↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一章完結】人はいつか死ぬ。だから主人公たち、頼むからハーレムエンドになってくれ! ~悪役貴族に転生した俺の全員生存計画~  作者: 水無口 晶紀人
みんなとの出会いと課外授業:4月編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/44

第28話:命の天秤と覚悟

「どうしてこうなった…」


 最悪の場合を想定して動いていたが、なんでこうも最悪なケースを引いているのか。

 森の入り口で潜伏していたら、リュウジ達が来る。

 森を安全に抜けることも、引き返すこともなく、このままだとドラゴンと遭遇する。

 いくらなんでも逆にできすぎではないだろうか。


 正直、ゲームでもこの森には何もないぞ。

 今みたいに、やたら強いドラゴンが出てくるだけで。

 そしてここで問題が発生する。

 このドラゴンどうしよう……


 まだリュウジ達とは遭遇してないが、時間の問題だろう。

『なんでこんなところにドラゴンがいるのさ!?』

『本当になんでだろうな…』

 ゲームでも脈絡もなくエンカウントするから、未だにバグか何かだと思っている。


 このまま遭遇しても、現時点では勝てないのは見えている。

 そのために色々準備をしているのだが、俺は迷っていた。

 果たして、リュウジ達を助けていいのだろうか?


 ゲーム内の課外授業イベントでは、リュウジとロイは会っていない。

 ここで出会ってしまうことによって、シナリオに影響を与えないのだろうか。

 もしかしたらこのままリュウジ達がドラゴンに遭遇しないのかもしれない。

 もしかしたら俺の介入もなく逃げることができるかもしれない。


 ゲームなら「逃げる」コマンドを選べば済むし、

 最悪セーブ&ロードでゲームオーバーを免れることができる。

 だが残念ながら今俺がいるのは、ゲーム世界であり現実だ。

 モニター越しのやり直しがきく世界ではない。


 ドラゴンの大きな咆哮が森中に響く。

 そして最悪なことに、そのままリュウジ達と遭遇してしまった。


『どうする?みんなを助けるの?』

『…まだ様子を見よう。』


 ゲームのシナリオを極力変えたくない。

 リュウジ達ならきっとこの状況をなんとかしてくれるはずだ。

 主人公だぞ、この世界の。


 遠目でリュウジ達を見ているがドラゴンに恐怖をしているのか動けていない。

 頼む早く逃げてくれ。


 ドラゴン側は待ってくれず、リュウジ達を食べようとしている。

「シャイニングシールド!」

 ホノカが光の盾を掲げた。

 おかげで目潰しになっているのか、ドラゴンは目をつぶって暴れている。

「今のうちに!逃げよう!」

 ホノカがみんなに声をかけている。


 リュウジよりもよっぽどリーダーしているな。

 そしてこれなら逃げれるな…

 俺は内心安堵した。


 だが、すぐに希望を絶たれる。

 ドラゴンの暴れた余波で、ホノカが吹き飛ばされてしまった。

 よく見ると地面に血痕がある…


『さすがにまずいよ!』

 ロイの声が聞こえる。

 あぁ、そうだ…

 シナリオを変えたらいけないとかそういう考えはただの言い訳なんだ。

 俺は怖いのだ…


 ここでドラゴンと戦って、殺されることが。

 確かに俺にとって大好きなキャラクター達だ。

 だが、なんで俺が命を賭けないといけないんだ?

 この世界だと友達でも恋人でもない、ただの知り合いなんだぞ?

 仲良くなったところで、ヒロインはみんなリュウジを好きになるんだぞ?

 そこまでして助ける理由はなんなんだ?


『お願い…みんなを助けて…』

 うるさい…

 助けてほしいのは俺の方だ。

 なんでこんなこと背負わされているんだ…

『みんな死んじゃうよ!助けて!』

 ロイの叫びが脳内に響いた。


 …みんなが死ぬ?

 リュウジ達の顔が浮かぶ。

 ゲームの画面越しに見ていた顔じゃない。

 俺がこの世界に来て、実際に言葉を交わしたあいつらの顔だ。

 ハッと我に返り、状況を確認する。

 リュウジがホノカに駆け寄り、助けようとしている。

 ドラゴンはすぐそこにいる、それでも…

 リュウジはホノカを置いて逃げようとしない。

 あいつだってきっと怖いはずなのに……

 俺は奥歯を嚙み締めた。


 俺は何を考えてたんだ、何のためにここまで準備してきた。

 みんなを助けるためだっただろうが!

 リュウジが仲間のために命を賭けているのに、俺が賭けられないわけないだろ。


『ロイ、魔法でどれくらいあいつの攻撃を耐えられるか。』

『ブレスは耐えられるかもだけど、爪とか牙は直撃したらさすがにまずいかも…』

『わかった…』

 俺は一瞬ためらったが、覚悟を決めた。


『鎧を出してくれ。』

『了解!』

 ロイの魔法で俺の体に、黒い鎧が装着される。

 もう後戻りはできない…いや、しない。


 ドラゴンは口を開けている。口の周りに炎が集まっている。

 俺は飛び出して、アイテムポーチから爆薬を取り出しーーー

 素早くドラゴンの口めがけて投擲した。


 ドラゴンの口の中で爆発し、ドラゴンが悶える。

 そして俺はリュウジ達をかばうように、ドラゴンの前に立ちふさがる。

「ロイ…?」

 リュウジが俺を呼ぶ。

 不安と恐怖を浮かべた表情でこちらを見ている。


「早くみんなを連れて逃げろ。」

「だけどロイ…」

「大丈夫だ、任せろ。」


 リュウジにだけでなく自分に言い聞かせる。

 俺はこのゲームを極めた男だ。

 できないなんてことはない。


 ドラゴンを引き付けるために、俺はリュウジ達とは別方向に走り出す。

 怒気を帯びた咆哮を上げながら、ドラゴンが俺を追いかけてくる。

 足が速くすぐに追いつかれる。


『ロイ身体能力強化を強めてくれ。』

『わかったけど、このままだと10分もかからずに魔力尽きるよ!』

『…なんとかする。』


 強化された脚力で木の幹を蹴り、一気に枝の上へ飛び乗る。

 直後、背後で凄まじい音がした。

 振り返ると、さっきまで俺がいた場所の木が、ドラゴンの爪でへし折られていた。

 嘘だろ…あんなの一発でも食らったら終わりだぞ。

 俺は急いで次の木へと飛び移った。

 地面を走るよりはこちらの方が速い。

 これなら、ドラゴンと追いかけっこできそうだ…

 俺は木から木に飛び移り、速度を上げていく。


 ドラゴンが炎を吐いたらどうしようもなかったが、先ほど爆薬を突っ込まれたせいか炎を吐いてこない。

 狙い通り、炎のブレスを吐くことを嫌がっているようだ。

 元はゲームの世界とはいえ、生物としての本能などはあるようで助かった。


『これならいけそうだね。』

『もちろんだ。』

 まだ怖いが、ロイと軽口を言える余裕がでてきている。

『ん?』


 木から木へ乗り移っていて視点が高くなったせいか、いろいろな景色が見える。

 そしてゲームファンとして見過ごせないものが見えてしまったーー


 なんであいつがこんなところにいるんだ?


『どうしたの?』

『すまん、ロイ予定が変わった。一旦ドラゴンを振り切るぞ。』

 俺はさらに速度を上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。