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魔法の杖のテスター 〜それは憧れから始まったことなの。魔法使いの彼女への〜  作者: 夜朝
第6章 会えない二人、新しい出会い

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6-21

「中を見てみたまえ。何か分かるかな」


「ふーん?」


 リッコが縛られていた紐を解いて巾着の口を開く。

 中からはおはじきのような楕円形に形を整えられた天然石がたくさん出てきた。種類も豊富だ。

 ミルク色、抹茶ミルク色、いちごミルク色、メロンゼリー色、ぶどうゼリー色……何だかどれも美味しそうだが。リッコにはそれらの小石が薄っすらと発光しているように見えた。


「これ、もしかして……精霊石? これ全部が?」


「正解。アクアマリンには水精を入れてあるよ。

 濃い青に光って見えるだろう?

 ルチルクォーツとブルーレースはどうだい。

 それぞれ光と冷気を入れてあるのだけれどもね。

 まとっている色が分かるかな」


 精霊石は、天然石やガラス玉に精霊を宿らせて作る、魔法触媒だ。

 魔力を流さなくても呪文を唱えれば魔法が発動する。

 以前、リッコがハヤタに作った水の護符と同じ方法で作られる。

 が、半永久的に効果が持続する護符と異なり、精霊石は半年から一年くらいしかもたない。

 時が経てば宿した精霊は自然と石から抜けていってしまう。


「ほぼ全部、光って見えるわ。

 このオレンジ色のは熱気かしら。

 赤いのが火精よね。緑が風って聞いてるけど本当なの?

 オレンジと淡い青色を混ぜて緑になるなんてイメージないわ……あ、見つけた緑」


「ふむ。二種類の精霊魔法が使えるようになって、媒体に宿らせれば属性以外の精霊もすべて見える……と。優秀だね」


「優秀? ほんとに?」


「ああ、本当さ。君の素質と努力は、どちらも素晴らしい。

 自信を持ちたまえ」


「ふふ。うれしい。ありがと」


 リッコは短く礼を言った後で、淡い金色に光っているルチルクォーツをつまんで、袋から取り出した。

 それを自身の鼻の高さまで持ち上げて、目の前の師匠へ聞くのだ。


「で? これを渡してくれたってことは、もちろん試してみても良いんでしょ? ソイ」


「もちろんさ。君にあげようと思って作ったんだ。

 試してごらん。光呼びの魔法で良いだろう。

 呪文は『降り注げ光よ 影払い 我が道を照らせ』だ」


「いつもながらだけど、これも自己流で練習していたのと、ちょっと違う……」


「呪文は魔力の供給と同じくらい大事だからね。

 その辺りはナナカが作ったという極東語版の魔法書が役に立つ日が来るんじゃないかな。

 杖の授与はまだまだ先の話だが、せっかくナナカが君のために訳した力作だ。

 それくらいなら調達してあげるよ」


「本当に?」


 目を丸くして、ずいっとソイとの距離を詰めるリッコ。

 見る間に頬が紅潮し、その見開いた瞳は潤んできらきらと光り、こらえきれない口元は深い笑みの形に開いていった。


 それを見てソイはリッコの鼻先を軽くつつく。


「妬けるね。ナナカは愛されてるな」


「ちょ、何よ。ソイに弟子入りしたからってナナカのことが大好きなのは変わらなくて良いでしょ」


「妬けるね」


 同じセリフを繰り返して少しだけ頭を傾けたソイ。

 口調は冷静で穏やかで、いつもと変わらない。


 リッコは石を握り込んで光呼びの魔法を試そうとしたが、それより前に、ふと思いついたことをソイに聞いてみた。


「ねえソイ。杖のことなんだけど……あたしが職場で使ってたケイオンの試作品は手に入らない?」


「……何故だい。私からは杖は必要ないと?」


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― 新着の感想 ―
様々な色の精霊石、抹茶ミルクやいちごミルクに、メロンゼリーやぶどうゼリー、色の表現が美味しそうですね。 ソイから「優秀」と言われたリッコ、どんどん魔法が上達していきそうで楽しみです。一方で、「妬ける…
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