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人はいつか死ぬ。だから主人公たち、頼むからハーレムエンドになってくれ! ~悪役貴族に転生した俺の全員生存計画~  作者: 水無口 晶紀人
みんなとの出会いと課外授業:4月編

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第12話:動き始めるシナリオ

 この世界にきて一週間ほど経った。

 通学路にある桜はだいぶ散ってしまっている。

 サラ達と食事をして以降、俺は特に何もせず過ごしていた。

 肝心のリュウジの様子はというと、特に特定の誰かと仲良くしているようではなかった。

 まだ序盤だし、誰かに一人に入れこまないでくれればなんとかなるだろう。

 リュウジにはみんなを救うためにハーレムルートを歩んでもらうしかない。

 俺は今日も一人?寂しく登校する。


「おはよう…ロイ。」

 と思ったら、サラが挨拶してきた。

「おはよう、サラ。最近はどうだ?」

「ん、ニーナとリュウジとケーキを食べた。」

「そうか…それはよかったな…」


 まさか食べたものを聞かされるとは思わなかったが、話を聞く限り楽しくやっているようだ。

 シナリオ通りニーナを通してリュウジとも知り合ったらしい。


「ロイは楽しい?」

 サラは聞き返してくる。表情に乏しいが、心配してくれているようだ。


「あぁこうやってサラと話せて楽しいよ。」

 ふるふるとサラは首を横に振る。


 どうやらごまかしたのがバレたか。

 俺が前世で愛したゲームの世界に来ているのだ、楽しくないわけない。

 だが、今の俺はゲームの主人公でもなければ、それを操るプレイヤーでもない。

 主人公やヒロインとシナリオ以上の交友は避けなくてはならない。

 現状はみんなを幸せにする方が最優先だ。


「ロイ?」

 しまった…考え過ぎてたな。

「いや、俺は大丈夫だ一人の方が落ち着くことの方が多いからな…

 何かあったら、精霊さんとでも話すよ。」

『誰が精霊さんだよ!?』

 ロイに怒られる。すまない。


「…今度一緒にケーキを食べに行く?」

 まさかサラに気を遣われる側になるとは。

 誘ってくれるのはうれしいが、果たして…


「そうだな、みんなで行くか。リュウジも連れて。」

「ロイはリュウジが好きなの?」

「ん?まぁそうだな。」

 ゲームの主人公だし、元は自分の分身とも言えるし、今のロイ以上に相棒ともいえる。

 リュウジのめんどくさがりながらも、困った人を見捨てられてない性格は、一種の俺のあこがれでもあった。

 こういう友人がいてほしいという願望でもある。


「ロイはリュウジがいないと嫌?」

 サラは首をかしげていた。

「…まぁ男一人だけだと気恥しいな。」

 サラの誘いを邪険にしたくはないが、リュウジを除いて彼女達と親交を深めるのはまずい気がする。

 ゲームでもシステム上、ヒロインがロイと結ばれる可能性がある以上は避けたい。


「でもリュウジは甘いもの好きじゃなさそう…ケーキ一口しか食べてなかった…」

 サラは困ったような顔を浮かべる。

 そういえば、ゲームでもリュウジが甘いもの食べてるところはほとんど見たことないかもしれない。

「そういえばそうかもな…でも誘えば来てくれるさ。」

「…わかった」

 リュウジも楽しめるような店を探しておくか。

 最悪俺が体調不良でドタキャンすればいいしな。

 そして、俺とサラはお互い無言のまま教室へと向かった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「みんな席についてくれ、これから週末に開催される課外授業について説明する。」

