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笛吹き狐と乙女達第四幕

美穂の猛攻に狐は、防御に撤していた。

「はあっ!」

美穂は、両手に持った小太刀を素早く振るって反撃のできないようにしていた。

「さすがですね」

その様子を見ていた桔梗は賞賛の声をあげた。

「そうね。美穂さんを組に入れて良かったわ」

雪菜も同じように呟く。

二人の目線の先には二本の小太刀を振るう美穂とそれをなんとか防御している笛吹き狐の姿があった。

ギィン!ギィン!ギィン!

刃と刃がぶつかる音が響く。

(思っていた以上の猛攻だな)

シノトは防御しながら美穂の攻撃に感心にしていた。

しかし、それは彼だけではなかった。

(す、すごい。これだけの攻撃を全て受け止めるなんて)

美穂も自分の相手に感心していた。

(私の流派は、一切止まることのない猛攻を踊るように振るうのが主としている。繰り出された技を振るったものは、技に耐えられなくて武器を手放すか、武器が攻撃に耐えられなくて折れるのどちらかなのに、この人は)

美穂の攻撃に対して狐は、武器を手放すことも武器が折れることない、その逆、彼女の攻撃をしっかり受けているのだ。

その事実に美穂に動揺を与えた。

(やっぱり、私では、無理)

そして、その事が美穂の心に迷いが生じさせた。

その迷いは攻撃のリズムを鈍らせた。

(攻撃がさっきより遅くなっている)

シノトはその変化を逃さなかった。

「しまった!?」

美穂がそう叫んだ時には、遅く、一撃を避けた後に振るう二撃目の左手首を掴むとその勢いにまかせて狐は美穂のバランスを崩した。

美穂からはいつの間にか、視界は空を見ていて自分が地面に倒れていると感じるのに数秒もかからなかった。

(す、すごい。あの一瞬の隙を突くなんて)

今だに呆然とする美穂の視界に狐の面が現れた。

殺られる。

美穂は、そう思い、目を瞑った。

しかし、その後に起こったのは意外な事であった。


何も起きない。


「私は、斬らん」

そして、耳に入ってきたのはその一言。

その言葉に美穂は驚き、瞑っていた目をおもわず開けていた。

狐は、その様子が可笑しかったのか小さく笑うと。

「私は、さっきも君達を斬らん、と言ったのにもう忘れたのですか?」

狐はそう言うと立ち上がり、今度は桔梗達の方を向いた。

「勝負は、つきました。では、これにて」

「待ちなさい!」

逃がさないとばかりに今度は桔梗が間合いを詰めてきた。

桔梗は狐に袈裟懸けに放った。

しかし、再び、その一撃は、空を切り裂いた。

目標を見失った桔梗があたりを見回そうとした時には、背後をとられていた。

(いつの間に!?)

その事実が信じられず、自分が殺される状況にもかかわらず桔梗は呆然としていた。

対する狐は、桔梗の様子を見て、ゆっくり離れると最後に残った雪菜を見た。

しかし、雪菜の反応は、刀を鞘に納めて、首を横に振った。


狐は、その様子を見て、その場を去った。


笛吹き狐と少女達の勝負は、狐の圧勝で幕を閉じた。


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