に宿には半月ほどの宿費を先に渡しており、家を買う手付金をギルドマスターへと預けた。

 その結果残った共同生活費は金貨十枚ほどである。

 

 稼ぐために依頼掲示板を眺める二人。

 二日前と変わらず、簡単で美味しい依頼など中々ない。

 小さい声でラーミがマルクへと口を開いた。


「またエレニアさんに頼みましょうか?」

「いや……彼女にも悪いし、ここで同じのを取ってくると前回の買い付けでお金を出した商人だけじゃなくて、その商人から買う人間の恨みも買う」

「なるほど、んーーどうしましょうね」



 美味しくなくても何か、『俺にでも出来る』依頼でもないかとマルクが掲示板を眺めていると、

 ギルドの扉が乱暴に開け放たれる。


 マルクをはじめ、ギルド内に残っている人間の眼が、音のほうへ向いた。

 そこには、応急処置をした青年と、元気な男性が入ってきた。

 元気な男性のほうが先に口を開く。 


「門兵のラッツだ。この冒険者が依頼最中に魔物に襲われたと逃げ込んで来た。

 直ぐに係りの者を頼む」


 その言葉でギルド内が騒がしくなる。

 怪我をした青年は、名はトットマといい冒険者ランクCだった。

 Cといえば冒険者の中でも平均を越えている、そんなランクが重症を負う、一大事であった。

 騒ぎにかけつけたのか、二階にいるギルドマスターのフィが直ぐに降りてくる。


 ちゃらんぽらんしているが、ギルドマスターである。

 手短に指示を出していく。


「回復魔法、もしくは薬草に詳しい物など直ぐに手当を! ミーア直ぐにベッドの手配を、ランシェル薬茶を用意しろ。っと門兵のラッツ、ご協力を感謝する。後日礼に行く」

「気にするな。ただ、マグナの街の外で起こった出来事は俺達じゃ勝手に動けない」

「わかっている、直ぐに対処する」


 門兵のラッツがギルドから出て行く。

 直ぐに移動式ベッドに寝かされたトットマにフィが優しい声で尋ねている。


「おい、ええっと……。トットマだったな、襲われた場所は何処だ、他に仲間はいるか?」

「ま、まだ。ミイナとマイコが……」

「なるほど、三人編成だったのか、他にはいるか?」

「それに……ユリにハルカ、アケミにナッチ、それとフォーミンが西の森にいる……」

「その、全員女か?」


 ギルドマスターのフィが少し醒めた眼になる。

 それは、周りで聞いていた男性冒険者も同じ感情だっただろう。


「はぁはぁ……。ああ、僕を逃がすために……」


 マルク以外の男性冒険者全員が思っただろう、どんだけハーレムなんだと。

 見ると直ぐに動こうとしていた男性冒険者の顔にやる気が下がって見える。

 

 ラーミは隣にいたはずのマルクの姿を探した。

 先ほどまで一緒だったのに、今はトットマの隣へといる。


「冒険者ランクEのマルクだ。煎じたのがある」


 トットマはギルドマスターを見ると、ギルドマスターは無言で頷く。

 頷くというのは信用が置けるという意味だ。

 マルクは複数の薬草を飲ませるとトットマの顔は少し安堵しはじめた。


「痛みが治まったっ。これで沼の先へ行ける! 誰か一緒に手伝ってくれ」


 ギルド内がシーンとなった。


「ど、どうしたんだ……まだ助けを待っている仲間がいる」

 「お前、森の沼地の先へいったのか?」

「え? ああ。いったさ、封印してある理由がよくわかったよ、ハイオークがうじゃうじゃいた」



 懸命に話すトットマに比例して、他の冒険者が静まり帰って行く。

 ラーミはいつの間にか、マルクの傍へ戻っており小さく服を引っ張っている。


「マルクさんっ。あの、よくわからないんですけど」

「ああ。森の奥には沼地があって、その先は危ないから立ち入り禁止なんだ。普段は洞窟があってそこを通らないと行けないはずなんだけどな……」


 ギルドマスターのフィがキツイ声でトットマに話しかける。


「おい、どこまで進んだ」

「どこって……」

「早く言えっ!」

「い、いいます。沼を越えて暫くしてから二つの大岩があったんだ、それを越えて小さなトンネルがあるから、そこの大岩を開けて、そして暫く先の広場であいつらは待ち伏せをしていた……直ぐに救助を」

「だめだっ救助隊は中止。直ぐに大岩の確認後、再度ふたをする。なお洞窟から出てきた魔物と戦う恐れあり」


 ギルドマスターのフィが冷酷な依頼を飛ばす。

 納得行かないトットマが異議を唱えるが、答えずに続きを話す。


「なぜだっ!」

「手の開いているランクB,C以上の者は申し出て欲しい。

 報酬は一人金貨一枚。

 志願者は西門へ集合以上! 二十名になった時点で出発をする解散」


 ギルドマスターは直ぐに二階へと上がって行った。

 納得行かないトットマは他の冒険者に残ったメンバーを助けてあげてくれと頼み込むが、どの冒険者も頷きはしない。


 中には助けにいくからと法外な金額を請求する冒険者もいる。


 そもそも危険な場所に自ら入ったのに危険すぎたから助けてくれってのは冒険者として間違えている。


「ラーミ、依頼を受けれそうな空気じゃないな外へ出よう」

「は、はい」


 騒がしいギルドを後にしながらマルクは考えていた。

(やはり、行くべきだろう……俺以外にも何人かの冒険者が武器を持って外に出た。

 ギルドに所属する身といえと助けれる人命は助けたい)


 マルクは、トットマの願いよりも、トットマを逃がし囮になった冒険者が気になった。

 他の冒険者よりもマルクはその囮になった冒険者を助ける可能性が高いと踏んでいた。

 

 しかし、命令違反で動けば、ギルドの規約を破らないといけない事となる。


(なに俺一人罰を受ければいい、ラーミに嘘は通じるだろうか?)

「ラーミ。オレはちょっと、その……こ、孤児院に寄ろうと思う。

 オレは孤児院で育ち冒険者になった、結婚の報告もしないといけない」

「なるほど! では、私も挨拶にっ!」


 こっそりと行きたいのに、ラーミが付いてきては元も子もない。


「いや、驚かせて心臓が止まるといけない、シスターアンは高齢でな、それは後日にしよう。

 宿に先に戻っていてくれないか?」

「わかりましたー、では夕飯でまた会いましょう」

「わかった」


 ラーミを姿が見えなくなるまで見送るとほっと息をはく。

 そしてマルクは足早に走った。

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