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勝負

「今日集まってもらったのは他でもない。今から騎士団長及び魔法師団長を決める。」


 ガヤガヤ。


 闘技場に整列した現役の騎士たちがざわめく。新しい王国になったといえども基本的に騎士団、魔法師団のメンバーは変わっていない。彼らにとって、これはまたとないチャンスのはずだ。


 実際、俺の言葉を聞いてから大多数(だいたすう)の奴は目をメラメラさせている。だが気になるのは顔の表情をピクリともさせない奴らだ。ここに集められたのはエリート中のエリートばかり、いわば精鋭達だ。しかもその多くが当然のように貴族だ。


 プライドの高い彼らからしたら、いくら俺に光の勇者フローラの息子という肩書があっても、平民であることに変わりは無い。それ(ゆえ)、ポッと出の奴が上司になって面白くないのだろう。ましてや、この先俺のために命を懸けることもあるかもしれない。そう考えれば、冷めた態度も理解できる。


 俺としてはそんなことにいちいち気を病んでいる余裕は無い。多少のやっかみや反感を持たれることは想定内だ。


「選考方法だが・・・ん?なんだ?」


「すいません。その前に1つ宜しいでしょうか?」


 俺の話を(さえぎ)り1人の騎士が手を上げた。冷めた顔をしていたうちの1人だ。本来、会議の場でもないのに国王の話を途中で遮るなど、あってはならないことのはずだ。その証拠に周りの騎士たちも驚いたような顔をしている。俺の事を舐めているのか、反応を見ようとしているのか・・・どちらだろうか?


 もちろんこんなことで俺が彼を罰することは無いが、リチャードだったらブチ切れていただろう。



「なんだ?」


「レオナルド様が騎士団長のロランと魔法師団長のレノアを1人で相手にして勝利したというのは本当なのでしょうか?」


「そうだな、そういうことになる。」


 ザワザワザワ


 俺の口から事実だと聞かされ闘技場がさらにざわつく。


「たとえ竜人だとしても(にわ)かには信じがたいですね。私はその時、任務で国外に行っておりましたので何も見ておりませし。騎士団の中でも私以外にもその噂を怪しんでいる者は多くいます。それに知っておられますか?今社交界ではレオナルド様がどんな手を使って王座を手に入れたのかという話でもちきりですよ。噂によると毒を盛ったとか、悪霊(デーモン)を使って呪ったとか、だいぶ前からクーデターを企んでいたとか、ああ、ルーク様と繋がるためにわざわざ底辺学校であるドウラン魔法学院に入学したとかなんとか。」


 そ、そうなのか?なんだぞりゃ!社交界こわっ!!根も葉もない噂がひとり歩きしているじゃないか・・・


「それで?一体なにが言いたいんだ?」


「この場で私と勝負して証明してくださいよ。我々はこの国のため、ひいては国王のために存在しているんですから。卑怯な手を使って国王になった方にお仕えしたいわけではない。騎士団長を選ぶのはそれからでも遅くないのではないですか?」


 ふむ。なるほどね。俺の事がよっぽど気に食わないらしい。


「分かった、いいだろう。」


 仕方がないので了承する。


「ではお願いします・・・あ~そういえば剣の勝負でお願いしますよ?我々は誇り高き騎士団なんですからね。何かに変身するのは野暮ってもんです。」


 男がニヤッと笑った。その表情から察するに、変身(トランスフォーム)を封じれば勝てると予想したのだろう。


 なんとも姑息な奴だ。


 だがしかし、あんなふうに言われてしまってはそれに従うしかない。もしそうしなければ、器が小さいと思われるかもしれない。王というのもなかなか大変なもんだ。


「もちろんだ。木剣と真剣どっちでやる?」


「もちろん真剣でお願いしますよ。遊びじゃないんですから。」


「うむ。ではみなは観客席で待っていてくれ。」

「「はっ!」」





 そこら辺の奴から、ただの真剣を受け取り、指定位置に立つ。


「勝負の間は無礼講でお願いします。あと、たとえケガをされても逆恨みするのは止めてくださいね。」

「ああ。」


 ずっと無礼だったような気がするが・・・まあいいか。


「では始めますよ。」


 そう言って男が銀貨をピンと弾く。銀貨は綺麗に上に飛んだあと、クルクル回りながら重力に負けて落下する。


 そしてそれがポトっと地面についた瞬間、相手が走り出す。


「おらあああああああ!死にやがれえええぇぇ!」


 ・・・無礼講でいいとは言ったけど、失礼過ぎる、もうちょっと気を遣って欲しいものだが・・・相手は全身に身体強化をかけ一心不乱に切りかかってくる。一瞬で勝負をつけるつもりなのだろう。


 だがこちらも易々(やすやす)と負けてやるわけにはいかない。わざわざこの決闘を受けたのは、みなに俺を知ってもらうためだ。そして仕える価値のある王であると示すためだ。



 初撃を適当にいなし、相手の右胸を切りつける。


「なに!?」


 鎧がまるで豆腐のようにスパッと切れ、地面に落ちる。


「くそっ!」


 ザワザワザワ。


 それを見ていたギャラリーからドッと驚きの声が上がる。


高評価、感想、ブックマークありがとうございます!!力になります!たまに力尽きる日があるかもしれませんが、その辺はご勘弁を(@^^@)


今日はなんとか間に合いました。ふう。

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