第22話:課外授業とリュウジとの賭け
「みんな集まったな、それでは課外授業の説明を始める。」
1年生全員が整列し、教師の話を聞く。
何だか前世の学生時代を思い出し、懐かしい気分になる。
「課外授業はフィールドワークになる。
各グループは転移門を通り、スタート地点からゴールを目指してもらう。
明日の夕方までを期限とする。
道中チェックポイントがあり、そこに教師がいる。
教師からスタンプをもらうことで得点を得られる。
怪我や体調不良があったら、最寄りのチェックポイントによるといいだろう。
また、各モンスターを倒した場合に対しても加点となる。
さらにモンスターの素材は各グループの所有物になるからとっておいた方がいいぞ。
ゴール順によっても得点が変わり、成績に反映される。
最後に学生同士の私闘は禁止だ。即失格、退学処分もあり得るから絶対しないように。
なお、この課外授業学園生以外の帯同は禁止している。
食事なども含め各自で用意するように。」
とは言ってもルールだけじゃなく前世のゲーム知識があるせいで、チェックポイントの場所や安全なルートは全部頭に入っているから退屈な説明だな。
「なぁ、ロイ。」
「なんだリュウジ?先生の話はちゃんと聞いておいた方がいいぞ。」
「いやぁこういう話かったるくてあまり聞いてらんねぇのよ。」
リュウジらしいと言えばリュウジらしいが、多分お前は理解してないだろ…
「二人とも私語はダメだよ。」
ホノカに注意される。
「なんで俺まで…」
「両成敗だよ。リュウジが話しかけてきても無視すればいいでしょ?」
「おいおいそれはひどいぜ、ロイ。」
「…別に無視してないだろ。で?なんの用だ。」
おそらくゲーム同様、課外授業で勝負を挑んでくるだろう。
「どうせなら今回の課外授業勝負しないか?」
良かったシナリオ通りだ。
「どうやって勝負するつもりだ?5人グループと俺一人でテストの点を競うのか?」
「さすがのお前でも人数差は埋められないだろうから、単純にゴールした際の順位で決めようぜ。」
「まぁ妥当だな。」
「何もないのもつまらないし、飯の奢りでもかけないか?」
「…好きにしろ。」
とても学生らしいやり取りだ。
「面白い話ですね。」
ミズキがいたずらっぽい笑みを浮かべて話に入ってくる。
「先ほどの話を聞く限り、負けた方のグループが勝った方のグループに食事をごちそうするってことですよね?
つまり"わたし達"が勝ったらシャッテンスカー君が一人ずつお食事をいただけるってことですよね?」
「ん?」
「ロイ君と一緒にご飯食べに行けるってこと?」
「…パフェがいい。」
「ニーナは大丈夫です…」
「シャッテンスカー君は好きにしろと言いましたよね?
まさか貴族が約束事を反故にはしませんよね?」
ミズキが勝ち誇った顔をうかべる。
「くっ…」
やっぱ原作のロイってキャラぶれすぎではないだろうか。
『大丈夫なの?財布事情的に。』
『俺が勝つこと祈っておいてくれ…』
ゲームのシナリオでもこの賭け自体はあった。
ただ課外授業の順位でシナリオが変わることはなかったため、賭けの結果についてはシナリオで語られていない。
負けた場合どうなるんだ……
そうこうするうちに教師の説明が終わり、転移門を通って課外授業のフィールドワークが始まる。
「じゃあなロイ、また後で。」
「あぁ…」
そういってリュウジは転移門を潜っていった。
「それではシャッテンスカー君、おいしいお店でも調べておいてください。」
そしてリュウジがいなくなったせいか、知らないイベントが始まった。
「勝つつもりなんだろ?俺が調べるのか?」
「勝っても負けても同じことです、そういうのは殿方がエスコートするものでしょう?」
そういってミズキは俺に微笑む。
相変わらずずる賢いやつだ。かわいいけど。
「…わかった、調べておく。」
「お願いします、それではお互いベストを尽くしましょう。」
そういってミズキも去っていった。
「ロイ君と一緒に行きたい店あるから、負けないよ!」
「お、おう。がんばろうな…」
「うん!ロイ君もがんばってね!」
ホノカも続く。
「パフェがいい…」
「…わかった」
サラは一言だけ俺に告げて歩いて行く。
「えっと、ロイさんニーナは…じゃなくて、私は気を使わなくて大丈夫です。」
ニーナは俺にも気遣ってくれて優しいな。天使かな?
「俺が負けたとしても何かしらはごちそうさせてくれ。その方が助かる」
「えっと、わかりました。」
よく考えたら二人っきりで話すのは初めてか。
「もし俺が勝ったらニーナの手料理でも食べさせてもらえないか?」
「えぇと、別にいいですけどそれでいいんですか?」
「あぁ興味がある。」
ゲーム内でもニーナは料理上手って設定だから、ファンとしてはとても気になる。
「わかりました、でも負けませんから。」
そういってニーナも転移門へ走っていく。
やはりニーナもかわいいな。俺がロイじゃなければ結婚したい。
って…バカみたいなこと考えてないで、俺もそろそろ行かねば。
『今回の課外授業魔法は極力温存するが緊急時は頼むな?ロイ。』
『わかった…気を付けてね。』
そして俺たちも転移門を潜った。




