レオナルド・ジル・ドラグネス
魔法師団副団長メルケル視点
ははは、何だ今の動きは!化け物かよ。俺ですら目で捉えることがほぼ出来なかった。しかも今の一太刀は対戦相手を傷つけないように鎧しか切っていない。つまり、真剣同士の勝負に置いて、相手の動きを数歩先まで正確に捉え、加える力を完全にコントロールしているということだ。
ただ単にぶっ飛ばすよりもよっぽど難しい。大きな実力差が無いと不可能な芸当だ。騎士団のアイツにとったらこれ以上の屈辱は無いだろう。
あれがレオナルド・ジル・ドラグネスか。見た目はただの二枚目の少年だが・・・恐れ入る。
「なんかレオナルド様って攻撃力が無いんですかね?やっぱ騎士団長と魔法師団長に勝ったって言うのはまぐれだったんでしょうか?」
「は?」
何言ってんだコイツ!今のがどれだけすごいのか分かってないのか・・・これだから新人は・・・
ポコ!
「イテっ!何するんすかメルケルさん!」
「ったくお前は・・・いいかミゲル!国王の動きをよく見ておけ!」
「え~見とけって・・・さっきからただ鎧切ってるだけじゃないですか?それに魔法勝負じゃないとつまらないとゆーか、なんとゆーか。俺達魔法師団と違ってやっぱり騎士団ってのは大したことないですよね。」
「ハア~あのな、国王は決闘が開始してから一瞬たりとも本気を出してないぞ。それどころか技すら使っていない。やったことといえば、ただ剣を上から下に振り下ろすということだけだ。」
「それって剣技が使えないだけじゃないですか?」
あ~頭が痛い。コイツの目はどこに付いてるんだ。
「じゃあ、ただの素人が幼少期から剣技を叩きこまれてきた貴族相手に、無傷でずっと立っていられると思うか?」
「う~ん、それは一理ありますけど、、、、そもそも騎士団のレベルが低いと思うんですよね。剣なんて、遠距離から攻撃できる魔法に比べたらお遊びみたいなものですし。入団試験も魔法師団の方がはるかに難しいじゃないですか。俺が騎士ですごいと思ったのはロラン騎士団長ぐらいですよ。」
「お前は偏見がすごいな。戦場に置いては、前衛がいるから後衛が生きるし、その逆もまた然りだ。」
「でもメルケルさんが魔法使えばあんな騎士2秒で倒せると思いますが・・・・レオナルド様はそんな奴相手にチマチマなにやってんすか・・・」
「・・・忘れたのか?国王は魔法学校に在籍しているんだぞ。つまり得て物は魔法ってことだ。」
「あ・・・そういえばそうでしたね。」
「俺の見立てでは、国王は剣技だけでも、俺の3倍は強い。魔法もアリならも10倍だろう。さらにドラゴン形態なら・・・考えるだけバカバカしい。」
「え~~~~メルケルさんは魔法師団の副団長なんですよ!?ていうかレノアさんは実力で団長になったというよりナイスバディ―なのが国王に気に入られただけだからメルケルさんが実質トップじゃないですか!」
「レノアをバカにするな。あいつはなるべくして団長になったんだ。」
「・・・すいません。」
「・・・・お前が俺を評価してくれるのは嬉しいが、俺ならあんな化け物と対戦するのは死んでもごめんだな。」
「・・・。」
「この話はこれで終わりだ。そろそろ決闘も終わるだろう。」
流石にあの生意気な騎士も鎧を全て剥がされてしまっては、国王の手加減で生かされていることを認めざるを得ないだろう。身体的ダメージは無いが精神的ダメージは計り知れない。
プライドの高い貴族を相手になかなかエグいことをする。
「・・・アイツどうするんですかね。」
ミゲルのそんな声が虚しく響いた。
~~~~~
「もういいだろ?」
息一つ切れていないレオナルドがそう言い放ち、騎士に背を向けて歩き出す。
「待て!なんだこれは!?俺はまだなんの傷も負っていない!!どこに行く!俺から逃げるのか!?」
その瞬間、レオナルドから殺気が飛ばされる。それも本気の殺気だ。その威圧を直接受けた男はドサリと仰向けに倒れた。まつ毛はピクピクと痙攣し、だらしなく白目を剝く。
それだけではない。会場全体が寒気に襲われガタガタ震える者が続出した。
「他にもまだやりたい奴がいるなら相手になるが誰かいるか?いないなら早速騎士団長と魔法師団長を決めるぞ。」
~~~~~~
メルケル
「な、なんだこの殺気は!!メ、メルケルさん!!」
新人のミゲルが顔を真っ青にしながら身を縮こませる。
「だから言っただろうが。」
ただのプレッシャーでこれかよ。俺ですら満足に体が動かせねぇ。これだけ距離があるというのに目の前に死神がいるみたいだ。
「はは・・ははは。」
乾いた笑いが漏れる。
どうやら先ほどの俺の見立てもまったく見当違いだったようだ。騎士団長ロランと、うちの団長レノアが2人がかりでも敵わなかったわけだ。
化け物過ぎる。
これが初代ドラグネス王国国王、レオナルド・ジル・ドラグネス・・・。
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