二年目と一年生
今回は結構長めです。
そして、今回は主要キャラが出ます
『四の月、一旬、四の日
今日は先生の雑用をした。保健室の先生の名を忘れてしまっていたのは失敗だったな。明日は一年生の入学式。懐かしいな。
そして、なおかつ今日で約一年になる。
ここに来てから。そして、
この体になってから。
前ページにて、書いた、「この体になってから」
と書いたことについて、書いておく。
この体の名前は ブロウ=グラキリアス
そして、俺の名前はカイゼル。姓は不明。
…………もちろんただ単にこの体の名前、ブロウの頭がおかしいという可能性は捨て切れないが。
大事なことを書くとなると多少長いので、すこしだけ書くが、
「一年前の四の月、一旬、一の日にこの体になった」
「俺の記憶はほぼ無いし、グロウ=グラキリアスの記憶もあまり無い」
「何かを見ると、思い出すものがある」
の、三つで特に大事なのは三つ目だ。
例えば、最初に今住んでいる家を見た時に、
俺はでかいと思ったが同時に少し古いと思った。
これは俺が生前、ここよりも小さな家を見て、少し新しい家を見たりしたのだろう。この違和感が何らかのヒントになるだろう。何の、とは言えないが。
明日は新入生が入る、と同時に班が決まる。
ナギシロ先輩と一緒になると楽なので、
そうなれるように頑張ろう』
「…………ふぅ」
俺は今日の日記を書き終えた。
紙は結構高いけど、ブロウ=グラキリアスが書いた日記で俺自身がかなり助けられたので、
もし、もしもだが今、物事を考えている俺が
別の人物、人格になった時に再び助けになるだろう。しかし、
「もう寝るか」
ふと、そう思った。
唐突だか、悪くはない考えだった。
今日は帰ってから、ずっと格闘の訓練や部屋の整理整頓したりして、休んでいないからだ。
問題があるとすれば、ただ一つだけ。
食事をとっていないことだけだ。
「食事にしよう」
そう思い、俺は台所へと向かった。
確か、胡椒が大量にあったはずだ。
今日は胡椒を使った料理だ。
◇ ◇
「本日はお日柄もよく」
ぐぅー。
「若人の始まりの日にふさわしい」
ぐぐぅー。
「晴天で、皆さんを祝福しているかのような」
ぐぐぐぅー。鳴ってしまった。
「……静かに聞きなさい!」
「聞いています。腹の音が鳴っているだけです」
「なお悪い!」
というか、俺以外も結構鳴っているのだが(在校生で約半分が鳴っていた)。
まあ、他の人は入学式なので、今日の学食が豪華だろうと予想してのことかもしれないが、俺の場合は違う。
……単純に食料がなかっただけだった。
胡椒以外。
俺に胡椒を食えというのか!
しかも実じゃなく粉末!
食えるか!
……原因はもちろん買い忘れた俺だが……。
昨日、日記を書き終えてその事実に気付いたもののもうすっかり日が暮れた午後7時。
周りに民家や商店がないので食料を買うことも分けてもらうこともできない!!。
なのであきらめてあのまま寝て、
空腹を水でごまかしながら過ごした。
だから、最後の食事はおよそ一日前。
唯一の救いは、俺が空腹に慣れていることだけだ。
慣れていても、腹の音は鳴るが……。
「まったく、こんな光景を初めから新入生に見せる、いや聞かせるなんて少しは恥ずかしいとは思いませんか?」
校長先生は呆れたように言った。
周りの生徒たちは理由が不純なのでそうかもしれないが、俺の場合は言い訳がきく気がする。
「もういいですそれでは、本来なら自己紹介といきたいところですが」
先生は少し間をおいた。
ちなみに今は、前に新入生が一列に並んでいて、
二、三年は適当に並んでいる。
「ここの学校の伝統の行事を行います」
校長先生がそう言うと、一年生はざわめきだした。
何のことか分からないようだ。当然だが。
しかし、在校生は分かっている。
これから行われる争奪戦を……。
「ではまず、新入生はホールの中央にある階段に沿って円になってください。」
そう言うと、一年生はその通りに、少したどたどしくだが動いた。
男女混同で輪になった一年生。
実に従順だ。このあと何が起こるとも知らないからだろう。
「じゃあ、次は在校生は円になって」
そう、校長先生が言うと、在校生は言われた通りに
円になる。
新入生と違い、何が起こるか知っているのでその足は早い。もちろん俺も。
「では、大雑把に説明します」
校長先生の説明が始まった。
「ここ、私立オルネスト学校では、いや高等部の学校では最初に班を決めます」
さあ、いつ始まる
「班とは、学年及び学科を問わない複数人のグループで、上級生が下級生に様々なことを教えたり、逆に下級生が上級生に刺激を与えたりすることを目的としたものです」
まだか。まだなのか!
「まあ、こんな事務的なことはどうでもいいとして、」
きた!『○○○ことはどうでもいいとして』が!
校長先生が大事な時にいつも言うやつが!
「今から、班決めの為、ゲームをします。
新入生は動かずに、四人になったら座ってください。在校生は自分以外で三人捕まえるか捕まえられると座ってください」
新入生は困惑しているようだ。
当然だ。あんな説明で分かる人はめったにいない。
経験者以外は(にやり)
「では、始め!!」
全力で駆け出した!!
もちろん俺も!
