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魔法の杖のテスター 〜それは憧れから始まったことなの。魔法使いの彼女への〜  作者: 夜朝
第6章 会えない二人、新しい出会い

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6-23

『ごめんねジェスタ。

 あたしそうとは知らずにソイのところで勝手気ままに魔法暮らしを満喫してて……あのね!

 ほんとに良くしてくれてるのよ。

 そこだけは心配要らないわ、ほんとよ』


「それは何よりだが……そういう問題か……?」


「おいリッコ! お前、満喫って!

 なにのん気なこと言ってやがる。

 さっさと帰ってこいよ!」


『ハヤタ……無理よ。この屋敷、出入り口全部、使用人の人が監視してるし。

 それに建物から出ただけじゃ、あたしまだ転送の魔法なんて使えないもの。

 中央北から極東まで、どうやって帰れっていうの?』


「くそ。何かないのかよ手は!」


 話に割り込んだことによって、リッコからも良く見えるようになったハヤタは左耳にガーゼを、右手には包帯をしていた。


 リッコがどうしたのか聞くと、答えに詰まったハヤタの代わりにオードが答える。


「リッコを心配してヒートアップしてな。

 まだ軽く済んだほうだ。

 リッコの護符がなかったら全身に火傷してておかしくなかった」


『ハヤタ……ごめんね?』


(わり)ぃと思うならさっさと帰ってこいよな」


『そこよ聞きたいのは。ケイオンのプロジェクトは?

 どうせやめたりしないんでしょ』


「──」


 水盤に浮かぶ文字越しの質問に、問われたジェスタは顔を曇らせた。

 そこはこの場に集めた三人にもまだ言っていない話だ。

 少し考えて。

 ぽつりと言った。


「──リッコのことは。

 あきらめるわけではないが、多少な。

 難しくなった」


「どういうことだよジェスタさん!?」


「リッコを最優先にしないの!?

 リッコは大事じゃないってこと!?」


「落ち着け。あきらめるわけではないと言っているだろう」


 ジェスタは食ってかかるハヤタとナナカを両手を上げてなだめた。


「……今、二つのことを同時進行で進めようとしている」


「二つ?」


 ナナカが首を傾げたのに対してジェスタはうなずいた。

 彼は淡々と彼女に説明する。


「まず一つだ。協会の反対派には、要求を呑むからリッコを返すようにと伝える」


「……その口ぶりでは、『表向きには』と注釈がつきそうねミスター?」


「そう、その通り」


 ジェスタとナナカのやり取りを注意深く聞いているオードとハヤタ。

 気がかりはあれど話の続きを求めてすぐには割り込まずに言葉を差し控えている。


 水鏡の字幕が少し変化した。


『どういうこと?

 あたし結局、帰れるの、帰れないの?』


「急かすなリッコ。結局、一つ目では難しいだろうとみている。

 なぜなら、裏で秘密裏に開発は進めることになったからだ」


『ちょっと!? そんなことこっちの人たちにわかっちゃったら、あたしどうされるか分かんないわ!』


「そう。だから話し合いで時間を稼いでその間、リッコを内密に救い出すという計画なんだ。

 それが二つ目。どちらもトップシークレットだからな。

 しゃべるなよ特にリッコ」


『ちょっと、名指ししないでよジェスタ』


「一番、敵陣に近いところにいて、なおかつ不注意なところが多いお前ならあり得るからな」


『ふーんだ。注意しますよ』


 * * *


 おかしそうにしているソイは笑いを堪えるため口元を押さえてうつむいた。


「リッコちゃん、全然注意できてないじゃないか」


「ほっといてよ~ふん」


 腕組みして頬を膨らませるリッコ。


 ますます深まる笑みをどうしようもないソイは、とうとう隠さない満面の笑顔を彼女に見せた。

 そのすぐ後だ。

 彼の表情が曇ったのは。

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― 新着の感想 ―
この救出対象の方。いろいろぶちこわしていませんか? 組織間の思惑に挟まれてしまうといろいろ大変な状態に……。 何処に落としどころを見出すのか。続きを楽しみにします。
ハヤタ…負傷したのはリッコを心配してなのですね。その気持ちが伝わってきました。 そして、リッコを救い出すことと、ケイオンプロジェクトを進めること、立ちはだかる協会を前にして、二つの両立はなかなか難し…
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