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再び、生徒会長のもとへ

放課後。生徒達がいつも通りに帰る時間である。

しかし、シノトはいつも通りではなかった。そして、落ち着けなかった。

(視線が、痛い)

シノトは現在、クラスの生徒達から見られていた。

「人気者だな」

「どこがどう見て言えるの?」

アキトはからかうように呟く。

そんな彼にシノトは半目になって睨む。


「まあ、いいじゃないか。学院の問題児が、今では注目の的。いい事だ」

「どこがだよ」

シノトは反論する気力も失せて力無く言うだけだった。

「しかし、珠依さんといい、生徒会長といい、最近のお前、女運が良くなってきたな。なんか、魔法でも使ったか?」

「お前、僕の成績知っているだろ。というか、お前だって人の事を言えるか」


アキトは女子生徒に人気があるため女運がいいと言うならアキトの方だとシノトは思っている。そして、シノトは表面上は魔法の成績は悪い事になっているので彼女達に魔法を使うのは不可能なのであった。


「男なら、当然のことだ」

「まあいいよ。これから行って聞いてくるよ」

「ああ、上手く口説いて学院の伝説になれよ」

「何でそうなるの」

背中に掛けられたアキトの言葉に深いため息をつきながら教室を出ていった。


「ここにまた来るなんて」

入り口のドアを見てシノトは自然と呟いていた。

そして、ドアを叩こうとした。

「どうぞ」

が、やる前に中から女性の声が響く。

(何でだろう。何でわかるんだろう)

シノトは、疑問に思いながらドアを開けた。

そして、目の前に白銀の髪を靡かせた生徒会長が微笑みながら待っていた。

「ごめんなさいね。急に呼び出ししちゃって」

凛とした声で生徒会長こと、如月 雪奈が謝罪する。


「い、いえ。気にしていませんので」

「そう、ありがとう」


如月は、ゆっくりとため息をつく。


「呼び出したのにわね。他でもないの単刀直入に聞くわ」


如月は、真剣な顔になりシノトを見る。

その表情にシノトは緊張した。


「昨夜、どこかに出掛けていたかしら」


その質問にシノトはギクッとした。

この時、自分の表情に表れなかったのに心底安心した。


「えっと、僕は寮にいましたよ」

当たり前のような回答を口にする。


「本当に」

再び問い詰めてくる。


「本当です」

内心ではドキドキしながらそう答える。


「分かったわ。変な事を聞いてごめんなさい」

真剣な表情を崩して笑顔になる。

シノトは彼女の笑顔に違う意味でドキッとした。


「話は変わるけど、珠依さん。今日いなかったでしょう」

「はい、いませんでした」

何故、ここで彼女の話が出るのだろう?とシノトは疑問に思った。


「どうしてかわかる?」

「昨夜、襲われたのと原因が」

「アキト君ね。後でお仕置きね」


雪奈の物騒な台詞にシノトは心の中で友人の武運を祈った。


「あなたは、すごいわね」

彼女の突然の言葉にシノトは驚いた。

「どういう意味ですか?」

「だって、シノト君、かなり落ち着いていると思って」

「さっき友人に教えてもらった時は驚きましたよ。ただ、表に出さないだけですよ。今でも内心は驚いています」

「それに私は、一人の女性としては、珍しいなあ、て思っているわ」

「え、め、珍しい!?」

「ええ、普通、私と会った男子は、みんな赤面しちゃって、しどろもどろになったり私を誘おうとしたりするけど、シノト君は、そういうのは、まったくないわね」

「いやいや、これでも結構緊張しているんですけど。生徒会長の考えすぎですよ」

事実、シノトは、顔に出していなくても緊張していた。心臓の音が異様に大きく聞こえていた。


「そうかしら」

雪奈はまだ納得がいかない様子であった。

シノトは、そんな彼女を見ていた。


「あの、ちょっと聞いてもいいですか?」


あることに気づいた。


「生徒会長が付けている袋は何ですか?」

シノトは、彼女の机に置いてある朱色の小さい巾着袋を指差した。


「ああ、これ、これはね。私のお祖母ちゃんがくれた御守り。私にとって大事な物よ。」

雪奈がここきて珍しく懐かしむような顔をした。

「大切な物なんですね」

シノトは、静かにそう言うのであった。


「ありがとう。今日は、いいわよ。道中、気をつけてね」


「あの、それは、旅に出る人に対する言葉だと思いますが」

「そうだったかしら」

雪奈は微笑んだ。


「それでは、失礼しました」

そう言ってシノトは、部屋から出ていった。


「不思議な子、」

雪奈は、彼の出ていったドアを見ながらポツリと呟いていた。


「あれが、珠依さんが好きな子かあ」

彼女が、どう思っているかはともかく、雪奈から見た感じでは、そう思っている。


「興味があったけど、なかなかの子だったわね」

シノトを呼んだ理由は、桔梗の疑問を確かめるのもあったが、彼に会いたいという雪奈自身の興味も含まれていた。


「興味が増すわね」

雪奈は、自分の大切な御守りを眺めながらそう呟いた。


「?」

その時、雪奈は、ある違和感を感じた。

自分の御守りに対して。


そして、雪奈は、御守りを調べた。


数十分後。


「・・これは・・・」


雪奈は、自分の机に置いてある朱色の御守りを凝視して呆然と呟いていた。


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