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さっきの戦場から逃走した桔梗と美穂は、かなりの距離を走った。そして、今だに人が行き交う通りに出ると走るのを止めた。


「はぁ、はぁ、も、もう、大丈夫ですよね?」

「え、ええ、で、でも、まだ不安です、ね」


二人は息をゼェゼェと吐いていた。家で物心つく頃から剣術を習っていた二人はそのためのからだ作りはしっかりと鍛えていた。そして、体力も相当に高い方であった。しかし、今の二人はその逆に息を切らしていた。


「思っていたよりも疲れましたね」

「はい」


ようやく呼吸が整ってきた桔梗は大きくため息をついた。


(思っていた以上に消耗しました)

桔梗は、自分の未熟差を悔いた。


「でも、最後に闘った人。あの人は危険でした」

「はい、それは同じ意見です」


美穂の言葉に桔梗は頷いた。

(あの人は、確かに危険でした。しかも、邪気を纏った霊刀を所持していた。それに腕もなかなか)

桔梗はさっきまで闘っていた人物の事を思い出していた。


「ですが、これで私達の仲間を襲った人達の事が少なからずわかりましたね」

「はい。ですが、あの人だけは、難しいですよ。捕らえるとなりますと」

「そうですね」

どんな話になっても邪気の霊刀を使う人物にぶつかってしまっていた。


「万が一、その人だけは、命までも奪うかもしれません」

「そ、そんなっ!」

桔梗の言葉に美穂は悲痛な表情を浮かべた。

風紀組には、犯罪者との戦闘でその犯罪者を殺してもいいという権限が存在する。しかし、この事に関しては、学院の生徒達にも同様の権限がある。剣士になる事というのは〝命のやりとり〟でもあるからだ。そのため、時には犯罪者との戦闘でその犯罪者を切り殺す事もある。

しかし、滅多な事がない限りそういった事態にはならない。


「ですから、天塚さん。覚悟を決めといて下さい」

「は、はい!」


桔梗の言葉に美穂は答えた。しかしは表情は悲痛なままであった。桔梗も美穂と同じ気持ちであった。できる事なら自分もそんな事はしたくないと。しかし、桔梗は言わなかった。もし、ここで言ってしまえば覚悟が崩れてしまう気がしたからだ。


「ほお、じゃあ、その覚悟とやらを今ここで、見せてもらおうか」


「「!」」


二人が声のする方を見るとそこには あの霊刀を所持する人物が立っていた。


その人物の出現に今まで多くの人々は、悲鳴をあげて逃げ惑った。

「影で行動する俺達が、こういった往来の場では何もしないと思ったか。残念だが、俺には関係ないんでな」


「そんな」


桔梗は、迂闊だったと思った。

しかし、もうどうする事もできない。相手は、どこであろうと刀を振るう。そして、なに食わぬ顔で斬る。


桔梗は、覚悟を決めて腰の刀に手を添えた。

「やるしかないんですか」


桔梗は、呟いた。しかし、その表情は覚悟の表情であったが、悲痛な表情でもあった。


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