 教師が教室へ入ってくるなり、説明が始まる。

 そうか…。今日がシナリオ分岐点の最初の日か。


「ロイ…また今度。」

「あぁ…」

 サラが自分の席に戻っていった。


「お前たちには最大5人一組のグループを組んでもらう。メンバーは各自自由に組んでもらっていい。」

 課外授業当日はグループで行動してもらい、ゴール地点まで移動してもらう。

 例年通りなら二日目の夕方に終わる予定だ。」

 シナリオ通りの説明だ、ということは…


「道中モンスターがいる、倒したモンスターの素材は各グループに所有権を持つし加点もされる。

 学園側も最大限の配慮をするが、各自細心の注意と準備を持って挑んでくれ。」

『いつしぬ』の最初の難関である、課外授業について説明がされる。

 モンスターか…俺も相応の準備をして挑まないとな。

 さて問題は…


「ロイ、ちょっといいか?」

「ロイ君、ちょっといいかな?」

 リュウジとホノカが俺のほうへやってくる。

 ゲーム同様仲いいね君たち。


「どうしたんだ?二人とも」


「俺とグループを組まないか?」

「私たちとグループを組まない!?」


『二人とも息ぴったりだね…』

 ロイも同じ感想を抱いていた。


「…なんで俺なんだ?」

 ここから先はシナリオのロイのセリフを思い出しながら、慎重に会話を進めないと。



「実力が保証されてて、なにより知り合いだしお前に頼みたい。」

「ロイ君頼りになるし、サラちゃんとニーナちゃんとも組む予定だから知っている人がいいかなって…」

 二人の理由を聞いて安心する。

 よかった、シナリオ通りである。

 となると後はシナリオ通り断ればいい。


「勧誘されること自体、悪い気はしないが…」

「だったら俺と!」

「だったら私たちと!」


「…そんなに仲がいいなら二人で組めばいいのでは?」

「もうホノカとは組み飽きた…」

「もうリュウジとは組み飽きた…」


『すごいシンクロ率だね…』

 ロイも感心してた。

 リュウジ視点だとホノカとハモって楽しいんだけどなこのイベント。


「誘ってくれるのはうれしいが、俺の体は一つしかない…」

 仕方ないんだが、自分で言ってて恥ずかしくなってきた。


「だったら、ロイ君、リュウジ、ニーナちゃん、サラちゃん、私の5人でグループ組むのはどうかな。」

 ホノカが提案する。


「これなら取り合いはなくなるでしょ?」

「…またホノカと組むことにはなるけど、仕方ないか。それでいいか、ロイ?」


『実際、悪い話ではないんじゃない?』

 ロイの方は賛同しているし、同意見ではある。

 正直なところファンとしてはこの組み合わせも見てみたいが、ゲーム上の都合を考えるとよろしくない。

 と、なればーー


「誘ってくれたところすまないが、足手まといと組むつもりはない。」

 原作通りのセリフを吐いて逃げることにした。

 今後のゲームのシナリオの展開的にも、この5人組のグループに俺の席はない。

 そう言って俺は席を立ち、リュウジとホノカの前から去ろうとする。


「おもしろい話をされてますね。」

 一人の少女が俺たちに話しかけてきた。

『いつしぬ』のゲームのヒロインーー

『ミズキ・オーヒュードル』

 彼女が興味深そうに笑みを浮かべていた。


「盗み聞きとは感心しないな…」

 俺はミズキに返事をする。

「カグヅチ君とワーデンノールさんがあそこまで声を上げれば、嫌でも聞こえてしまいます。」

「そしてシャッテンスカー君が断ったのも聞こえてきたのですから仕方ないでしょう?」

 ミズキはいたずらっぽい笑みを浮かべて、俺に反論する。

 そういえばこの時点ではミズキは全員ファミリーネームでみんなのこと呼ぶんだったな。

 誰の話しているか一瞬わからなかった。


「つまり何が言いたいんだ?俺がいない枠でリュウジ達のグループに入りたいのか?」

「いいえ逆です、シャッテンスカー君。あなたが私のグループに入りませんか?」

 ミズキは俺を見つめて言った。


「なんで俺なんだ?」

「学園に通う六大貴族の中であなただけ既に現当主です。

 さらに他の六大貴族を足手まとい扱いする自信満々な発言、気にならないわけありません。」

「私も六大貴族の内の一つ水の名家オーヒュードルの次期当主筆頭です。お近づきになっておいて損はないと思いますが?」

 そう言ってミズキは俺に右手を差し出してきた。


「悪いが家柄には興味ないそれに言わなかったか?

 足手まといはいらない。」


 俺は原作通り、ロイのセリフをミズキに叩きつけた。

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