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生徒会長室へ

放課後。

シノトは、桔梗に連れられて生徒会長室に向かっていた。

「えーと、珠依さん。何で、僕が生徒会長室に行かなきゃいけないんですか?」

「そ、それは、着いたら、教えます」

シノトの質問に桔梗は少し突っ掛かって返すのであった。

これ以上の質問は無理だと判断したシノトは諦め、違う事を尋ねる事にした。

「珠依さん、さっきから何でそわそわしてるんですか?」

シノトの何気ない質問に桔梗は少し動揺した。

「な、何ですか。いきなり!?」

少し慌てる桔梗にシノトは首を傾げるばかりであった。

生徒会長室の扉の前に着くと桔梗は、扉を二、三回叩いた。

「如月生徒会長、狐空さんを連れて来ました」

「どうぞ」

室内から了承の声が聞こえてきた。

そして、桔梗は扉を開いて入った。シノトもその後に続いて中へと入っていった。そして、シノトの前にかつて体育館で見た白銀の髪を持つ美少女が立っていた。背後の窓から射し込む光によって白銀の髪は輝いてその姿は誰をも魅了させる美しさがありどこか気品に満ちていた。

「ようこそ。生徒会長室へ」

雪奈は、体育館でも見せた凛とした声でシノトに言った。

シノトは、状況が呑み込めず、少し困惑した。

「ど、どうも」

シノトは、とりあえず、言葉を返した。

「ふふ、そんなに堅くならなくていいわよ」

雪奈は、優雅に微笑むとシノトをソファに座るように促した。

そして、雪奈は、シノトをじろじろと眺めた。

「へえ、この子が学院で一番の問題児かあ」

シノトは、苦笑した。実際なら学院でも上院に入る腕を持っているため内心複雑な気持ちであった。

桔梗もシノトの実力を見た事があったため、顔は複雑な表情をしていた。


「意外と可愛い」


「え」

シノトは、雪奈の言葉に先輩に対して失礼な声を出してしまった。

そして、その発言は、桔梗や美穂をも唖然とさせていた。

「あ、ごめん。ごめん。つい声に出ちゃったわ」

雪奈は全員の様子を見て笑いながら謝罪した。

「あ、そうそう、一応、こう見えて私は、けっこうノリのある性格しているの」

シノトに付け足すように呟く雪奈にシノトは、桔梗に尋ねると桔梗は、首を縦に降った。

頷いたのを見てシノトは、意外だな、と思うのであった。しかし、そうしていても雪奈の動きに乱れはなく、隙もなかった。


生徒会長の肩書きは、伊達じゃないな。


「それで、君を呼んだのわね。」

雪奈の言葉にシノトは現実に戻された。

「ある事を聞きたいからなの」

「ある事ですか」

「前に、銀行荒らしの事件があったわよね」

シノトは、まさか。と思った。

「あ、はい、〝新聞〟で読みました」

シノトは、新聞という言葉を強調するように答えた。

「それで、銀行荒らしが捕まった事件のあった夜に〝あなたは、何処にいたの〟」

刑事ドラマに出てくる刑事のセリフを雪奈が言ってきてシノトは、確信した。


疑われている。と


「寮の部屋で課題をしていました。その後は、寝ました」

「そう」

シノトの返答に雪奈は考え込んだ。

逆にシノトの方は、内心焦っていた。

(まずい、まずいぞ。これは、さすがに疑われているぞ。しかし、何でだ。何故、僕を疑ったんだ。)

シノトは、考えていたが、桔梗を見て合点がいった。

(そうか。珠依さんだ。以前の試合の時に見た僕の動きと夜での笛吹き狐の動きを見比べて確信じゃなくても疑いを持ったんだ)

そう推測したシノトは、盲点だったなと思い心の中で自分を恥じた。

そして、雪奈がどんな事を聞いてくるのかを警戒した。


「わかったわ。あなたの証言は正しいと見たわ。ごめんなさいね。変な事を聞いて」


しかし、急に自分の嘘の証言が通ってシノトは、驚いたが疑いが晴れて少しは安心した。

「い、いえ。気にしてませんから」

「じゃあ、あなたは、これで帰っていいわ。ありがとう」

雪奈の笑顔に一瞬、ドキッとしたが平静を保ってシノトは、生徒会長室を出るのであった。

シノトが部屋を出た後、桔梗は、雪奈に詰め寄った。

「何で、もっと問い質さなかったんですか!」

「もし、彼がそうでも証拠のない私達の質問もはぐらかされるだけよ」

桔梗は、正論を説かれて押し黙った。

「でも、どうすれば、いいでしょうか」

押し黙った桔梗に代わって美穂が聞いた。

「確証が持てるまでは、この事は、一旦保留にしましょう。それに今の私達の仕事は、盗まれたお金の行方を突き止める事だからね」

「はい」

「・・・・はい」

「では、今日は、解散」

こうして、シノトの尋問は、幕を閉じるのであった。

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