探索
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「お?あれ宝箱じゃないか?」
「そのようだね。」
次から次に湧いてくるスライムを養分に変えながら、でこぼこの道を進むこと30分。小部屋にポツンと赤色の箱が置かれていた。金色に縁どられているので確実に宝箱だろう。
逸る気持ちを抑えながら、恐る恐る開けてみる。するとそこには大銀貨が3枚入っていた。正直、億単位の資産を持っている俺としてはガックシだったが、貰えるものは貰っておこうと銀貨に手を伸ばした。
すると、空っぽになった宝箱は、まるで砂が崩れ落ちるようにその形を失い、最後には何の痕跡も残さず消えてしまった。これがダンジョンの仕組みなのだろうか。もっと奥に行けば良い物にも出会えそうだが、、、
ここまでブラディウスと競うように進んできたのであっという間だった。それに吸収のおかげでまったく疲れていない。むしろ、スタート付近よりも元気になっているかもしれない。
それはブラディウスも同じだ。彼の場合は、元気になるだけでなく吸収するごとに少しずつ大きくなるので、まるで育成しているような気分になる。最終的にどうなるのかとても興味深い。
「奥に普通のスライムより大きな反応があるけど、やりたいか?」
「ああ。少しは食べごたえがあるといいけど。」
人の手によって造られたとしか思えない石の扉を開き中に入る。広めのフィールドに一際大きなスライムがブヨンと構えている。おそらくフロアボスといったところだろう。
「手伝わなくても大丈夫か?」
「フッこんなやつ10秒もいらないよ。」
ブラディウスは、俺の質問を鼻で笑うと無警戒のままスタスタとボスに近づいて行った。そして、俺に見せるように人差し指を1本だけピンと立てると、そのままグサッと突き刺した。なぜ相手が逃げないのか疑問だったが、どうやら硬直していたようだ。俺はほとんど感じないが、ブラディウスの圧は相当なものらしい。
ニタニタしながら吸収する姿は、犯罪者のソレのようにしか見えないが、まあ、改心しているわけだし大目に見よう。俺にもエネルギーが流れ込んできているわけだしな。ふははははは。
おっと、まるで悪役の笑い声になっちまったぜ。
吸い終わったブラディウスがどうだと言わんばかりにこちらを振り返る。
「さすがデーモンロードだな。」
それがなんぞかは、聞くタイミングを失って知らんけど(^^)奴の顔がパッと明るくなったことを考えるとデーモンロードにプライドを持っているのだろう。時には知ったかぶりをするのも、人間関係を構築するする上で重要だと覚えておくといい。(ドヤ顔)※よい子は真似しないでください。
戦利品の宝箱からは何の変哲もない銅の剣が出てきた。俺自身には何の役にも立ちそうにないが、メロンちゃんに魔石を埋め込んでもらって、売り出したら儲かるかもしれないので一応収納しておく。帰ったらお願いしてみるつもりだ。
「じゃあ、次の階層に進んでみるか。」
一段落したところで、奥の扉を指差しブラディウスに声をかける。しかし彼からは意外な反応が返ってきた。
「それもいいけど、、、この辺の魔物は退屈すぎる。」
「まあ、第一フロアだしそんなもんじゃないかな。それにママンがここのダンジョンは初心者向けだろうって前に言ってたような気もするしな。」
「じゃあ俺は主の中で眠っていることにする。何か面白いことがあったら起こしてくれ。」
それだけ言うと、俺の返事を待たず幽霊のような姿になってしまった。そしてズズズズっと勝手に入ってきた。実体にも霊体にもなれるとは羨ましい限りだ。こちらとしては、体の中に自分以外の力を感じるので、違和感が相当あるが、、、、これが合体状態なのだろう。
これではどちらが主なのか分かったものじゃないが、、、まあ、ダンジョンの探索は俺がやりたくてやっていることなので仕方ないだろう。
1人で階段を下り第二フロアに進む。といっても、第一フロアと何か劇的な変化があるわけでもなく、同じような造りが続いた。強いて言うならばスライムのレベルが少しだけ上がっただろうか。
適当に魔物を蹴散らしながら、しばらくと進むと川が流れていた。流れも速く、川幅もそこそこある立派な川だ。しかも、それがナイアガラのような巨大な滝に繋がっていた。思わず声が漏れてしまう。
「うほ~~~」
縁に立ち、真下を見下ろしてもまったく下が見えない。深淵が広がっていた。
試しに、そこら辺に転がっていた石を落としてみても、チャポンともコツンとも音がしない。落ちたが最後、絶対に生きて戻ることが出来ないのは誰の目にも明白だった。万が一川に落ちて、そのまま流されていたらと思うと股間がヒュンとする。
しかしここであることに気が付いた。そう、俺は空を飛べるのだ。明かりは魔法で何とかなるし、ゆっくり降りていけばケガもしない。ここらへんで一回家まで戻るのが手堅いやり方だが、そんなちまちま攻略するのも男らしくない。
結局、先がどうなっているか知りたいという欲に勝つことは出来ず、形態変化をしてから羽ばたいた。
慎重に高度を下げていく。最初こそ順調だったが、そのうち滝の水が水蒸気に変わり霧散していく。しかも唯一の頼りだった崖もなぜか見失ってしまい、指標が無くなってしまった。
それでも勇気を奮い立たせ先に進む。
しかし、いつまで経っても底にたどり着かないので、だんだんと恐怖心が芽生えてくる。魔法で明かりを作っているとはいえ、、、結局目に見えるのは真っ暗闇なので、自分の位置がよく分からなくなる。それだけではない、足を下にして下降しているつもりなのに、上下左右がよく分からなくなり上昇している感覚すら感じる。
果たして自分が進んでいる方向は合っているのだろうか?そんなことばかりが頭の中をかすめる。
正常な時間感覚も失われ、もうダメかもしれないと思ったその瞬間、
コツン!と自分の足の裏が何かを捉えた。緊張から翼は動かしたままだったが、安堵の感情が湧きあがる。ちゃんと底はあったのだ。
相変わらず真っ暗闇のままだが精神への負担がだいぶ柔らいだ。
地面を噛みしめるように立ち、辺りを見回す。ほとんど何も見えないのだが、ある物がたくさん転がっていた。
「ひっ!」
がい骨だ・・・それも人間のものだと思われる。これが明るみになったら、ダンジョンの真上にあるうちの地価は暴落するかもしれない。
・・・なんちゃって。
ブックマークありがとうございます!!呼んでくれる方が増えるのはやっぱり嬉しいですね。
売れっ子芸人は女優と結婚できるのですね。




