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「そんなの無理だわ。ようやく属性の魔法を一個使えるようになったばかりなのよ」
「大丈夫だ。君は魔法の基本は身につけている。
風の便りは初歩の初歩だ。
すぐに使えるようになるさ」
「それと、非常事態って?」
ソイの眉根が寄る。
彼は苦味の混ざった微笑みで返した。
「ケイオンプロジェクトの関係者の中には過激派もいるってことさ。
それが最近、組織立って動き始めたらしくてね」
「よく分かんない……結局どういうこと?」
「君が安全じゃないところに連れていかれる心配をしてるってことさ。リッコちゃん」
「えー? ねえ、ここは安心?」
「もちろん。私が全力で君を守る。そう誓うよ」
ソイはリッコの右手を片手ですくい上げて、残ったほうの手を自身の心臓がある位置に添えた。
すると二人を包み込むようにソイの魔力が螺旋を描いて上から下へ流れていき、それに応えるように今度はリッコの魔力が同様に螺旋を描いて下から上へと舞い上がって二人を包んだ。
リッコは自分の中から魔力を大量に放出したのはこれが初めてだ。
彼女は目を真ん丸くしてソイを見上げた。
その視線の先ではソイも驚いた様子で彼女を見おろしている。
「リッコちゃん……もうナナカと師弟の契りを交わしたものかと思っていたが。
まだだったのかい?」




