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アラサー中年冒険者ランクEのオレに、自称ランクBの少女が突然に妻となり、困り申した  作者: えん@雑記
一章

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016 妻は泣き、笑う

 住む場所が燃えた。

 

 一言で言えばそれでおわりであるが、マルクはラーミが無事なのと山火事にならなくてよかったと、安心する。


「宿……にとまろうか」

「そ、そうですね、ごめんなさい……」

「いや気にするなといっても無理だろうが老朽化もあってな丁度いい」


 何が丁度いいのかマルクにもわからないが、二人はマグナの宿へと向かった。

 親子ですか? と聞かれ、ラーミは元気良く夫婦ですと答える。

 宿の主人が何か言う前に冒険者カードを提示した。

 冒険者には変わり者が多いといわれており主人もそれで納得をする。


 部屋に入ると、直ぐにマルクは口にだした。


「怪我が無くてよかった。ギルドに報告しないといけないのでそれだけを教えてくれ」

「ええっと、エレニアいますよね」


 エレニア、サンガク山にいるサンガク屋の看板娘である。

 ラーミの幼なじみで同じ年齢の子、同じなのにラーミよりは発育がある。 


「世話になった」

「そのエレニアがですね、肉を焼くときにお酒を入れるのです。

 一気に火が上がり、肉にも風味が付くって実践してみせてくれたんです」


 その料理方法で調理された肉はマルクも食べた事はある。

 甘みが増し、香辛料の風味が深くなり美味い。


「で、私もそれをしようと、幸いお酒ならば昨日沢山買い込んだので……。

 そしたら天井まで火が上がり、一気に燃え移りまして……」

「そうか……」


 何ともいえない空気だ。


「せっかくのマルクさんの休日だったのに」

「冒険者に休日という言葉も珍しいが、そうだな……これを渡そう」



 

ポケットから小さな布袋を取り出し、さらに布袋から小さな箱を取り出してラーミへと手渡す。

 ラーミは、マルクと小さな箱を交互に見て驚きの顔をしていた。


「なななななっ! マルクさんこれってっ」


 さすがに女の子であるラーミは小さな箱を見て中身が何か想像がついたのだろう。


「開けてみてくれないか? サイズは合わなければ調整できるらしい」


 ラーミは箱を開けて確認する。

 白銀色の小さなリング、小さな赤い宝石が邪魔にならないように埋め込まれている。


「店によるとな赤い宝石は、魔よけにもなるらしいと……ラ、ラーミっ! 泣いているのかっ!?

 その、指輪じゃないほうがよかっただろうかっ」


 マルクは店員から説明された事を、ラーミへと説明しようとしていた。

 気づけば、ラーミが無言で泣いているので、慌てて混乱しはじめる。


「ち、ちがいます。出会いはどうあれ、わたしはマルクさんを好きになろうと、いえ好きになっているんですけど、マルクさんは迷惑だったらどうしようと思っていたのですっ!」


 

 言わないと伝わらない、こういう事なのだろう。

 マルクは今の気持ちを素直にいう事にした。



「すまない。正直な所、オレはラーミが好きなのかわからない」


 ラーミはその言葉を聞いて絶望したような顔を浮かべる。


「ち、ちがう。

 最後まで聞いてくれ、オレだって本当に嫌いな人間とは結婚はしないっ!

 その、だいじにしたいと思っているのは確かだ。

 それに、オレは色恋は多くなくてな」



 鼻水をつけたラーミがマルクへと飛び掛かる。

 ラーミの力強さにまけて思わず背後にあるベッドへと倒れこんだ。

 

「ありがとうございますっ! せいっぱい好きになって貰うように頑張りますっ!」


 ラーミが落ち着くまで暫くかかり、マルクは夕食を食べ損ねたなーと、一人考えていた。

 二人はその後、寝るしかなくなり、ゆっくりと体を休めた。

 


 ◇◇◇


 一晩経ち遅めの朝食を食べ終えた二人は、ギルドへ向かう。

 時刻は昼過ぎであり、朝の忙しさが終わった所だ。


 マルクとラーミがギルドに入るとギルド内がざわつく。


 おい、あの二人って……。ああ、ドラスレの二人じゃないか?

