第13話:序盤の分岐点
「へぇ…ずいぶんなことをおっしゃいますね。」
ミズキは笑顔のままだが、どう考えても怒っている、目が笑ってない。
さすがは負けず嫌いにして、煽り耐性0のヒロイン。
ゲームだとそういうところもかわいいとは思うが…
「このわたしも足手まといになると?」
彼女の後ろにつき従っている護衛にもにらまれている。
「そういったんだが、二度言わないとわからないのか?オーヒュードル嬢。」
彼女から一瞬笑みが消えた。
「ジャド、あれを…」
後ろに控えている男から、ミズキは白い手袋を受け取りーー
それを俺に投げつけた。
「足手まといがいらないのでしたら、ぜひ私と決闘していただきませんか?
もし私が勝ったら、私のグループに入ってください。」
ミズキの張り付いた笑顔が怖い。
「もし私が負けたら何でも言うことを聞きましょう。
ですので、その手袋拾ってくださいませんか?
どちらが足手まといか思い知らせてあげましょう。」
原作通りプライドの高さと自信に満ち溢れた言葉だーー
それならば…
「わかった。もし俺が勝ったら、お前とリュウジとホノカとニーナとサラの5人でグループを組んで、今度の課外授業に挑んでもらおうか。」
『…どういう理屈?』
「え?!」
「なんでだよ!?」
「ニーナも!?」
「…なんで?」
それぞれからツッコミが届く、それはそうだ。
だが原作通りのロイのセリフである、当時プレイしていた身としても意味不明である。
「おもしろい要求ですね、ですがあなたにメリットがあるんですか?」
俺の意図を理解するためか、ミズキは確認をしてくる。
「俺は足手まといはいらないと言った。だったら足手まとい同士でグループを組むべきだ。」
どう考えても『いつしぬ』のシナリオライターが、無理やり主要人物を組ませるために作られたような展開だが、今後のために乗っておくしかない。
「一度ならず二度までも…わかりました。受けて立ちましょう。」
「もし負けたらそこの4人と組んで今度の課外授業を受けます。」
「俺にグループを自由に組む権利はないのか!?」
リュウジがぼやく声が聞こえる。主人公なのになんというか、不憫だ。
「今日の放課後時間を空けておいてください、その首洗っておいてくださいね。」
殺す気満々だな、おい。
「ミズキ様このようなものミズキ様の手を煩わせるまでもありません!ここは私が。」
後ろに控えている男がミズキの前に出る。
個人的にはこのモブはあまり好きではないのだが、今は関係ないな。
「わかった、そこの護衛の男もセットで来るか?」
「ミズキ様ここは私一人で十分です!」
「…結構です、わたしが直々に彼を倒します。
シャッテンスカー君、わたしが勝ったらわたしのグループでいっぱい働いていただきますから覚悟しておいてください。」
そういって、ミズキは教室から出て行った。
『ねぇ本当にこれで大丈夫なの?入学早々喧嘩売るような真似して…』
『あぁ、問題ない。』
ここまでゲームのシナリオ通りだ。
問題なのはこの決闘である。
仮にここで俺が負けたらとしたらーー
早々にリュウジのハーレムルートへの道が潰えてしまう…
みんなの未来のため絶対に負けられない。




