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Restart  作者: 水鏡良芽
始まり&入学式編
2/7

始まる前の物語 二

更新遅くてすいません!

前回の続きです

そんなこんなで生徒の名前も覚えない保健室の先生に20分かけて連れられて来たのは

学校の敷地内の授業用備品の倉庫近く。




……長い。

普段、ここは生徒にはあまり縁のない場所だ。しかし、ここに生徒である俺が呼ばれるということはおそらくはあれだろう。全校生徒が揃って嫌がる、そう


先生の雑用!


本来ならその先生がするべきことを、先生が面倒なのでと、生徒に手伝いをさせるという生徒にとってはほとんどメリットがないこと。しかも断れない。中には終わったあと、何らかの物品を先生が奢るというケースがあるものの、この学校では頻繁に先生が生徒に雑用を依頼(という名の強制労働)しているため、めったにない。

なので、こんなことさっさと終わらせて、早く戻りたいのだが、


「先生、何をするんですか?」


「ちょっと待っててね」


10分経過……




「先生、何をするんですか?」


「もうちょっと待っててね」


30分経過……




「せ、ん、せ、い、ま、だ、で、す、か?」


「もう少し、もう少し待ってください」


50分経過……




「先生、まだですか!」


「……………おかしいですね。オルネストさん、来るのが

遅いですね。」

「え?校長先生を待っているんですか?」

初耳だ。

「ええ、でも遅すぎます」

そういって先生は学校の時計を見る。

「本来ならもう20分前には来るはずなんですけども……」

「そうなんですか。にじゅっぷんまえですか」

50分待ちましたが。

「それはともかく」

先生が強引に話を打ち切った。

先生の額からまだ初春なのに汗が出てきていた。

「どうして来ないのか、あなたは分かりますか?」

先生が聞いてきた。

そんなこと聞かれても困る。そもそも

「どうやって来るんですか?

そこから俺は分かりませんよ」

「どうやってって、それはオルネストさんの転移魔法で……」

と、先生は最期まで言い切らず少し止まり、

「…………………………」

固まった。

「先生、どうしたんですか?」

先生は、反応しない。どうしたんだ?

