笛の音色に立ち止まる
「如月さん!」
桔梗は急いで雪奈のもとに駆け寄る。
さっきのは桔梗によるものだった。
「珠依さん」
雪奈は桔梗の声を聞いて少し安堵した。
そして、自分の視界が回復していく事を感じた。
駆け寄った桔梗は雪奈の怪我に気づく。
「如月さん、怪我を」
「大丈夫、かすり傷だから、でも、助かったわ。ありがとう」
「良かったです」
雪奈の礼に桔梗は笑顔で答える。
「如月組長、大丈夫ですか?」
美浦は雪奈を心配そうに見ていた。
「大丈夫よ。ありがとう。えっと、天塚 美浦さんだったわね」
「え、私をご存知で」
驚く美浦に雪奈は当然という感じで笑った。
「さあ、覚悟してください」
桔梗の一言で雪奈達の空気は引き締まった。
桔梗は自分の愛刀を構え。
雪奈も改めて構えた。
美浦は二人とは違い、二人より少し短い小太刀を構えた。
その様子に男はふたたび舌打ちをした。
背後の手下達にも再び動揺が走る。
視力が回復した雪奈。
刀を構える桔梗。
少し気弱な感じで小太刀を構える美浦。
再び、形勢は逆転した。
不利になった男達は。
「くそっ」
地面に叩き込んだ。
それは。
爆音と共に煙が舞い上がった。
「煙幕!?」
「逃がさないわ!白き者、寒さと共に敵を包め〝雪風〟」
雪奈が刀を上段に振った瞬間。冷気と共に振るわれた事で起こった風が煙幕の煙を吹き飛ばした。
そして、目の前には幾人か男達が倒れていた。さらに、男達の倒れている地面には白い霜ができていた。
「やりましたね」
「いいえ、まだ何人かを取り逃がしたわ」
「追うわよ」
雪奈の言葉により三人は走り出した。
三人が追いかけ始めた頃。
リーダーの男と幾人かは再び走っていた。
そして、背後を見る。
「何とかまけましたね」
「ああ・・」
男の顔には悔しさが出ていた。
(くそっ!ここまでもやられるとは、だが、奪った金はまだこっちにある、このまま逃げ切れば・・・)
男がそう考えているとどこからか笛の音色が聴こえてきた。
「おい、何か笛。音がしねえか」
「そう言えば・・・」
「聞こえます」
いつしか、男達は走るのを止め、笛の音色を聴いていた。
しかし。
笛の音色が徐々に自分達の方に近付いて来るのがわかった。
そして。
男達の目の前には〝狐の面をつけた笛を吹く一人の人物〟がそこにいた。




