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「ねえ。グレープフルーツジュースは無い?
それかもしくは、レモンの輪切り……
どっちも無ければ何でも良いから何か柑橘系のもの」
「リッコ様。申し訳ございません、その者はまだ極東語に明るくありませんので私が承ります。
グレープフルーツジュースを直ぐに準備致します」
中央語で彼らが何かやり取りしたその後、リッコの右後ろから涼しげな声が聞こえてきた。
すっかり聞き慣れた特徴的な声はソイのものだ。
「奇遇だね。リッコちゃんもグレープフルーツジュースかい。
私も魔力の補充はもっぱらそれだよ。
たくさんストックしてあるから、好きなだけ飲んでくれたまえ」
「うん。ありがとうソイ……ああ、着替えてきたのね。
あのシャツどうするの。クリーニングに出す?」
「あれはだいぶ古くなっているから、たぶんクリーニングに耐えないよ。
捨ててしまおうと思っているんだ」
「ああ、本当ごめんね」
「気にしないでいい。早いか遅いかの違いさ」
テーブルの対面に腰かけて、執事に何事か指示したソイ。
運ばれてくるのはトースト、目玉焼き、カリカリのベーコン、焼きトマト、ベイクドビーンズ、マッシュルーム。
──ああ。いつだったか誰かが配信していた旅番組で紹介されていた、中央北の伝統的な朝食だわ。