「先生?先生ー」

ちっとも動かない。

「先せ」

「ちょっと君!」

いきなり肩を強くつかまれた。

「手伝って!」

「はあ」

元々そのためについてきたのだが。

というか、すごい剣幕で先生怖い。

「先生、説明を求めます」

「まずはここ」

そういって地面を足のつま先で強くえぐった。

「ここを中心に大きい円を私が書きます。

あなたは小さい円を書いてください!」

「はい」

「急いで!じゃなきゃオルネストさんに

怒られる!」

そういって先生は足で

線を書き始めた。

おっと、俺も書き始めるか。

「♪~♪~♪」

「急いで!!」

怒られた。そんなに校長先生が怖いのだろうか。

あの先生、ちょっと、独特だがそんなに怖くはないのけど……。

………………


………………


………………

書き終わった。

うん、結構きれいに書けたな。

「先生、書き終わりましたよ」

「じゃあ、そこから早くどいてください!」

「はい」

先生に言われるまま円の外に出た。

「うわぁ」

思わず(先生に聞こえないように)言った。

先生の書いた円がすごい。

すごい歪んでいる。線が波打っている。

しかし、先生はそんなことはかまわないと

言うように

「これで良いです」

と胸を撫で下ろすかのように言った。

あんなのでいいのか。

先生すごい満足げだ。

すると、俺が円の外に出てから、

ほんの数秒してから


先ほど書いた(歪(いびつ)な)二重の円が

薄緑色の光を纏(まと)った。





すると、円の中心から、いきなり人が現れた。

「あ、オルネストさん遅くなってすみませ……ん」

校長先生だった。



ただし足首が土に埋まった。


「ミナさん」

「はいぃ!」

校長に呼ばれると保健室の先生は(ミナという名らしい)がどこかの戦闘員(ほんと、どこだ?)ばりに


腕を体に対して平行に


足を隙間なく揃えて


直立不動を体で表現したような構えをとった。

とても美しい姿勢だった。

「いいですか、そもそもこの陣を書き忘れてますよね?」

「はい」

「それだけならまだしも、私の転移魔法陣、

何ですかあの雑な円は。内側のはまだしも、

外側のが雑すぎです。あなたも大人の魔法使いなら、魔法陣の大切さは知っているでしょう」

「はい」

いい大人の女性がいい大人の男性にマジ説教をうけている。

つーか

「オルネスト先生、背縮みました?」

最後に見たときは俺よりもそこそこ高い気がしたんだが……

校長先生はにっこりと笑い、

「それはね、どっかの先生が魔法陣を雑に書いたせ

いで、『天空の運び屋(キャリングヘブン)』の 精度が落ちてしまい、座標がずれて足首が地中に埋まったんですよ」

と言った。キャリングヘブンというのは多分校長先生が使う転移魔法のことだろう。

校長先生の魔法は自分を転移させる『死神の来訪(カミングデッド)』しか見たことがなく、さっきのは初めて見た。

ちなみに、どっかの先生はというと、

「…………」

目をそらしていた。

「まあいい。ところでブロウ君」

「はい」

何だ?

「君はどうしてここにいるのかな?」

「どうしてって」

本来ならここに俺はいないのだが……

「そこの先生に手伝ってくれって頼まれたんですよ」

そういい、(やっと名前がわかった)ミナ先生を指差した。

当の先生はきょとんとしている。

「ふぅん、そう」

ミナ先生を見る校長先生。

「まあ、いいや。こっちのほうが面白いといえば面白いし。」

いきなり校長先生がつぶやいた。

一体何が面白いんだろうか?謎だ。

「じゃあブロウ君、手伝ってくれないか?」

「何をですか?」

何か今日は聞いてばっかだな。

しかし、そんな俺の考えを見透したかのごとく

いっきに校長先生は話してくれた。

「今から私が『天空の運び屋(キャリングヘブン)』で一年生の備品を持ってきますから、あなたはそれを倉庫に運んでください。お願いします」

「ああ、分かりました」

おお、シンプル。超分かりやすい。

「頼みますよ」

そういって校長先生はあっさりと消えていった。

二重円の中に二つの穴を残して……。




◇ ◇






「ふう」

「ご苦労様です」

あれから30分、校長先生が転移魔法で持ってきた

数々の備品を倉庫に運ぶという地味な作業が

続いた。疲れた。

「ああ、やっと終わった」

校長先生も疲れたのか、その場に腰を下ろした。

ちなみに、ミナ先生は

「ハァ、ハァ、ハァ」

大の字になって寝転がっていた。

どうやら疲れたようだ。

……俺の半分も運んでいないのにな……

「んー、疲れた」

校長先生は座ったまま体を伸ばした。

「これで終わり。家に帰っていいよ。もう遅いし」

校長先生は校舎の門のほうを指差した。

もう生徒がぞくぞくと出ている。

もうこんなに時間がたっていたのか。

……こんなにとは思ったものの、まだ正午だか。

「はい。それじゃあ帰らせてもらいます」

そういい、俺は家に帰ろうとした。

そういえば、結局、ホールで

何をしていたんだろう。

「明日聞けばいいか」

そう思い、あらためて家へと帰った。









「ミナ先生、何であの子を連れてきたんですか?」


「え、それはオルネストさんがこんな顔して

『始業式の前日に黒髪黒目のあの子、倉庫の近くに10時30分ぐらいに連れてきて来てくれ』って言われたからですけど……」


「うん、言ったね。でもさー、あの子じゃあないんだけどな」


「え、いやでも黒髪黒目のこを連れて来ましたよ」


「いやいや、その前の会話、思い出してみてよ」


「えー、何でしたっけ。………………ああ、たしか

『三年生のあのこにさせるのは多少気が引けますが』って…………」


「うん、覚えていて良かったよ。ミナさんは関心の無いことは忘れやすいからね。……であの子は何年生でしょう」


「…………に、二年生」


「うん、正解。さすがに靴の色が違うから分かりますよね。」


「ま、間違えてごめんなさい!ど、どうかあれだけは止めてください」


「いや、いいんですよ、別にあっちでもある意味面白いから」


「じゃ、じゃあ」

「今月の給料、30%じゃあなくて、20%カットにおさえてあげる」


「そんな、殺生な!」


「いいじゃん、あなた、食費があんまりいらないし」


「で、でも」


「でもも、だけだもありません。ほら、私達はまだ仕事がありますよ。急ぎましょう」


「……はぁい」






「さて、彼には頑張ってもらいますか」











三作目です。

読んでくれるととっても嬉しいです。

あと、更新は不定期ですので。

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