これは『狼狩り』と言い、班を決めるゲームみたいなものだ。ルールは校長先生の説明通り。
名前の由来は『狼が狩る』と『狼を狩る』の二つの意味から。
新入生は困惑して動けない。
在校生はいかにして優秀そうな一年生と班を共にできるかで一年間の学校生活が大きく変わるので必死に
「ほら、そこの君、手を伸ばして!」
「てめえ、抜け駆けすんな!」
一年生の取り合いをする。
班を作る条件は一年生が一人以上いることだけ。
なので、最善は一年生を一人だけぱっと掴み他の二年生か三年生を掴んで強引に座る……はできないので他の二人に誰かを掴んでもらってから座る。
本人の意思関係無し。
どうしてこんなのんきに考えているかというと、
「あーもう!!」
全力で駆け出したら、すぐに転んでしまったからだ。情けないな俺!
そのせいでだいぶ出遅れてしまった。
急がなくては、一年生三人と組まされるという面倒なことになりかねない!
「くっ」
俺は急いで再加速した。なめんな俺の足!
しかし、時すでに遅く、大抵の人がもう四人組を
作り座ってしまっていた。
後は数人が残るばかりだった。
でも、
「ナギシロ先輩!」
「グロウか!」
まだナギシロ先輩が残っていた。
あの人と組めば大丈夫だ。
そうすれば今年も無難に過ごせる。
「…………すまん」
「えっ」
ナギシロ先輩は無情にも他の人を選び、早々と座ってしまった。
何故っ!
俺が困惑している間にどうやら他の班が決まったようだ。立っているのは俺と先生方のみ。
「……まずくね」
思わずつぶやいてしまった。
どうも今年の新入生と在校生の和が
四の倍数よりも一だけ多かったようだ。
……どうなるんだ?
パターン1
一人班。俺が死ぬ。
パターン2
他の班と合流。五人で班を作る。
こっちが現実的か。
「ブロウくん、こっちに来て」
ものすごい笑顔で校長先生が呼んだ。
絶対何かある!
絶対何かあるとわかっていても、この状況で
逆らえない。多分、行かないと進まないパターンだ。
「ブロウくん、こっちに来て」
復唱した。やっぱりか。
行かねばならぬか。
渋々、校長先生に言われるまま、ついていった。
◇ ◇
そんなこんなで連れてこられたホールの地下にある校長室前。ちなみにホールの上は職員室、来客室、屋上だ。
「さあさあグロウくん、そこを開けて」
「………………」
「どうしました?」
怪しい。怪し過ぎる。
いい予感が微塵もしない。
まず、俺は扉に耳を当ててみる。
「おいおい、何をしているんですか」
校長先生は呆れたようにいった。
しかし、そんなことでは止めない。
自分の身は自分で守らねば!
「……ですね…………………どう…………か」
「おそいー」
何やら声が聞こえる。
俺と同年代の男子の声と少し舌足らず少女の声。
誰かを待っているようだ。
「ほら、早く入って」
先生が勢いよく扉を開けた。
この先生馬鹿じゃね?
だってさっきまで聞き耳をたてていたから
「がっ!」
扉が俺の額に強打する!
超痛い。
「遊んでないで中に入って」
校長先生に促されるがままに校長室に入る。
小さな机に小さな椅子。
両脇には本や何らかの資料が乱雑にいれられていた。
そして、そこにいたのは
「ああ、やっと来ましたか」
「おそいー」
その声通りの人たちがいた。
俺とおそらく同年代の男子と
その肩の上に座っている俺よりずっと小さな少女。
俗にいう肩車をしている。
親子……ではないと思う。
髪の色が違う。
男子のほうは茶髪だが少女のほうは金髪。
ここじゃあ珍しくは無いが。
むしろ、俺やナギシロ先輩の髪の色の方が
珍しい。
それに、年齢が近すぎる。
男子のほうは俺と同年代に見え、
少女のほうは初等学校に入っていてもおかしくない年齢に見える。
なら、保護者か?男子が少女の?
…………無い無い。
他は何か可能性はあるか?
「それじゃあ二人とも、自己紹介を」
俺が目の前の二人の関係について考えていようが校長先生は構わずに話を始めた。
「こんにちは。僕の名前はグロウディア=ガディアル」
「メル!メル=フレジェント」
少女のテンション高いな。
「あ、どうも。俺の名前はブロウ=グラキリアスだ」
とりあえず自己紹介を返した。
ガディアルとフレジェントか。
どうしてこいつらは俺に自己紹介をした?
……校長先生がそうするように勧めたから。
なら何故勧めた?
こいつらと俺が関わりを持つからだろう。
……考えて、答えがでそうだが正直面倒だ。
出方を見よう。
「自己紹介も済んだね。よかったよかった。ブロウくん、ところで、君って班は一人だけだよね」
嫌な予感がかなりする。
「この二人と後一人が後から来るから、その合計三人と組んでくれ」
「はあ」
意外とまともだ。
「で、後から来る子はいいんだけどここにいる二人なんだけど」
やばい。嫌な予感再臨。
「この二人は知らないことが多すぎる。だから
この二人にここでの生活、文化、環境、
そして何より」
校長先生は少しため
「魔法を教えてほしい」
こんにちは、水鏡良芽です。
今回、主要キャラを出すことが出来て
嬉しいです。
次は主要キャラの後一人がでてきます。
どうか、温かい目で見たり、感想を書いてください。お願いします!




