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「何だい?」
「勉強のおともに飲み物が欲しいわ。
そう──ココアみたいなの」
ソイは隠しきれない笑みを浮かべた口元を左の拳で覆うと、壁際に控えていたメイドにココアと紅茶を頼んで揺れる椅子に腰かけた。
「さて。何から話そうかな。君にとって分かり易い道筋は……うん。先ほど水精召喚を試していたね」
「やあね、気づいてたの? いつも『試し』で終わるわ」
彼女は失敗しそうなことが分かっていたので、ひとりでこっそりと試していた。
それを指摘されたのが意外なのと悔しいのとが半々で、唇を尖らせた。
運ばれてきた飲み物を手にして礼を言うとソイが肩をすくめる。
「それが『いつも』なら、なぜ『いつも』同じ結果になるのか考えなければならないよ。
どうしてだと思う?」
「知るもんですか! そんなもの」
リッコはイヤそうにふくれ面を作っていたが、ココアのカップを近寄せられると礼と共にそれを受け取って一口、口に含んだ。
ほっとする絶妙な甘さだ。
「君は見たところ二つの問題を抱えているね」
「二つも?」
「いや、正式に魔法を習ったことがないのだろう?
なら、二つで済めば良いほうさ」
「何が問題なの。さっさと教えてよ」
「ああ、問題の三つ目だ──もうちょっと時間に余裕を持つことを覚えてごらん。
魔法は急かすより焦らした方が期待通りに働くものだよ」




