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アラサー中年冒険者ランクEのオレに、自称ランクBの少女が突然に妻となり、困り申した  作者: えん@雑記
一章

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012 妻に落とされる

 二人は山道を下っていく、心配そうなラーミが荷物を背負っているマルクへと顔を向けた。


「本当に重くないですか?」

「ああ、薬草採取でもこれぐらいの荷物になった事はある」

「案外力持ちなんですね」

「しかし、冒険者としてはもう落ち目だろう」

「まだまだですよっ! 所で冒険者って引退は無いんですか?

 他の人に聞いた事あるんですけど、みなさん答えてくれなくて」

「基本的に無い、無いが……、それぞれの道がある」


 冒険者の登録は十才からであるが、それとは逆に引退年齢はない。

 各自引退したいと思えばそこで引退だ。


 それぞれ体力の衰えと共にそれまでに経験した場所へ収まるし男女でも違う。

 女性だったら結婚と言う道もある。


 他にも、ある程度お金を貯め途中から好きなように生きる者。

 例えば、剣が得意な者なら下は用心棒から上は師範、魔法が得意な者も同じである。

 勘定が得意な者は商売をしたり、功績があるものは国の役職に着く事もあった。


 もちろん強いだけではダメで、他人とのコミュ力が試される。

 マルクは今の所どれもない。


 ただ、危険な冒険をするぐらいなら比較的安全な薬草を採り、ギルドへと売る。

 そのほうが確実に孤児院に寄付が出来るし、実行してきた。

 マルクは事例を説明し、最後に自分の言葉で閉めた。


「結局は進む事をやめた時が引退となる。

 所で、この依頼が終わったらどうするんだ?」

「進む事ですか……難しいですね。

 終わったらですか? うーん……取り合えず美味しいお酒が飲みたいです」

「それは名案だ。

 その気づいた事があるのだが、ラーミの魔法はアルコールと関係しているのか?」

「ふえ?」

「いやだから、消費する魔力をアルコールで補うのであれば納得するのだが」


 ラーミの飲む量が異常すぎるからの発言だ。


「いいえ、それだったら十才まで魔法使えませんよ。

 ただ好きなだけですけど、あのアルコールが喉を通る瞬間。

 最高と思いませんかっ?」

「そ、そうか」

(確かにそれはわかる、胃が熱くなり頭も冴えてくる。様な気がする、しかし良いのだろうが、この年齢であの量は……)


 将来は酒豪では無く、ただのアルコール中毒者になる可能性のほうが高いだろう。

 しかし、マルクも酒が好きなため大きくは言えない。

 首を振って違う話題を出し始める。

(行きはオレが荷物だったか、今回はこの大きな荷物がある)

「そういえば、帰りはどうするんだ」


「あっ! 確かにこの荷物じゃ背負って帰れませんね……。

 そうだっ! えーっとマルクさん手持ちありますか?」


(手持ち、やはり馬車で帰るのか一番か)

「すまない、これしかない……」


 マルクは自らの財布を見せた。

 銀貨数枚と銅貨数枚しか入っていない。

 

 ここ、サンガク山の村から、マルクの居た街マグナまで旅馬車を頼むとすると、一泊二日食事込みで一人銀貨九枚ぐらいだろう。


「貸して頂けないでしょうか」

「全然構わない」

「では、村の入り口で待っていてください」


 ラーミは村の入り口でマルクを残すと村へと走ってもどっていった。


(そういえば夫婦となったら金の管理はどうすべきなのだろうか、シスターアンにでも聞いてみるか……)


 マルクが荷物と共に考えていると、ガラガラガラと大きな音が聞こえる。

 直ぐにその正体がわかった。


「お待たせしましたっ!」


 ちょっとボロになった帆なしの荷馬車をラーミは引っ張ってきた。

 

「廃棄する予定の馬車を買ってきましたので、これで帰りましょう。あれ? 変な顔をしていますけど……」

「馬がいないな、もしかしてと思うがこれを引いて帰るのか?」

「です! 引くのは私だけですっ。

 一緒に引っ張っても良いんですけど、たぶん、私一人のほうが早いかと。

 マルクさんは行きと同じように、今回は荷台に乗って布を被せますので恥ずかしさも無いはずです!」

「いや、しかし……ラーミばかりに負担をかけるわけには」

「でも、もう私もお金もってませんよ?

