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助太刀

「女性に対して酷いことをするのだな」

「お前、何者だ」

突如出現し、妨害をしてきた者に男は刀を構え、叫んだ。

しかし、その者の姿を見てすぐに誰であるかを察した。

「お前、笛吹き狐、か」

「そうだ」

男の問いにすぐさま答える。その声はこの場に響いた。


「悪いが、手を引いてもらおうか。女性の前で殺生はしたくない」

「何を」

男は刀を下段に構え、いつでも切り上げれるように構える。

「そうか」

彼はそう言うと〝消えた〟。


「何!?」

男は突然の事に驚く。しかし、直ぐ様気配を察して刀を振るった。

刃が空を斬る。そして、黒い影が後方に下がる音が鳴る。


「なるほど。なかなかの腕だな」

「お前もいつの間に」

笛吹き狐は感心した言い方で男を見ていた。

男は、警戒した面持ちにいた。

「それにその刀。随分と危険な代物だ」

「これに気づくか」

「誰が見てもわかる。そんな禍々しい霊力なんて」


二人は距離をとりながら相手を伺っていた。

男は刀を正面に構えた。

笛吹き狐は、背中に手を回し、お払い棒を手した。

それを両手に持ち構えた。

「そんな物でこれとやるという気か」

「それは交えた後に言いな」


そして、お払い棒を槍のように突いていった。

男は、刀で払い、防ぐ。しかし、優勢は笛吹き狐の方にあった。


「く、なぜだ」

距離をとりながら男は呟く。


「なぜとは?」

「なぜ、お前の棒は邪気の影響を受けない」


通常、邪気を持った刀や武器は霊力を含んだ武器で対抗しなくてはならない。

通常の武器だと、折れたり、使えなくなってしまう。そして、邪気の影響をまともに受けてしまうのだ。


「何を変な事を。これはお払い棒。お払いなどに使う物、受けなくて当然」

笛吹き狐は、当然、とばかりに淡々と言う。


「く、」

男は、笛吹き狐を睨む。

「ただちに、去れ。さもないと…」

笛吹き狐の声が最後は、とても低く、どこか鋭さがあった。

男は、本能的に悟った。

殺される。

しかし、男は、それでも動こうとした。

次の瞬間。男の視界から笛吹き狐は再び消えた。

「もう一度言う。去れ」

次には男の背後にいた。

「!」

「どうする。」

彼のうぬも言わせない問い掛けに男は頷くしかなかった。


「一応、言っとく。もし、再びこのような事をすれば、命を奪う」

笛吹き狐の言葉に男は無言でその場を立ち去った。


「さて、これで暫くは無事か」

男が立ち去った方向を見ながら呟いた。

「何で、私達を助けたんですか」

一部始終を見ていた桔梗が重い体を起こし聞く。

(また、現れた……)


「女性を助けるのに理由が必要ですか?」

「口が上手いですね」

「それは光栄」

「な、何で、ここに」

美穂も多少回復したのか笛吹き狐に尋ねる。

「夜の散歩中に禍々しい霊力を感じたもので」

「そこで来て見れば、って事ですね」

桔梗が結論づけて言った。

「そのとおりです」

そう言うと笛吹き狐は、立ち上がり、桔梗達の刀を拾いに行き、二人に刀を渡した。


「渡していいのですか?」

桔梗は彼の行動に少し驚いた。

「構いません。それに私はあなた方に危害を加える気ありませんので」

彼は桔梗の疑問を払うように言った。

その後、笛吹き狐は二人の前にかざし


「我が炎は、全てを焼き、全てを祓う、今、ここに、邪を祓う癒しとなれ」



笛吹き狐がそう呟くと桔梗達の体が炎に包まれた。

桔梗達は突然の事態に驚いたがすぐに静かになった。

理由は、二人がこの炎から温かみを感じたからだ。そして、自分達を蝕んでいた邪気が消えていっているのを感じたからだ。


「驚かせてすまない。しかし、これは、祓いの炎。一種の浄化作用がある。暫く、動かないでいてほしい」


二人は、その言葉に頷いていた。

この時、二人は彼に自然とまかせてもいいと思っていた。それは何故なのか二人にはわからなかった。


数分後。


「さて、これで終わりだ」

「あの、あ、ありがとうございます」

「ありがとうございます!」

二人は礼を言った。


(本当に、何者なの。そして、…)


「今回は、助けていただいた礼として見逃してあげます」

「それは、どうも」

笛吹き狐は、そう返す。仮面で顔は見えないが二人は彼が苦笑しているように見えた。


「では、これにて」


そう言うと笛吹き狐は闇の中へと消えていた

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