第14話:決闘前準備
放課後になって、教室がざわざわと騒ぎたち始める。
俺とミズキのやり取りはもう学園全体に知れ渡っているらしい。
学生コミュニティってすごいな。
『実際のところ大丈夫なの?いきなり決闘だなんて。』
ロイが心配そうに俺に問いかける。
『事前にやるべきことをやって挑むしかないな。』
この決闘イベント、原作ではノベルゲームの選択式方式になっている。
ゲームの主人公である、リュウジが俺とミズキどちらを応援するかを選ぶことによって物語が分岐する。
この場合はリュウジが応援した方が、勝つ仕様になっているが正しいか。
ゲーム内では俺を応援することが、ハーレムルートの条件の一つである。
余談だがミズキが勝った場合は、俺とミズキとリュウジでパーティーを組むことになる。
ミズキの個別ルートに行きたいなら、ミズキを応援したほうがいい。
今回はリュウジ含め全員を助けたいので、ハーレムルートにいってもらうしかない。
個別ルートに行ってしまって、誰かがロイと一緒に死ぬなんてことは絶対にさせない。
そのために打てる手は打つしかない。
「ホノカ、話があるんだが…」
俺は帰り支度をしているホノカに話しかけた。
「ロイ君、この後ミズキさんと決闘なんだよね?大丈夫そう?」
「あぁ…、そのことでできれば頼みたいことがあるのだが…」
「…えっちなのはだめだからね?」
「いやいやそんなじゃない!」
「ほんとかなぁ?」
ホノカがジトっとした目でにらんでる。
スリーサイズ聞いてきたことを根に持っているらしい。
『自業自得だね…』
「それを言われると頼みにくいが、今回は別件だ。あと、まじめな話だ。ホノカにしか頼めない。」
「えっと…私で力になれるかな?どんな内容?」
雰囲気を察して、ホノカも真剣に聞いてくれるようだ。
「できれば今回の決闘リュウジと見に来てほしい。」
「うん?わかった。
でも元々みんなで見に行くつもりではあったよ?こういう機会あまりないかもしれないし。
それに怪我しないか心配だし…」
なるほど、来てくれるかどうかの心配は取り越し苦労だったか。
「そこでここからが本題なんだが…」
「うんうん、なにかな?」
果たしてうまくいくだろうか?
だが、迷っている時間はない。
「リュウジと一緒に俺を応援してくれないか?」
「…」
ホノカから返事がない、早口で話して聞き取れなかったのかもしれない。
「リュウジと一緒に「聞こえてるよ!?!?」俺を応援してくれないか?」
ホノカが叫ぶ、こんなやり取り前もしたな。
「ええと…私とリュウジは今度の課外授業ロイ君と組みたいって誘ったよね?」
「あぁ…」
「そして今回の決闘でロイ君が勝ったら…
私とミズキさんとリュウジとニーナちゃんとサラちゃんの5人でグループ組むことになるんだよね?」
「うん…」
「それで私に応援してほしいと?」
「はい…そうです…」
「なんで!?それにリュウジにお願いすればいいんじゃないかな?」
『ぐうの音の出ないほどの正論だね』
本当におっしゃる通りです…
自分でもめちゃくちゃなことを言っているのは確かだ。
ただリュウジの選択に、俺が関わったらどうなるかわからないから避けたい。
それこそ下手に頼んだ結果、リュウジがへそ曲げてミズキの応援側に回るとまずいことになる。
ハーレムルートを選ばないと、俺と道連れにヒロインの誰かが一緒に死ぬ。
それだけは避けないといけない。
「めちゃくちゃなこと言っている自覚はあるが、どうしてもこの決闘勝ちたい…
だから頼む…」
「…私と組みたくないわけじゃないってことだよね?」
「秘密にしておいてほしいがそうだ。」
ゲームシナリオの都合なんてものがなければ、一緒にいたい。
「…わかった、リュウジも必要なんだよね?」
「理由はいえないが、必要だ。」
みんなを救うために必要なんだ。
「ロイ君にとってリュウジって何なのかな?やたら意識しているみたいだけど…」
ホノカの言葉を聞いて考える。
俺にとってリュウジはなんなのか?
プレイヤーの分身であり、今はみんなを助けるために大事なキーマンでもある『いつしぬ』の主人公ーー
いやそうじゃないな、俺にとって憧れであり…
「目標なんだ、リュウジが。」
「リュウジが目標?変なの~」
いつか君のような素敵な人を幸せにするための道標のような男が、俺にとってのリュウジだ。
「それと悪いが、リュウジには…」
「わかってるよ、これも内緒でしょ?」
ホノカは唇に人差し指を添えてウインクをする。
「わかった、みんなでロイ君を応援するね!埋め合わせは代わりにしてもらおうかな。」
「ありがとう、善処するよ。」
「うん、また後で。」
ホノカは振り向き、そして
「リュウジが目標なのはいいけど、ロイ君はロイ君でいてほしいな。」
そう言い残してホノカは立ち去った。
その言葉は俺の胸をひどく締め付けた。




