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「いきます」
静かに桔梗は呟くとその人物に向かっていった。
「ハァッ!」
そして気合いとともに一気に抜刀した。
しかし、その一撃は、難なくと後方に跳んで避けらてしまった。
「少しは、やる気になったか」
そう言うとその人物は、自分の着けていた面を外した。
露になった顔は、少し細く痩せた表情に感じられるが目だけは、相手を殺そうとする残忍性を窺わせる光を宿していた。
「外して良かったのですか」
「何がだ」
「顔を隠さなくていいのか、と聞いているのです」
「別に、顔が見られようが関係ない。ようはお前達を斬ればいいんだから」
「くっ」
「しかし、」
ここで男は、言葉を切った。そして、桔梗と美穂を交互に見た。
二人は、その視線に寒気を感じた。
「お前達二人は、殺すわけにはいかないからな」
その言葉に二人は疑問を抱いた。
何故なら、二人は、彼は自分達を殺しにきたと思っていたからだ。しかし、彼の言ったことはその真逆であった。
「何故、私達を」
「知りたければ来てもらおう」
「いえ、お断りします」
「ならば、力づくで連れていこうか」
男は、刀を構える。
男の刀から放たれる邪気に桔梗は背中に寒気を感じた。
男は、何も告げずにその場で刀を袈裟懸けに振るった。
次に黒紫色の斬撃が飛ぶ。
桔梗も炎の斬撃を放った。
二つの斬撃はぶつかり、爆発した。
爆発の衝撃波が二人に向かった。
「くっ」
桔梗は衝撃波により数歩後ろに下がった。
しかし、次の瞬間男がいつの間にか桔梗の間合いに入り込んでいた。
桔梗は、予想外の事態に対処に遅れた。そして、それは命取りになった。
男は、桔梗を睨むと手に持つ邪気の刀を降り下ろした。
桔梗が斬られる。と思った瞬間。
男の刀は、交差させた小太刀に受け止められていた。
「大丈夫ですか!」
「天塚さん」
二人の間に割り込むように美穂が入り込んで男の刀を受け止めていた。
桔梗は、直ぐ様、反撃した。しかし、男は素早く後方に跳んで避けた。
再び、両者は睨み合った。しかし、男の口元は笑っていた。
「何が、可笑しいのですか」
「お前達は、気づかないのか。自分達の〝今〟の状態を」
男がそう言うと、突然、桔梗達は膝をついた。そして、手を喉に当て荒い息を吐き出し始めた。
「こ・・・・これ・は」
「まさか!?」
「邪気を纏った刀の邪気をあんな近くで吸えば、体に入るだろ」
男は、そう言うと桔梗達に近づいていくのであった。
その姿は、とどめを刺しにいく死神のようである。




