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【第一章完結】人はいつか死ぬ。だから主人公たち、頼むからハーレムエンドになってくれ! ~悪役貴族に転生した俺の全員生存計画~  作者: 水無口 晶紀人
魔法実技大会:5月編

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第8話:連休最終日にミズキと…

 充実していた一日目の連休が終わり、あっという間に五連休の最終日になってしまっていた。

 二日目以降は朝ホノカとトレーニングをし、疲れて夜まで寝る。

 そこから寮の部屋でロイと本を読んだり、魔法の検証をするだけで一日が終わってしまった。

 そして連休五日目の最終日もまたホノカとトレーニングをして、部屋でシャワーを浴びてベッドに飛び込むーー


『さすがに休みの日だからって寝すぎじゃないかな?』

 ロイに窘められる。

『さすがにトレーニングの後、何かする気にならないよ…』

 ホノカは入学してからずっとこなしているのがすごすぎる。学校では疲れた顔一つ見せないし。


『せっかくの休みなんだから、もう少し色んなところに行こうよ…

 学園生活なんて気が付いたらあっという間に終わっちゃうよ?』

『…』

 学園入学前に数年引きこもっている奴のセリフじゃないだろと思ったが、ぐっとこらえる。


 ロイがいうことももっともだ。せっかくの自由な時間は有効利用した方がいい。

 それにロイがそう提案してくるということは、おそらくどこかに行きたいのだろう。

 自分の体を自由に動かせないというのも、不憫である。

 仕方がない、外に出よう。トレーニング初日ほどの疲れはないし。


『わかった…外に出よう。』

 そう言って俺は着替え始める。

『本当!?』

『あぁ、行きたいところあるか?』

 どうせならロイが行きたいところに連れて行ってあげよう。

『えぇと…』

 ロイは言いよどんでいた。


『ロイ?遠慮はしなくていいんだぞ?なんだかんだお金に余裕はできたし。』

 課外授業で狩っておいたモンスターのおかげで、散財さえしなければ生活費は困らないだろう。

 さすがにあまり贅沢はできないが。


『ごめん…行きたいところが思い浮かばないや…』

『なるほどな…』

 外へ出なきゃと思うけど、いざ出てもやりたいことがないんだよな。気持ちはよくわかる。

 ふむ…だとしたらどうしようか。適当にぶらついてもいいのではあるが。


『こういう時って前の世界だとどういうところに行ってたの?』

 ロイに尋ねられた。参考にしたいのだろうか。

『まぁ銭湯とか喫茶店とか、後は映画館か?』


 学園内にも大衆浴場や喫茶店はある。出かけるのであれば、せっかくなら王都まで行って何かしたいな。

『とはいえ、この世界に映画館はないし…ん?』

 ふと初日にホノカと遊んだ時の会話を思い出す。

 もしかしたら似たようなことができるかもしれない。

『どうしたの?何か思いついた?』

『あぁ…早速王都に行くぞ。』

 善は急げだ。目指すは王都の劇場だ。


『さすが連休最終日混んでいたけど、何とかチケットは取れたな…』

『そうだね、でもなんで劇場に?演劇に興味でも湧いたの?』

『いや特には…』

 映画がないから代用できそうな場所がここしか思いつかなかっただけだ。


『ロミーとジェリー』の内容も気にならなくはないし。

『流行りものに触れておくのもいいかなと思って…』

 もっともらしい理由を適当につけておく。

『別にいいけど、なんか女性とかカップルが多いね。一人で見るの?』


 見渡してみると確かに女性ばかりで、男性がいたとしても彼女と二人で見に来ましたという感じである。

『でもなぁロイ、俺が女の子を誘えると思うのか?』

『…ノーコメントで。』

 ホノカあたりは頼めば来てくれそうだが、それをやったら紛れもないデートである。

 あくまで俺の役割はリュウジ達の恋路のサポートだ。面白かったら奮発して、リュウジにペアチケットでも押し付けよう。

『そろそろ時間だし、入るぞ。』