 あ、エレニアに借りれば……」

「いや、迷惑はかけない方がいい。親友といえと金のことは避けるべきと教わった」

(ラーミの力はさっきも見た、俺が我慢すればいいだけの事)


 これ以上に案が思い浮かばず、いわれたとおりに座った。


「あ、マルクさん。横になっていたほうがいいです」

「そうなのか?」


 横になると上から布をかぶせられる。

 例によって眼の部分は見えるように穴を開けてもらっている。

 ラーミは縛りながら説明し始めた。


「私は平気なんですけど、マルクさんが恥ずかしいのかなって思って布かぶせますね」

「そ、それは助かる」


 大きな布をかぶせて貰ったかと思うと直ぐに荷台を縛り始めた。

 捕まっていればいいと思っていたマルクは少し不安になる。


「縛らなくてもいいんのではないか?」

「いえ、荷台から落ちる場合があるので」

「なっ、少し――」

「ではいきますっ!」


 待ってくれ、安全なのか? その言葉が口から出る前にラーミは出発した。

 行きと同様に、人よりも、馬よりも早く街道を走る。

 時折、道中の小石や段差で荷台は跳ね上がった。

 その度に、きつく結んだロープが緩んでいき……。



 ◇◇◇



 夕方になると、マグナの門兵が壊れた荷台を前後で運ぶ二人の旅人を見つけた。

 前に子供、後ろに大人だ。

 いつも通りの言葉を投げかける。


「入場かい? 一般なら入場料を……。おい大丈夫か?」


 門兵が心配するのも無理はない。


「あははは、私は大丈夫です。

 ちょっと荷台が壊れただけですから」

「いや、嬢ちゃんじゃなくて、後ろの男性に聞いているんだが」

「大丈夫だ」


 あちこち破れた服を着ているマルクが返事をする。

 背中に背負っている時と違い、荷台から落ちること数十回、その度に、擦り傷や服がボロボロになっていく。

 幸い切り傷はないが打ち身などで痣がいくつも出来てた。

 マルクを包んでいた布も今ではボロボロだ。


 あちこちが破れ悲惨な姿になっている。

 残った衣服で辛うじてと大事な部分は隠されている。


「わ、悪いが変態を街に入れるわけにはいかない」

「ち、違うんだ……」

「そ、そうです! マルクさんはわけあってこんな衣服なだけで」

「故意だったら余計に変態だろっ」


 詰め所へと連行された二人は、誤解を解くまで暫くかかった。

 

「なるほど、荷台から何度も落ちたと……。

 だったら最初から、そう言ってくれ」


 言った所で信じるかどうかはわからない門兵が、マルクへと忠告する。

 ちょっとまってろと、一言いうと奥へときえた。

 直ぐに戻ってくると、使い込まれた大きな布をマルクへと手渡す。


「身分証も確認できた。

 布はやるから体を隠しておいてくれ、街の中で変な騒ぎは困るからな」

「すまない、助かる」

「いや、こっちも仕事だからな……、じゃ適当に裏口から街へ入ってくれ」


 壊れた荷馬車を持ち街へと入る二人。

 見送った門兵に別の門兵が近づいてきた。


「おい、さっきの二人って昨日出て行った奴だろ?。

 あの二人、夫婦らしいぞ?」

「ああ、らしいな。

 それがどうした?」

「あー……、俺もあんな小さい子を捕まえたいもんだ、きっと名のある冒険者なんだろう」

「捕まらないようにな……」


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