ゴリラパワー
「こんにちはー1週間前に湯船の制作をお願いしたレオナルドですけど。」
小さな工房に足を踏み入れると、奥から作業着姿のお姉さんが姿を現した。メロンちゃんだ。むふふ、華奢な少女なのでコスプレをしてるようにしか見えない。ええのう、ええのう。
「こんにちは!」
「ん。」
おおぅ、営業スマイルを見せないそのかんじ、媚を売っていなくて個人的には高評価だよ!グッジョブ!
「一応こんなかんじで作ってみた。」
メロンちゃんが指差す方向には、布で覆われた大きな物体がある。待ってました、待ってました。除幕式スタイルですね!
「見てもいいですか?」
「ん。」
パサっとめくると、そこにはイメージした通りの湯船があった。魔石を設置するための穴もちゃんと2か所開いている。ナイスだよナイス!俺の下手くそなデザイン画でよくここまで作れたもんだ。
「おお!いいですね!」
「レオちゃんこれが湯船なの?」
「うん!」
まだママンにはイマイチ分からないのだろう。現状ただの石の塊だからな。湯船の真価はお湯を張った時に発揮される。じゃあこれを一回持ち帰って実験してみようかな。
「ありがとうございます!一回持ち帰って実験してみますね。」
「待って。」
「?」
なんだろうか?真っ直ぐに俺のことを見つめて・・・ナンパはよしてくれよ、横にママンがいるんだから。へへ。はずかちぃだろ。
「実験するなら私にも見せて。これがどうやって使われるのか見てみたい。それに私が横に居れば細かい要望にも応えやすいと思う。」
ふむ。そっちでしたか。なんと真面目な・・・・・いや、でも・・・・入浴シーンを見せてくださいって・・・遠まわしにあなたの裸を見せてくださいってことだよな?ナンパよりレベル高くね?
あれ?メロンちゃんにお風呂は裸で入るもんだって言ったことあったかな?ぐむむむ、思い出せないな。ママンの横で少女を発情させちゃったらどうしよう。
いやいや考え過ぎか・・・・この子はたぶん物作りに目が無いオタクなんだ。
「分かりました。えっとじゃあ、水使うんで濡れてもいいところに運びましょうか。」
「ありがとう。分かった。ついてきて。」
そう言うとお姉さんは石でできた湯船を一人で持ち上げた。
「えええ?」
この華奢な体のどこにそんなパワーがあるの!?どゆこと!!ゴリラパワーじゃん☠☠☠
「私ドワーフだから。」
力持ちの種族なのか・・・すごいな。世の中にはいろんな人がいるもんだ。・・・・まあ、ゴリラパワーに関しては既視感のような気もするが・・・気のせいだよな・・・そうだなママンがゴリラパワーなわけないもんな・・・・。
♢
やってきたのは建物の裏手にある更地。うん、ここなら濡れるのを気にせず実験できそうだ。
「異空間収納!」
えーと魔石はどこかな・・・・この日のためにあらかじめ準備してたんだ。楽しみだったからね。ふふふ。まあ俺が使うだけなら、魔石じゃなくて湯船に直接設置魔法を施せばいいような気もするけど、魔石を使えば魔力を温存できるし、そこら辺の人でもお手軽に使えるようになるからね!
「え?」
基本的に無表情なお姉さんの顔が驚きに変わった。目がお魚さんみたいに真ん丸になってる。そういえばみんな俺が黒髪になるとビックリするんだよね。やっぱり珍しいのかな。まあ、そんなのどうでもいいけど。
あった、あった。『湯』って書いたのと『浄化』って書いた2個の魔石。浄化っていうのは水を外に排出する時に必要だからね。自然にも配慮しております、はい。
「レオちゃん何してるの?それって魔石?だよね?」
「うん!」
湯船の窪みに2つをはめ込む。
「ママン、じゃあこっちの方に魔力を流してみて!」
「え?魔石に?魔石なんてただのガラクタなのに?」
えへへへ、良いフリですね。
「いいからいいから。」
「うん、分かったわ。レオちゃんがそこまで言うなら。いくよ?」
バチバチバチ!
「え?」
「「えええぇぇぇぇ!」」
ママンが魔力を流した途端、湯船にお湯が溜まっていった。水面からはモクモクと水蒸気が上がる。大成功だ。
「なんで水が出てくるの!?いや水じゃなくて熱い!どういうことなのレオちゃん!?」
「それは魔石に設置魔法を施したんだよ!」
・・・・・まあ革命って言っても・・・特に隠すことでもないしね。メロンちゃんにはこれから魔導具?作ってもらうかもしれないし。
「「えええぇぇぇ!」」
「・・・すごい。」
えっへん!
「これに裸で浸かると疲れが取れて最高の癒しになるんだ。」
パンツ1枚になって実際にお湯の中に入ってみる。メロンちゃんにイヤラシイ眼で見られるんじゃないかと思ったけど、どうやら俺の勘違いだったようだ。失敬失敬!俺の裸じゃなくて、純粋にお風呂に興味があるなんてオタクですね。これでもシックスパックだし良い体してると思うんだけどな・・・
「ふう~」
最高に気持ちがいい。全身の筋肉のコリが溶けていく。
「ママンも入ってみてよ!」
「う、うん。」
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「確かにこれは最高ね!こんなすごいもの作れちゃうなんて流石レオちゃん///」
「えへへへ♡♡」
ツヤッツヤの顔をしたママンが満足げに唸る。ああ、期待してくれた人には悪いけどもちろんママンが入るときは周りに目隠しを置いてるからね。勘違いしないでくれ。
なにはともあれママンにも良さを理解してもらえたし、、、、あとは湿気対策とかかな・・・
あれ?そういえば先ほどからドワーフの少女がモジモジしてるぞ。そうかお風呂に入ってみたいのか!
「よかったらメロンちゃんも入ってみる?」
「え・・・うん///」
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「どうだった?」
「良かった。」
そう言ってお姉さんはニコっと笑ってくれた。かわいい。
「お風呂の理解者が増えてくれると俺も嬉しいよ!へへへ、みんなで一緒に入るとさらに気持ち良いよ!裸と裸で何も隠すものが無いでしょ?だから普段話せない事とかも不思議と話せちゃうんだ。」
「それは素敵ね!ママ、レオちゃんと一緒に入りたいわ!」
「え?」
・・・それは・・・そんなことしたら・・・俺のドラゴンが火を吹いちゃ・・・・でもこの年齢の親子が一緒に入ることはまず無いってことは何となく言いたくない。もしかしたらね・・・ね?あると思います!
「ま、まあね。俺も一緒に入りたいよ(切望)。」
「そうだわ!どうせならもっと大人数で入れるぐらいのお風呂を作っちゃいましょ!」
もはや銭湯だね。だがその案には猛烈に賛成だ!というか露天風呂なんかもあったら最高だけど・・・
「あ、そうだママン。どうせなら、、、、メロンちゃんに、お風呂だけじゃなくてうちの新しい家建ててもらおうよ!他にも魔石使っていろいろやってみたいことあるし、要望もきいてくれるよ。何より腕が確かだしね!」
「うんそうね!メロンさんどうかしら?」
「え・・私でよければ・・・」
「よし、じゃあ決まりだね!」
「ふふふ、さっそく図面の相談でもしましょうか!」
「はい!」
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