『うん、小説の内容知らないけど楽しみだね。』


 劇場のエントランスはとても清潔で綺麗だ。前世の博物館とかでよく見る大きな白い円柱が目を引く。

「チケットを拝見いたします。」

 受付の女性にチケットを渡して、半券を切ってもらう。

 そのまま劇場の方まで歩いて行く。

『おっ!』

 劇場の入り口にお目当てのポップコーンが売ってあった。

「すみません!ポップコーンのLサイズと飲み物ください!塩とキャラメル半々で!」

 俺は店員に注文した。

『一人でそんなに食べるの?…』

『むしろこういうのってポップコーンを食べるために、見るんじゃないのか?』

『そういうものかなぁ…』


 ロイの呆れた声が脳内に響く。

 割高だが、こういう場所に来ると無性にポップコーンが食べたくなるのだ。

 俺はポップコーンを受け取り、劇場に入る。

 ポップコーンを買っていたせいか、席に着く頃にはちょうど照明が落ち始めていた。

 それにしても数百人は入れそうな大きな会場だ。


 指定席制なので、案内表を見ながら自分の席に座る。

 会場は暗めなので隣の人の顔もよく見えない。

 俺は自分の席に座り、くつろぐ。椅子はふかふかで助かった。

 ひじ掛けの部分に左手を置くと、柔らかな感触がする。

 視線をやると、既に隣の席の人が手を置いていたらしい。

「すみません…」

 俺は小声で謝り、慌てて手を引っ込める。

「いえ、大丈夫です。えっ…」

 隣の席の人は気にしてなかったらしい、助かった。それにしても聞いたことある声のような…

「奇遇ですね、ロイ君。」

 隣の席に目を向けると、ミズキが座っていた。

 なんで隣の席にいるんだ?偶然にもほどがあるだろう。

『すごい偶然だね。』

『あぁっ…』

 ロイも驚いていた。運命めいたものがこの世に存在するのだろうか。


「ロイ君もこういうのに興味があるんですか?」

 周りに迷惑にならないよう、ミズキは俺の耳元まで近づき小声でささやく。

 なんというかとてもくすぐったい。


「あぁ、流行っていると聞いてな。暇だし来てみたんだ。」

「へぇ、そうなんですか。」

 暗くてミズキの表情が読めない。


「ミズキはあまり興味ないと思っていたけど、意外だな。」

「ロイ君にはわたしがそう見えているんですか?」

「非現実的なストーリーで面白いと言っていたと聞いてな。」

「まぁ、ホノカさんから聞いたんですね?」

「…」


 秒でバレてしまった。勘がよすぎるだろ。すまないホノカ。

「ですが、ロイスロット君。非現実的だからこそ面白いと思いませんか?フィクションはそういうのを楽しむものでしょう?」

「あぁ…そうだな…」


 今でこそ現実だが、数か月前までは、ミズキも俺にとってはフィクションだったんだけどな。

 何とも不思議な気分だ。


「それよりもロイ君、それはお一人で食べられるんですか…?」

 ミズキは俺の持っているポップコーンの量に注目しているようだ。

 声音的にちょっと引かれたか?

「…食べるか?塩味とキャラメル味がある。」

「えぇと…キャラメル味の方をいただきましょう。」


 こうして俺はミズキの方にポップコーンを差し出す。

 それから先はお互い無言で演劇を見ていた。

 演劇は思ったより楽しく、ラストは心を打たれた。


『初めて見たけど、おもしろかったね。』

『あぁ来てよかった。』

 ロイも満足したようで安心した。

 意外と安かったし、また気になる作品があったら見に来よう。


 演劇の幕が閉じ、周りが明るくなる。

 ミズキの方を見ると、ハンカチで顔を拭いていた。

 意外と涙もろいところもあるんだな。


 声をかけるのも申し訳なく思ったので、俺は席を立つ。このまま帰ってのんびりしよう。

 俺は劇場を去ろうとしたが、服の袖を引っ張られる。

 振り返るとミズキがこちらを見ていた。


「どうかしたのか?ミズキ?」

 ミズキはまだ涙目のまま、俺を見上げ言う。


「ロイ君、せっかくなのでこれから感想を言い合いませんか?」

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