6-11
「ナナカとは昨日仲直りするまでケンカしてたの。
でもまた会えたら師匠になってもらうわ。
色んなこと教えてもらうの」
「それは……済まなかった。
君はもう私の弟子になってしまったよ。
ナナカを師匠にはできない」
「うそ!? なんで?」
ソイに取られていた手を引っ込めて、リッコは気色ばんだ。
下から睨み上げた焦茶の瞳が潤んでいる。
ソイは目をすがめて痛みを堪えるような表情を浮かべる。
すまない。そう、もう一度告げた。
「守護の誓いは師弟の契りの中心軸になるものなんだ。私たちはそれを交わした。だから──」
「守ってくれなくていい!
何よ! 勝手にここまで連れてきて、危ないかもしれないからって勝手に誓いまで立てて!
そんなのお願いしてないもん! 自分の身くらい自分で守るわ!」
リッコのうつむいた顔から、涙がぽたぽた床へ落ちる。
怒らせた肩から伸びた手が形作る拳が力なくぽかぽかとソイの胸を叩く。
「ばかばか、ソイのばか!」
「すまない」
彼はもうずっと謝ってばかりだ。
いつしか彼女はそんな彼の腕の中で、叩くのをやめてしがみ付き、わんわんと泣き続けた。
* * *
ひとしきり泣いたら落ち着いたのか、リッコのお腹が、くぅ。と鳴った。
頭上から、くす。と小さい笑い声が聞こえて、リッコはふくれ面の顔を上げる。
彼女の化粧が涙で落ちて、彼のシャツの胸元が肌色に汚れている。




