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夜の敵

「さて、どう、斬ろうか」


その人物は、桔梗達をまるで品定めをするかのようにそれぞれ見た。

「この二人か。例の、」

「そうだ。」

「わかった」

その人物は、そう答えると自分の腰に差している得物を抜いた。

「!」

それが抜かれた瞬間。桔梗は、おもわず後方に跳んでいた。

「天塚さん。あの刀。」

「はい、恐ろしい気を感じます」

桔梗達は、その人物が抜いた刀を凝視した。抜かれた刀からは誰にでもわかる程に霊気を放っていた。

「わかるか。さすがだな」

「その霊刀は」

「ああ、俺の刀だ。なかなかいいぜ」

その人物は構えた。

桔梗達も構える。警戒しながら。

桔梗は、自分の刀に霊力を注いだ。そして、刀身は炎に包まれ炎の刃へと変わった。

美穂の方は、小さい声で何かを呟いた。

「さて、少し遊ぶか」

そして、相手が動いた。

一気に桔梗の前に向かってきた。

下段から右斜め上へと振り上げた。

桔梗は数歩後ろに下がりこれを避けた。

振り上げた刀は、黒い気を纏っていたため、軌跡をなぞるように黒い線を引いていた。

「!」

桔梗は慌てて空いている左手で鼻と口を被った。

「気をつけて下さい!やはり邪気を纏っています」

邪気。それは一言で言えば、霊力の毒ガスである。吸えば、動きが鈍くなったり、体を蝕んでいく。といった症状が出る。

「危険ですね。それにあの人も相当の実力者です」

「どうしますか」

「ひとまず逃げましょう」

桔梗と美穂は、この状況では不利だと判断し逃げる算段をした。

そして数秒後。

「いきます!はぁっ!」

美穂は、気合いとともに自分の小太刀に力をこめる。


「天塚流剣技。〝翔翼波〟〝地〟」


二本の小太刀を地面に向かってふりおろした。まるで、地面に着地するために翼を羽ばたかせる鳥のように。

振るわれた瞬間、美穂を中心に爆風ともいうべき風が広がり謎の集団を吹き飛ばした。

さらに。


「珠依流〝煙風〟」


桔梗がそう呟くと上段から刀が振るわれた瞬間、煙が出現し辺りを包んだ。

「珠依さん!」

「ええ!」

二人は、急いでその場から走り出した。

煙が晴れた時には二人の姿は跡形も無く消えていた。

「逃げたか。まあいい。楽しみが増えるというものだ」

男は二人がいた場所を見て不気味に笑うのだった。


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