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【第一章完結】人はいつか死ぬ。だから主人公たち、頼むからハーレムエンドになってくれ! ~悪役貴族に転生した俺の全員生存計画~  作者: 水無口 晶紀人
みんなとの出会いと課外授業:4月編

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第6話:悪役としての自己紹介イベント

「六大貴族の一つシャッテンスカー家のロイスロットだ!

 悪いがお前らみたいな奴らと馴れあうつもりはない!」


 そして、俺の学園デビューが始まった瞬間に終わりを告げたのだった。

『どうしたらそんな挨拶になるのさ…』

『原作通りなんだけどな。』

『原作って何!?』


 実際にゲーム内の自己紹介イベントでロイが言い放った言葉だ。

 ここ数日一緒にいるだけでわかる、ロイが言わなさそうなセリフ。

 ロイも俺と同じく陰のものではあるが、嫌な奴ではないしな。


『いきなりクラスメイトに喧嘩売るような真似をして、これからどうするつもりなのさ!?』

『思案中だ。』

『何も考えてなかったの!?』

 ゲーム通りのセリフを言えば、ゲーム通りに進む。

 そうであってほしいと願う、じゃないとただの黒歴史である。


「リュウジだ!これからよろしくな!」

「ホノカです!みんなこれからよろしくね!」

「ミズキといいます ぷふっ!馴れあうつもりはありますので以後お見知りおきを。」

「ニーナです、神官を目指してます」

「サラです…」


 予定通りみんな同じクラス同じセリフ。ロイ視点だとミズキの笑いが心に刺さる。

 プレイヤー視点だと一緒に笑ってたんだけどな…


 鮮烈な自己紹介をしたかいあってか、俺の周りにはだれもよりつかなかった。

 俺は使命を果たすために馴れあうつもりはない。

 と心の中でロイのロールプレイをして自分を慰めよう…

 そろそろあいつも来るしな。


「よっ!」

 後ろから声をかけられる。

 短い金髪にスラリと伸びた長い脚、ちょっと筋肉質な体、邪念を感じない爽やかな笑顔――

 何を隠そうこいつがゲームの主人公にして、六大貴族の一人『リュウジ・カグヅチ』である。

 プレイヤーの分身と対面するというのも複雑な感情だな。

 緊張はするが、リュウジとは話しておく必要がある。


「どうしたんだ?カグヅチ。」

「リュウジでいいぜ、こっちもロイって呼んでいいか?」

「…いっておくが、なれあうつもりはないぞ。」

「それはそうなんだが、数少ない顔なじみだし、それにうちのクラスの六大貴族は、俺たち以外女だろ?話しかけにくい。」

 リュウジはホノカやミズキそしてサラの方を見て苦笑いを浮かべる。

「だからさ一緒に飯いかね?それくらいならいいんじゃねぇか?」

「今回だけだぞ…」

「おう!この後食堂に集合な!」


 そういって笑顔で去っていった。忙しいやつだな。

 ちなみにさっきのリュウジとの会話はゲームのイベントとしてある。


『子供の時と変わらず騒がしいね…』

『そういえば会ったことはあるのか。』

『うん、社交会で何回か。』

『いいやつなのは確かだぞ。』

『…そうだね』


 なんだかんだいいつつ、クラスで浮かないためのリュウジの気遣いだろう。

 ゲームではリュウジ側でプレイしているのだ。俺にはわかる。

 現在は逆の視点になっているため、違和感はあるが。

 ゲーム側では分からないリュウジの表情の変化を見れるのは、ファンとして嬉しい。

『そろそろ食堂に行くか、待たせるのも悪いし。』

『そうだね、どんな感じなんだろう楽しみだな。』


 学園の食堂の昼食はビュッフェ形式を採用している、安くてお腹いっぱい食べれる学生の味方だ。

 大人数が入れるようになっており、混んではいるが座る席には困らない。

 俺はパンとスープだけとって四人掛けの席について、リュウジを待つ。

『え?その量で足りるの?』

 ロイに心配されるが、指摘通り本来なら全然足りない。

 だがこれにはちゃんとわけがある。


「お?ロイ、先にきてたのか!」

 トレイに大量の肉料理を乗っけたリュウジが正面の席に座る。

 皿には緑のミの字も感じられない。

 そしてリュウジの後ろから…


「お兄ちゃん、ちゃんと野菜も食べないとダメだよ?」

 ややあきれた様子でトレイを持ったニーナがリュウジの隣に座る。

 ゲームと同じで義兄の世話を焼くのが好きらしい。リュウジと対照的で色々な料理がきれいに盛りつけられている。

「えっと…」

 俺の存在に気付いた様子でこちらを見る。ニーナ自身義兄のリュウジ以外は人見知りするから仕方ない。

 それに先ほど馴れあうつもりはないと自己紹介した奴が、普通に一緒に約束して飯食いに来てたら困惑するだろう。

 ニーナなら大丈夫だが、同じヒロインのミズキなら笑って煽ってきそうである。


「ロイ、知っているかもしれないが紹介するぜ。義妹のニーナだ。」

「ニーナです、兄がいつもお世話になっております。」

 人見知りだがちゃんと挨拶はしてくれる、ゲーム時代のニーナのことを思い出して笑みがこぼれそうになる。

 だが、今はゲームのシナリオ真っ最中だ。俺は自分の役割を全うする。


「…邪魔したな」

 俺は席を立つ。

『え?どういうこと?』

 ロイの困惑の声が聞こえる。

 いやこれがシナリオ通りなんだもん…

 俺だって意味不明だと思うよ、誘われたのに急に出ていくんだもん。

 ただゲームのシナリオではロイはなぜかここで席を立ってでていく。

 そして俺は食堂の出口へと向かう。


『なにしにきたのさ…』

 原作のロイに聞いてほしい、なんででていったんだ。

「お兄ちゃん、もしかしてニーナ失礼なことしたかな…」

「なんか用事でもあったんじゃね?お、この料理おいしいぞ。」

「お兄ちゃん、またお肉ばっかり食べて…」

 そういう二人の会話が聞こえる。

 もしかして、ゲームのロイはロイなりに気を使っていたのか?

 リュウジとニーナが楽しく食事できるように。


 視点が違うとまた見えるものが変わるものなのかもしれない。

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