 ドラスレってなんだ? お前知らないのか? ドラゴンを狩って素材を持ってきた奴だよ。

 どっちが? 当然男だろう、女の方はまだ子供だぞ?

 馬鹿ね、狩ったのは女の子のほうってギルマスがいってたわよ。

 オッサンのほうは、雑草王。


 マルクが冒険者の集団を見ると、噂話をしていた冒険者は別々のほうを見始めた。

(どうも噂話が変な風に伝わっている。オレはそんなに凄い冒険者ではない)  


 噂話の解決策が思い浮かばず、何時もの買取カウンターへと行く。

 眼鏡を掛けたギルド員ミーアは二人を見ると軽く会釈をする。

 ギルド員のミーアは、表情の少ないマルクと上機嫌のラーミを見た後、直ぐに違いを発見した。



 口を開くが、その声は小声だ。

 先日大声を上げて怒られたばかりである。



「ラーミさんっ! その指にあるのはっ」


 見せ付けているわけじゃないが、ラーミの人差し指には赤い宝石が光に反射している。


「にへー、そうなんですよ。昨夜プレゼントされてっー」



 喜ぶラーミと対照的に、ため息を出すミーア。



「いいなー。私モテないんすよね……」

「えー。ギルド員ってモテないんですかっ!?」

「それはもう――」



 二人のガールズトークが始まり、マルクは困り果てる。

 そこから、ギルド員のミーアが如何にモテないかを聞く事になった。

 ミーアは別にもてないわけじゃない、隠れファンが結構いて今も二人の会話に聞き耳を立てている冒険者が多数いる。男とはそういうものなのだ。

 

 暫くしてから、われにかえったミーアが眼鏡の位置を直す。


「すみません。

 つい関係ない話を……マルクさん本日は、買取じゃないですよね?」

「あ、ああ、大丈夫だ。

 相談事になるが、どこに言っていいかわからずここに来た。

 家を買いたいんだが、どうすればいいのだろうか」

「家ですか……珍しい、いえ新婚ならそうかもしれませんね」


 冒険者は家を持たない者も多い。

 ひとつの街にいるより、様々な街を巡った方が美味しい依頼があったりする場合もある。

 例えば護衛の依頼など、モンスターや山賊なぞ滅多に出ず旅感覚で尚且つ報酬は美味い依頼も多々ある。


 これが家持となると、家の管理も金がかかるし、仕事をしても赤字になったりもする場合が多い。

 さらに、別の街での依頼も家が気になり限定される。


 では、家が無いほうがいいのでは、とは行かず。

 マルクみたいな定住型冒険者もいる。

 そういうのは、その街からあまり出ず、街での人脈を作りつつ安定して稼ぐ事ができるし、ギルドの信頼も厚い。

 厚い分美味しい依頼が回ってきたりもする。

 ちなみに、定住型でもマルクの場合は山へ行って薬草をとるだけなので人脈も何も無い。


「あれ、でも。マルクさんって、持ち家がありませんでしたっけ?」

「その、なんていうか。燃えた」

「はい?」


 料理の不始末から家が全焼した事を伝えた。

 マルクの配慮で、ラーミのせいとは言っていないし、経緯は重要でもないからだ。

 問題は燃えた事だけだ。



「そうですか……ギルドの寮は、男女別ですし」



 冒険者ギルドは若手冒険者のために格安の寮を経営している所が多い。

 低ランクの冒険者のための配慮である。

 そうでもしないと、宿代も無い冒険者が街にあふれ治安も悪くなる。


「ご予算は」

「金貨百枚ほどで、なんとかならないだろうか」

(昨日の残った分まるまるだ、俺の家が当時金貨十枚だ一軒ぐらいはあるだろう)


 険しい顔になる。

 節約すれば二百日以上生活出来るが、家を買うとなるとすくない。

 かといって、前の場所に新しく家を建てるとなっても金貨百枚じゃ足りないし、建てるとなるとまた別な許可と金がかかるのだ。

 ミーアの後ろで会話に混ざってくる人影があった。


「お、なんだ。困り事でもあったか?」

「あ、ギルマス」


 好奇心100%の顔をしたギルドマスターのフィが話しに入ってきた。

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