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生徒会長室で、自分の事が話し合われていると知らずにシノトは、自分の教科書などを鞄に入れ、教室を出た。
「今日も疲れたな」
自分の寮に向かう道をいつものように歩いていた。
そんな時、シノトは、何かを背後から感じた。今まで、何回かの戦いでシノトの感覚が養われたため、鋭くなっていたのだ。
なんだ?僕なんかをつけて。
シノトには正直、心当たりがなかった。しかし、犯罪関係や剣警隊関係だと思ったが否定した。今日に至って自分の正体に気づく者が一人もいないからだ。そして、日々の行動で自分と関連付ける人はまずいない思ったからでもあった。
シノトは、気配から何もして来ないと感じ、このまま気づかないふりをして寮へと歩いていった。
そして、寮の入り口に来るとついて来た気配も遠ざかっていた。
シノトは、ホッとして寮へと入っていった。
シノトが寮に入っていくのを遠くから眺めていた人は、ボソリと呟いた。
「なぜだ・・」
その呟きは、誰もいなくなった道で誰にも聞かれる事なく消えていくのであった。
次の日。
シノトは、授業にむけての準備をしていた。
「はあ、なんで次があんな地獄なのかな」
「お前だけだぞ。そんな事言うの」
シノトの力ない呟きをアキトは苦笑する。
次の授業は、実技であったからだ。普通、この学院の生徒なら一番に喜ぶのが当たり前であった。
しかし、実力を発揮できないシノトにとっては、辛いものでしかなかった。
「だって、実技がからきし駄目な僕にとっては地獄としか見えないんだよ」
駄目という言葉を強調しながらシノトは言う。
「いやいや、実技が駄目でこの学院に来ているのはお前だけだからな」
そういった会話をしながら二人は、実技を行う体育館に向かった。
シノトは、今回も実技はアキトとやっていた。そんな時、シノトに声を掛ける人がいた。
「狐空さん」
声を掛けてきたのは桔梗であった。
アキトは、ニヤリと笑い、ご指名だぞ、とシノトを押した。
「えっと、何ですか。珠依さん」
シノトは、回りから突き刺さる視線を受けながら桔梗の返事を待った。
「え、ええ、狐空さん、今日の放課後、生徒会長室に来て下さいませんか」
シノトは、桔梗の歯切れの悪い言い方に疑問をもったが予想もしない事に少し驚いたが了承した。
「あ、ありがとうございます。で、では、私は、待っていますので」
また、歯切れの悪い言い方をして自分の実技相手の所に戻っていくのであった。
そんな後ろ姿を見送っていたシノトにアキトは言った。
「残念だったな。」
「何が」
「デートの誘いじゃなくてさ」
アキトの言葉にシノトはため息をつくのであった。




