笛吹き狐と乙女達第二幕
最初に動いたのは、笛吹きの狐ことシノトの方だった。
「私は、ここで立ち去らせてもらいます」
その場で優雅にお辞儀をして後方へと走り出した。
「逃がさないわ」
それと同時に雪奈が刀を振るった。
すると振るわれた軌道に沿って白い雪が現れた。そして、その雪はまるで意志を持っているかのように走り出したシノトへ向かっていく。
それがシノトの足首辺りに触れた瞬間。
ピキッ。
という何かが凍った音が響いた。
「!?」
シノトが足元を見ると自分の足首から下と触れている道路が凍っていた。
「逃がさないって言ったわよ」
仕掛けた本人。風紀組組長、如月 雪奈が刀の切っ先を向けてシノトを見ていた。
(やばいな。流石は生徒会長だな、侮っていたらやられる)
「おやおや、随分と、強引ですね」
冷静に考え、内心とは逆にシノトは平静を装いながら言う。
「ええ、あなたを捕まえるためだから」
「美少女に狙われるのは悪くありませんが・・・」
一拍置いて
「捕まるわけにはいきません」
言葉と共にシノトの周囲から炎が沸き起こった。
「炎!?」
さすがの雪奈も驚きの顔をしていた。
「〝狐火〟ですよ。まさか使う日がくるなんて」
シノトは炎を操りながら呟く。
狐火。
妖狐が用いる火のことである。強い霊力を持つ妖狐なら街一つを焼きつすく威力がある妖狐が持つ独自の炎である。
狐火によってシノトを捕らえていた雪は消えていた。
狐火を操りながらシノトは彼女達に言った。
「火傷する前に諦めてくれませんか?」
しかし。
「いいえ、火傷するのはあなたの方です」
刀を構えた桔梗がシノトに勝るとも劣らない炎を刀身に纏わせながら前に出て来た。
(珠依さん、退いてくれないかな)
シノトは警戒しながら間合いをはかった。
桔梗も同じように動く。
そして。
シノトと桔梗の炎がぶつかった。
「炎斬」
桔梗から炎の一撃が飛んでいく。
シノトも自らの炎でその一撃、一撃を防ぐ。
その時、今まで遠距離攻撃をしていた桔梗が接近していった。
刀身には炎が纏っていて炎の尾が切っ先からひいていた。そして、炎を纏わせた桔梗はシノトの間合いに入ると上段から振り下ろした。しかし、シノトはそれを寸前に避ける。しかし、今度は、下段から振り上げてきた。
「珠依流〝炎柱〟」
その名のとおり、下から上に振り上げてられた一撃はそのまま炎の柱を作っていた。
しかし、これもシノトは避けていた。
避けられた桔梗は後方に下がって再び、構えなおした。
(あっつ!最後のは危なかったなあ、でも、このままだと、まずいな。仕方ない)
シノトは決意すると、後ろに差していたお祓い棒に手をとった。
(お母さん。使わせていただきます)




