第19話:幕間:主人公と二人での会話
「ロイ、ちょっといいか」
昼休みになり、リュウジが話しかけてきた。
はて、今日はイベントは何もなかったはずだが…
「どうしたんだ?手短に頼む。」
「いや…その…」
リュウジは言いよどむ。
何かあったのだろうか。
「大丈夫だ、何を言われてもちゃんと聞く。」
リュウジは少し笑って続きを話してくれた。
「ロイって今度の課外授業誰ともグループ組んでないって聞いたからさ、心配だなって。」
なるほど。俺の心配もしてくれるのか、さすが主人公器が違う。
「あぁ、一人で何とかなるし気楽だからな。」
それにしてもゲームのロイのロールプレイって結構難しいな。
「さすがにまずくないか?成績悪かったら落第するかもしれないし…
それにモンスターも出るんだろ?死ぬかもしれないんだぜ!?」
リュウジが早口でまくし立ててきた。
俺が一人になることが看過できないらしい。
「俺が死ぬとでも?」
「そうはいってないが、万が一ってこともあるだろ?
今俺達は5人グループだ、お前さえ良ければ3:3に分かれてグループ組むことだってできるだろ?
俺と組むのが嫌だってなら、俺を抜いて別の二人と組んだっていいし…
せっかく同じクラスになったんだ、仲良くしたっていいだろ?」
リュウジは身を乗り出して熱心に語っていた。
リュウジの言うことも一理あるし、魅力的な提案だが…
これからのゲームのシナリオ上そういうわけにはいかない。
理屈では動けない。
「悪いが俺の気持ちは変わらない、一人でいい。
そして前にも言ったように足手まといはいらない。」
俺は心を鬼にしてリュウジに言葉を投げる。
「…そうか、悪かったな。」
リュウジが立ち去ろうとする。
さすがに言い過ぎただろうか。シナリオにないイベントは加減が難しい。
そしてまだお前にお礼は言えてない。
「リュウジ、この前はありがとうな。」
「ん?なんだ?」
「決闘したときみんなで来てただろ?応援してくれてありがとう。」
ここで言っておかないと、二度と言う機会はないだろう。
「あー…そうだな。」
リュウジは俺から目を逸らす。
「ん?どうかしたのか?」
「いや、実のところお前とグループ一緒に組みたいって気持ちが強かったからさ…
お前のこと応援する気持ち半分、ミズキを応援する気持ち半分って状態で応援してた…
悪い…」
リュウジがバツ悪そうな顔を浮かべている。
ん?つまりどういうことだ?
ゲームでは主人公のリュウジが、ロイを応援するか、ミズキを応援するかを選択してシナリオが分岐する。
1か0の話になるのだが、今回の場合はどうなる?
俺がミズキに勝って、ハーレムルートに進んでいる。それならば問題ない。
もしくは……
「まぁ、リュウジの気持ちもわかる。やりきれないよな…」
「あぁ、悪い…これから食堂行くけどどうだ?お詫びに奢るぜ。」
「いや、また今度にしよう。今日はもう用意してあるんだ。」
今は一人で考えたい。
「…そっか、じゃあまたな。」
今度こそリュウジは立ち去って行った。
果たして俺は正しい道に進んでいるのか。
俺がした質問がパンドラの箱ではないことを祈ろう。
違和感を覚えた俺は、そのまま空き教室へと向かった。




