第24話:来るべき時に備えて
課外授業が始まり、俺は既に2個のチェックポイントを通過していた。
教師の反応を見るに、どうやら学園史上最速の進行ペースらしい。
前世の知識を使って楽なルートを選定して、行動しているから当然と言えば当然なのだが。
この課外授業ではリュウジ達には会っていない。
ゲーム上で課外授業のイベントでは、リュウジ達はロイとは出会わないため意図的に避けている。
余計な接触でシナリオの改変を行ってしまうことはできるだけ避けたい。
そんなわけで、リュウジ達より先行している俺が何をしているかというと……
『くるよ!2体!』
赤い瞳をした狼型の魔物が2体俺の方に向かってきている。
今までは小さなスライムや、角の生えたウサギみたいなモンスターを道中で倒してきたが、
こいつは別格過ぎる、速いし怖い。
ハウンドウルフの弱点は氷属性だったはず。
俺は腰のダガーではなく、アイテムポーチから魔法スクロールを探す。
魔法スクロールは一度きりの使い捨てであるが、魔力を持たない人でも魔法を発動できるアイテムだ。
『今ならいけるよ!』
持っている中から『アイスアロー』のスクロールを取り出し使う。
ハウンドウルフを引き付けて使ったおかげか、無事命中し2体とも倒れた。
ロイにアシストしてもらったおかげでもある。
一人なら怖がって引き付けずに使って外していたかもしれない。
『もういないみたいだな。ありがとう…助かった。』
『ここら辺にいるのは有名なモンスターばかりだね、攻略方法も確立されててよかったよ。
魔法を使えば負けないと思うけど、スクロールそんなに簡単に使っていいの?
使い捨てだよね?』
『そのために買ったからな。ある程度は魔力を温存しておきたい。
それと普通に怖い…』
犬が襲いかかってくるゲームは、前世でもあるが実際に犬に襲いかかられたことはない。
正直なところ恐怖でしかない。果たして慣れることはあるのだろうか。
『そうなんだ…でも、ミズキと戦った時の方が怖いと思うけど?』
『あれは魔法で守られていたからな、今回は温存しているし…
俺のいた世界に、あんな殺意高めのモンスターはいないからな。』
『そうなんだ。平和なんだね。』
『…まぁそうだな』
前世の世界ではそういう命の危険は感じることはなかったし、そういう意味では平和だったか。
色々あるが、それをロイに説明しても意味はないだろう。
まずは俺が戦闘にできるだけ慣れておくことが優先だ。
課外授業で役に立たなかったとしても、今後生き抜くためには必須の能力だろうし。
『一旦モンスターから素材をとっておくか…もしリュウジ達に負けたら出費がやばいだろうし。』
『それもそうだね。ハウンドウルフの牙や毛皮は値が付くしとっておこうよ。』
『そうだな。』
その後魔法スクロールを使わずに、身体能力強化の魔法だけでハウンドウルフを3匹ほど倒すことができた。
時間はかかったが、一体ずつならなんとかなるな。
魔力の温存はしておきたいが、魔法スクロールを使わない戦いを体に覚えさせておきたかった。
魔法の研究をずっとしていたという割には、ロイの体は意外と動ける気がする。
身体能力強化の魔法のおかげなのだろうか。
『一旦これでハウンドウルフとの戦いはいいかな。』
『わかった、これからどうするの?次のチェックポイントに行くの?』
『あぁそうしよう。できれば第4チェックポイントまでは今日中についておきたい。』
ゲーム上だと様々なルートがあり、どのルートを通ってもゴールまで5つのチェックポイントを通らないといけない。
リュウジ達が通るルートが不明だが、ルート次第では現状勝てない敵と接触する可能性がある。
そうならないように先回りして情報を集めておきたい。
頭の中で安全なルートを考えながら、俺は第3チェックポイントを目指した。




