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その後

8/30。ちょっとの付けたし、修正をしました。

次の日。

シノトはいつものように机に突っ伏していた。

「なあ、今日のニュース見たか?」

「なんかあったけ」

「相変わらず、世間知らずだなあ。いいか、昨日な、今まで世間を騒がしていた銀行荒らしが捕まったんだよ」

バンッ!とどこからか出したのかわからない新聞紙をシノトの机に叩きつけた。

「わあっ!?」

シノトは咄嗟に起きてなんとか回避した。

そしておかげで意識も覚醒した。

「危ないじゃないか!」

「目、覚めたろ」

シノトの怒りにどこ吹く風とアキトは笑う。

シノトはため息一つして、問題の記事を見た。

見た記事には昨夜、戦った銀行荒らしについて書かれていた。そして、銀行荒らしの手口についても書かれていた。

銀行荒らしが行った手口は、意外と簡単な事であった。まず、数週間前に警備員として仲間の一人が潜伏、そして銀行内部を把握、さらに仲間が侵入するために内部からドアを開けていた。そして、内部に侵入した男達は速やかに金庫を開けて金を採り、入ってきた所から出て逃走していた。そして、現場に残っていた残留魔力は、捜査を撹乱するためのダミーであった。しかし、昨夜は、内部に剣警隊の隊員がいたため銀行内部で戦闘があり、手引きしていた仲間が捕まり、逃げた者達も捕まり計画は失敗してしまった。と載っていた。


「へえ、そうだったんだ」

「でよ。逃走した男達を捕まえたのはなんと、俺らの学院の風紀組のメンバーなんだとよ」

「そうなの?」

シノトは、初めて知ったような口振りで答えた。

「でな、シノト、その捕まえた組の人は、なんと、学院内での憧れの女子生徒、生徒会長の如月雪菜、内のクラスの媛巫女、珠依桔梗、美少女後輩の天塚美穂の三人なんだぜ」

「へえ」

「お前、何がへえ、だよ」

「だよって言われても」

「お前って、相変わらずだな」

「何が?」

「ああ、もういいよ」

アキトは匙を投げるように言うと、再び新聞を読み始めたシノトを見て心中で呟いた。


どうやれば、〝彼女〟に惚れられるんだ?


アキトの心中の事は知らずシノトは新聞を読み続けていた。

(僕に関しては、載っていないなあ)

シノトはそう思った。

銀行荒しの記事には笛吹き狐については何も書いていなかったのだ。

(大方、情報に規制がかかったか、伏せてあるのかのどちらか)

しかし、それでいい、のだとシノトは思うのだった。


そんなシノトより斜め前の席の桔梗は内心、混乱していた。

(負けた、完全に)

桔梗の頭の中は昨夜の狐との闘いが浮かび上がっていた。

自分の攻撃を全て避けられ背後をとられる。

それは桔梗から見ても見事だと思った。そして何より自分と同等または、それ以上の腕を持つ二人とも互角に渡り合っていた事も衝撃であった。

さらに、あの後、笛吹き狐の自分達や銀行荒しとの闘いを振り返って見て桔梗はあることを感じていた。


(似ている。あの人の闘い方に)


桔梗は、ちらりと自分の後ろの斜めの机で新聞を読みアキトと雑談しているシノトを見た。

桔梗は、自分の考えている事がおかしいと思っていたが自分自身の直感は何故か、その考えに納得をしていた。

桔梗はそのまま、もやもやした状態の中、自分の思考の世界に浸り込んだ。


桔梗が自分を疑いはじめている事を知らないシノトはさらに新聞を読み続けているのであった。


シノトの初めての仕事はこうして始まったのであった。


闇夜の中で悪、欲望にまみれた者達を裁く仕事が。






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